山岳ガイド赤沼千史のブログ

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おひさま醤油を絞る

2018年11月12日 | 安曇野の暮らし

仲間で育てたもろみを絞ってもらった。
もろみとはつまり醤油の素で、麦麹に煮た大豆と塩を混ぜて樽の中で寝かせたものだ。
これを適度に湯で割って眼の荒いキャンパス布袋に入れて「舟」と言われる絞り器で絞れば自家製醤油となる訳だ。
醤油造りは麹造りが大変で、以前は自分の家で三日三晩寝ズの番をして仕込んだ麹でやっていたが、最近近所にMさんという醤油絞りを生業とする人が住むようになって、麹作りと最後の絞りをやってくれるので、画期的に醤油造りが楽になった。
今年二月、Mさんに作ってもらった麹に大豆と塩を混ぜ樽に仕込んで、陽の当たる南側の軒下で十ヶ月寝かして出来上がったもろみ。 
醤油とか味噌というと、陽の当たらない冷暗所で静かに育てるモノというイメージがあるが、最近の醤油もろみはビニールハウスの中でガンガン陽に当てて温度を上げて熟成させる。
今年の猛暑を炎天下で耐えて育ったかわいいもろみ、湯で割るとかぐわしい香りが辺りに立ちこめた。
甘さと香ばしさ、とめどなくあふれ出る複雑なこの醤油の香りに、仲間の顔もほころぶ。 

もろみを絞り袋にいれて、丁寧に舟に寝かしていくと、自然に舟口から琥珀の醤油が滴りおちる。
空気に触れ更に香しく香る醤油。
新鮮な醤油は黒と言うよりワインの様に赤いと言うがまさしくそんな感じ。
舟口を指で絡め取って舐めてみる。
「うわーっすげっ!醤油だし」 
当たり前だが、感動しちゃう。
絞り袋を並べ終えて次はジャッキで加圧して絞り込んでいくと舟口からは勢いよく醤油がほとばしり出た。
絞り終えて最後に火入れをし殺菌し発酵をとめる。 

一時間ほどゆっくりと絞り上げた生醤油を巻き寿司と天ぷらで頂いた。
んーんーいいんでないのこれ?
手前味噌ならぬ手前醤油なのはわかって居るが、ふくよかな香りと甘みはなかなかのものだ。
絞った醤油は再び樽で静かに寝かせ、しばらくして澱を鎮めてから瓶詰めする。
今日は刺身だな。ふふふ。  

 

 


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