この冬は本当に雪が良く降ったのだ。
南岸低気圧の通過で降り、またそれが通過してからは日本海側を中心に冬型の気圧配置で降ると言う事を繰り返し、スキーに出かける白馬界隈の積雪は例年の倍近くもある感じだった。そんな雪の季節も少しは落ち着いてきたのか、ここの所は暖かい日が増えてきて、雨も降るようになって融雪が一気にすすんだ。山スキーに出かけ滑り込む尾根から見る対岸の山肌の雪は黄砂混じりの茶色かかった春のそれになりつつある。
だがこの季節、僕にとっては逝く冬を見送るセンチメンタルな季節でもある。
何かに追われる事から開放されて、じっくり一つ事に集中出来る冬が大好きな僕は、春の便りが届くこの季節になると、心の中が妙にザワザワして落ち着かない気持ちになる。確定申告もしなくてはならないし、田んぼの準備もそろそろ考えておかなければいけない、屋根瓦が割れて雨漏りするボロ納屋もなんとか修繕したいし、他にもあれやこれやと急かされている事にふと気がついてしまうのだ。
実は、安曇野から白馬に向う道すがらにある「Yショップニシ」さんで2月7日から写真展をやらせて頂いている。場所は、大町市から白馬方面に向かって両側の山が狭まって来る辺り、南北に連なる仁科三湖の中で一番南側にある木崎湖畔をかすめるように通る国道148号線沿い。目の前には大糸線が平行して走り、木崎湖の湖面が光り輝いている。
写真展なんて考えもしなかった事だったが、Yショップニシ店主のユッキィ嬢からのお誘いをうけて、それではとその気になってしまった。デジタルカメラで撮った写真をプリントする事は滅多にない事だったから、色合いや額とのプリントサイズの相性がわからず再プリントをしてみたり、すったもんだのあげくなんとか開催にこぎ着けたのだが、ほんとにこんなんでいいのかなと言う不安もまだぬぐい去れていない。
この「Yショップニシ」は一風変わったコンビニエンスストアーである。まず、朝もはよからやってはいない。だいたい開店は9時頃だろうか。店内に入ればまずテーブルと椅子そして奥にはカウンターと厨房があって、木崎湖を眺めながらハンドドリップのコーヒーも頂けるし、蕎麦のメニューも充実しているのだ。商品ラインアップも普通とはどこか違っていて、ありがちなコンビニだと思って入ると少し戸惑ってしまうかもしれない。その壁面を使っての僕の写真展である。中央にはウォールナット仕上げのアップライトピアノが鎮座している。
実はこの木崎湖界隈は、2002年に放映されたテレビアニメ『おねがい☆ティーチャー』の舞台となった場所で、その筋の人達の中では聖地とされている。要するにオタクの聖地。そのなかで、主人公がアルバイトする縁川商店というのがこのYショップニシで、聖地巡礼のオタク達の憩いの場になっている。アニメオタク、鉄道オタク、カメラオタク・・・・・様々なオタク達が行き交う世にも不思議なコンビニエンスストアー「Yショップニシ」山やスキーの行き帰り是非訪れて頂きたい。可愛らしいおねーさん二人とお母様が出迎えてくれます。
冬は僕にとって再生の季節なのかもしれない。そしてまた何かを始めるための「冬 新しい世界のはじまり」展
稚拙な写真の数々ですが機会があれば是非お立ち寄りください。期間は3月31日まで。お待ちしています。
赤沼千史写真展 「冬 自由な世界のはじまり」
2月7日(土)〜3月31日(火)
縁川商店こと「Yショップニシ」・・・・・・・JR大糸線海の口駅から歩いて直ぐ。