ダニ媒介脳炎で死亡、国内で初 北海道の40代男性
北海道は15日、野外でマダニにかまれた道内の40代男性が「ダニ媒介脳炎」を発症し、死亡したと明らかにした。この病気の国内での確認は1993年に北海道で見つかって以来2例目で、死亡は初めてという。
厚生労働省によると、ダニ媒介脳炎はフラビウイルスが原因で、このウイルスを持ったマダニがいない地域では感染は起きない。北海道の一部地域でウイルスが見つかっている。人から人に直接感染することはないとされる。潜伏期間は7~14日で、発熱や筋肉痛などのインフルエンザに似た症状の後、髄膜炎や脳炎を起こす。海外では多数の死亡例が報告されている。
道によると、男性は7月中旬に道内の草やぶでマダニにかまれ、8月13日に死亡したという。道は、草が茂った場所では長袖、長ズボンを着用するよう注意を呼びかけている。
ダニ媒介脳炎とは何ですか?
ダニ媒介脳炎は日本ではあまり知られていませんが、世界では決してまれな病気ではありません。ダニ媒介脳炎にはいくつかの種類があり、その主なものとして、ロシア春夏脳炎、中央ヨーロッパ型ダニ脳炎があり、流行地では、この病気にかかるリスクの高い方(野外で活動する機会の多い方など)に対してワクチンの接種が行われることもあります。
病原体は、日本脳炎と同じ分類(属)のフラビウイルスで、げっ歯類とマダニの間でウイルスが維持されています。
どのようにして感染するのですか?
ウイルスを保有するマダニに刺咬されることによって感染します。逆に言えば、ウイルスを保有したマダニがいない地域では感染がおきません。
また、感染した山羊や羊等の未殺菌の乳を飲んで感染することもあるとされています。
通常、人から人に直接感染することはありません。
なお、一般的に、マダニは、沢に沿った斜面や森林の笹原、牧草地などに生息し、家の中や人の管理の行き届いた場所にはほとんど生息していません
感染しないために、どのようなことに注意すればよいですか?
病原体を保有するマダニに咬まれないようにすることが最も重要です。
したがって、流行地域など、病原体の存在が知られている地域において、草の茂ったマダニの生息する場所に入る場合には、長袖、長ズボンを着用し、サンダルのような肌を露出するようなものは履かないことが大事です。忌避剤の併用も効果が期待されます。さらに、野外活動後は入浴し、マダニに刺されていないか確認すること、マダニの咬着が認められた場合は、皮膚科などでマダニの頭部が残らないように除去してもらうことも重要です。
また、ダニ媒介脳炎の流行国では、マダニが生息する森林地帯に入るなど、感染する危険性のある方に対して、不活化ワクチン(我が国では未承認)の接種が行われることもあります。日本から流行地に行って野外活動を予定されている場合は、全国の検疫所で渡航前の健康相談を行っておりますので、ご利用ください。また、帰国時に発熱などの症状がある場合は、検疫所の検疫官にご相談ください。