時々ラーメンスープをとっている。
鶏ガラ、或いは豚骨、或いはその合わせ技。
最終的に煮干しなどの魚介を入れることもある。
基本的には保温が出来る魔法鍋で時々火を入れてはほったらかすと言うのが僕のやり方で、澄ましスープなら半日ぐらいで出来上がる。
白湯スープをとるにはなんと二日以上の時間がかかる。
本格的ラーメン屋のように、一日中グラグラと寸胴鍋に火を入れとくわけにもいかないので、僕はこのほったらかし法が一番楽ちんで省エネなのだ。
ところが、最近家の納戸で古い圧力鍋を見つけたのだ。
「あらあ、家にあったんだ!使えるのかなあ?」
外観は古びているがゴムパッキンはまだしっかりしているし何とか使えそうだった。
むかし、山小屋の厨房で圧力鍋の目詰まりによる爆発事件があって、それもあって怖くて、手を出すことがなかった圧力鍋。
二日かかるほったらかし法によるラーメンスープ、圧力鍋だったらいったいどのくらいで出来るのだろう?
フツフツと興味が沸いてきた。
早速豚骨を買いに行き、ハンマーでたたき割って下茹でして茹でこぼしたら、圧力鍋に豚骨と水を投入、強火にかける。
ほどなくして、圧力弁からシュッシュッシュッシュッと小気味良い蒸気の音。
鍋は正常に働いてくれているようだ。
弱火にしてそのまま45分加熱していったん火を落とした。
30分ほどして圧力が下がったところで蓋をあける。
「おいおい、すごいぞこれ!」
まだ白濁はしていないが、軟骨や骨髄までもドロリと溶け出して良い感じになっているではないか!
硬い骨だけを取り除いてから再び30分圧力鍋を火にかけてから最後にザルで濾して出来上がりだ。
醤油ダレと合わせて丼に張る。
麺はストレートの極細麺は残念ながら手に入らなかったので、縮れ極細麺を茹でがまんする。
チャーシューにキクラゲ、小ネギに味玉、そして紅ショウガを乗せれば、長浜ラーメン風の一丁出来上がりだ。
麺がのびる前に食べねばと気持ちはやるが、それをグッと堪えて写真撮影する手も震える。
みめ麗しき長浜ラーメンだ。
さっぱりしているが旨味充分のクリーミーな白湯豚骨スープはなかなかのもんだった。
しかもこれが二時間ほどで出来てしまうとは!
恐るべし、圧力鍋。
あれやこれや作ってみたいと、夢はひろがる。