山岳ガイド赤沼千史のブログ

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フィルムカメラ

2015年05月04日 | 雑感

リンゴさんごめん

どうしてもほしくなってしまった古いフィルム一眼レフカメラをようやく手に入れた。

PENTAX MX

1976年発売の露出計内蔵の機械式カメラである。

機械式だから、電池が無くてもちゃんと撮影が出来る。

電池は露出計を作動させる為だけに使われる。

ジャンク品扱いのモノを破格で手に入れたのだが、モルトという遮光材がボロボロになっていて、そのままではあちこちからフィルム室内に光が漏れて使えない状態だった。

ネットで調べてモルトを購入、自分でなんとか修理をした。

引き出しに放ってあった、おそらく5年ほど前に消費期限の切れたコニカのネガ400(なんと、今は亡き、コニカです)をMXに装填し試し撮りをしてみた。

 

ペンタックスMX&50mmf1.2レンズ&コニカフィルム

どうだろう?

デジタルカメラにはないこの感じ。

ISO感度が400だから、ざらついた感じは仕方が無いというか、それがまた良かったりして。

てか、まず、5年前に消費期限が切れたフィルムで普通に撮れるのが驚きである。

でも、この色、風合い、撮った端から懐かしい感じがする。

ああ、フィルムカメラってこんな感じだったよな。

デジタル画像を見慣れた目にはやけに新鮮で、どこかリアリティーが欠如していて、新しい写真なのにあたかも時を超えてきたような、そんな印象がフィルムにはある。

 

最近、二つの写真展を見に行った。

一つは、新穂高ロープウェイの鍋平ビジターセンターでの「小池潜山岳写真展」

もう一つは松本風雅での「横内勝司ガラス乾板写真展」

そのどちらもが、びっくりするほど素晴らしいものであった。

小池さんの山岳写真は、大判カメラで撮った大迫力の作品群。その大きさと深い描写に僕は圧倒された。

横内勝司さんのそれはなんと昭和初期のもので、最近になって、大量のガラス乾板写真が発見されたのだ。

重いガラス乾板を山に持ち込み、あるいは、当時の農村の暮らしを優しい視線で切り取ったスナップ写真といえる作品群。

逆光を多用したその写真には必ず自然に写り込む人物がいて、子供達の屈託の無い笑顔は、現代に暮らす我々の心を打つ。

昭和初期にこんな感覚で写真を撮っていた人が居たことに本当にびっくりした。

26歳から亡くなる33歳までのわずかな間に撮影された、暖かく実にモダンな写真展だった。

 

写真て解像度だけじゃないんだなと思う今日この頃なのだ。

フィルムもまた撮っていこうかなと思う。

小池潜写真展

横内勝司写真展 

クラリネット

スミレ

名も知らぬ花

海ノ口駅

バカの発芽

楽譜を書く人

メキシコの魔除け

満ちる香り

黄昏のギター

君はこの小屋三代目

70’GUITARS

揺れる大麦

 


仁科三湖の春

2015年05月04日 | 安曇野の暮らし

早めに寝てしまった翌日、流石に朝早く目が醒めた。
外を見れば今日もいい天気だし、写真を撮りに出かけてみた。

この間、白馬からの帰り道に、通りすがりに綺麗だなあと思った中綱湖。

中綱湖は大町北部にあって、上流から青木湖、中綱湖、木崎湖が連なっていて仁科三湖と呼ばれ、それぞれを農具川という小川が繋ぐ。

青木湖はかつて日本一の透明度を誇った湖だという。

中綱湖は二つの大きな湖に挟まれた小さな湖で、こじんまりと緑の谷間に浮かんでいる。

早朝の中綱湖は風が止んでようやく咲いた桜を映す鏡の様だった。
GWまっただ中のこの日、桜は少し盛りを過ぎたが、中綱湖に写る桜と新緑はとても見事で、大勢のカメラマン達で賑わっていた。
僕はあまのじゃくだから、そんな中に敢えて紛れたくはないのだが、折角思い立って来たのだからと何枚か写真を撮った。

少し日が高くなって木崎湖まで戻ることにした。

湖畔北側には昨年の枯れた芦原が残っていて、その枯れ枝の間で盛んに何ものかがバシャバシャやっている。
近くに居た釣り師に尋ねると、それはヘラブナの産卵だと教えてくれた。

その傍らで釣り糸を垂れるヘラブナ師たち、ヘラブナの春を横目に釣果は思い通りにはいかないようだ。

木崎湖の南岸には旅館街がある。

営業を続けている宿ともう既に辞めてしまった宿が混在する湖畔の小さな街だ。

僕が子供の頃にはここは湖水浴場になっていて、家族と数回来たことがあった。

鄙びた温泉街の風情からは、そんな昭和の賑わいが聞こえてくるようだった。

木崎湖は我が家から車で30分程の位置にある。白馬への道すがら何度も通りかかるところだ。

だけど、こんな風にゆっくりと湖畔を巡ることはあまりなくて、こうして訪ねてみると知らなかったことに色々気づくのだ。

魚や水鳥の自然の営みも、湖畔にある貸しボート屋の剥げかけたペンキの壁も、鄙びた旅館街の風情も、湖に寄り添って暮らす人々の暮らしも、湖とはいえそれはどこかの港街の様で、ちょっとした旅をしている気分だった。

そしてそれは残像へのなつかしい時間の旅でもあった。

 

 


BSTBS日本の名峰絶景探訪 ~静寂に誓う夢 小蓮華山~放送です。

2015年05月01日 | テレビ出演

すっかりふぬけになってしまった僕です。今日の今日まで明日放送のこの番組のこと、すっかりぽかーんと忘れてしまっていて、今慌ててこれをかいております。大変申し訳ありません。

白石さんとはもう一体何回ご一緒させていただいたでしょうか?

冬の西穂やら劔岳やら、季節を問わずあちこち歩いて来ました。

僕らだけではありません。最初はヘロヘロだったディレクターも時を追う毎に逞しくなり、

「Kディレクターの趣味ってなに?」と訊くと

「んーーーー、そうですねえ、これと言って別にないけど、しいて言えば登山かな?」

とのたまうほどとなりました。

ロケの日、スタッフの食事として用意したジンギスカン2.7キロ、キャベツ一玉は、あっさり彼らの胃袋に収まってしまい、ちょっと足りなかったかなあと反省しております。

今回の撮影は雪洞泊、豊富な残雪にスコップで穴を掘って泊まります。

雪洞には揺れるキャンドルの炎、

明くる朝、僕たちはどこまでも広がる雲海を眼下に、アイゼンを気持ち良く効かせるのでした。・・・・・・・・・是非ご覧ください。

 

BSTBS日本の名峰絶景探訪 ~静寂に誓う夢 小蓮華山~
5月2日(土)22:00~22:54放送