五輪陸上
これぞ“自己犠牲の鑑” ポーランドの英雄、難病の3歳児救うため銀メダルをオークションに
リオデジャネイロ五輪に出場したポーランド男子円盤投げの選手が、難病と闘う自国の3歳児を救うため、獲得した銀メダルをオークションにかける異例の決断をした。入札サイトでは、巨額の治療費を賄おうと立ち上がった英雄の“男気”に心を打たれた人々が続々と入札、メダルの価値は高騰を続けている。
世界の注目を集めているポーランド選手は、13日の大会で表彰台に立ったピオートル・マラチョウスキ。自身のフェイスブックで19日、次のように呼び掛けた。
「きょう、私はみなさんにお願いする。(銀メダル)より価値あるもののために、一緒に闘おうということだ。それは、一人の少年の健康である」
少年は、ポーランド人のオレク・シマンスキちゃん。眼球のがんに冒され、2年間も苦しみ続けてきた。
マラチョウスキはなおも続ける。「ポーランドで、オレクの目を治すチャンスは“ゼロ”だ。残る道は、ニューヨークしかない」
オレクちゃんを救う治療費は、48万ズロチ(約1260万円)にも上る。ポーランド国内の財団「シエポマガ」が治療費を賄うため立ち上がったが、これまでに集めた額は3分の1にとどまる。
マラチョウスキは言う。「すべての人に、入札に参加してほしい。もし私を助けてくれるのなら、オレクにとって、私のメダルは『金メダル』以上の価値を持つ」
ロイター通信によると、マラチョウスキの自己犠牲の精神に感銘した人々が次々と入札。19日時点で、メダルの価値は6千ドル(約60万円)にまで高騰している。
ただ、目標の額には遠く及ばない。マラチョウスキは、心ある篤志家らの支援を待ち続けている。入札期限は今月26日。(五輪速報班)