「私は生き抜く」動画に参加した米女優ナタリー・ポートマンさん=米ファッション誌「W」のサイトから
米ハリウッドの人気俳優たちが、「私は生き抜く」と歌う動画がネットに掲載され、トランプ次期米大統領に対する抵抗のメッセージだと話題になっている。
ビデオは、米国のファッション誌「W」が製作。ナタリー・ポートマンさんやエマ・ストーンさん、マシュー・マコノヒーさんら約20人が登場し、歌ったり歌詞を朗読したりする。11日に同誌のサイトに掲載された後、2日間で、約136万回再生された。
米ハリウッドの人気俳優たちが、「私は生き抜く」と歌う動画がネットに掲載され、トランプ次期米大統領に対する抵抗のメッセージだと話題になっている。
ビデオは、米国のファッション誌「W」が製作。ナタリー・ポートマンさんやエマ・ストーンさん、マシュー・マコノヒーさんら約20人が登場し、歌ったり歌詞を朗読したりする。11日に同誌のサイトに掲載された後、2日間で、約136万回再生された。
歌は、70年代に流行したグロリア・ゲイナーの「恋のサバイバル」。あなたなしでは生きられないと不安だったけれど、私は強くなった、私は生き抜く、といった歌詞だ。これまでも、女性や同性愛者らの権利を訴える歌として歌われてきた。
サイトには「大統領の就任を目前に控え、我々は今まで以上にこの歌を必要とする」「トランプ政権下で生き抜いていく」など、趣旨が記されている。
メリル・ストリープさん、トランプ氏を批判
ハリウッドとトランプ氏を巡っては、メリル・ストリープさんが8日、ゴールデングローブ賞の授賞式で移民排斥などのトランプ氏の姿勢を批判。これに対してトランプ氏はツイッターで「ヒラリーの取り巻き」などと猛反発した。
米ロサンゼルスで8日開かれたゴールデングローブ賞の授賞式で女優のメリル・ストリープさんが、トランプ氏を批判した。これに対してトランプ氏がツイッターで反論するなど、応酬があった。
長年の功績をたたえるセシル・B・デミル賞を受賞したストリープさんは「ハリウッドはよそ者と外国人がいっぱいの場所。そこから彼らを追い出してしまえば、フットボールと格闘技しか残らない」とスピーチ。トランプ氏の名前は出さないままだったが、観客の歓声と大きな拍手を浴びた。
さらに、トランプ氏が選挙戦中、障害のあるニューヨーク・タイムズ紙の記者のまねをしたことを「公の職に就こうとする人がこのような屈辱を与えれば、他の人にも広がっていく。軽蔑は軽蔑を招き、暴力は暴力を招く」などと批判した。
これに対し、トランプ氏は9日、ツイッターに「メリル・ストリープはハリウッドで最も過大評価されている女優の一人だ。自分のことを知りもしないのに攻撃した。彼女は大負けしたヒラリーの取り巻きだ」「障害のある記者のまねなどしていない」などと投稿した。
アカデミー賞受賞者のストリープさんは同賞にノミネートされる常連で、ハリウッドの大女優として知られている。
トランプ氏、大統領職かビジネスか 「利益相反」指摘も
トランプ次期米大統領は不動産業やホテルなどのビジネスを世界で展開してきた。大統領になれば「国益」を代表することになるが、自身の事業との利益相反を生み出す恐れがある。すでに多くの訴訟や借金もあり、新大統領はビジネスリスクのしがらみを抱えて就任する。
「大統領が利益相反を問われることはあり得ない」
トランプ氏は大統領選後の昨年11月、米紙ニューヨーク・タイムズとのインタビューでこう言い放った。
トランプ氏が大統領選の立候補時に提出した資産報告書によると、同氏が展開する関連企業や法人は500以上に及ぶ。多くが上場していないために詳細は明らかでないが、米メディアによると、少なくとも約20カ国で商取引し、外国政府とつながっている事業もあるという。
ブッシュ政権で、ホワイトハウスの倫理担当弁護士を務めたミネソタ大学のリチャード・ペインター教授は「過去には、資産家の大統領は何人もいる。しかし、トランプ氏のように世界各国につながるビジネスを展開した人はいない」と話す。その上で、大統領としての職務と、経営者としての判断の間で、利益相反が起きるかもしれないとの懸念を示した。
その一例は、昨年、首都ワシントンの旧郵便局の建物を改造して開業した「トランプ・インターナショナル・ホテル」だ。建物は今も米連邦政府が所有し、トランプ氏の関連企業にリースしている。トランプ氏が大統領に就くと、建物の「貸主」と「借り主」に同時になってしまう。
明らかな利益相反になるが、トランプ氏がさほど気にしている様子はない。利益相反を禁じる法律の対象に大統領がなっていないことからだ。インタビューでもトランプ氏は「法律は完全に私の側にある」と強調している。
一方で、米国憲法は公職にある人が議会の許可なく、外国政府から贈与や報酬を受け取ることを禁じており、この規定に違反するという意見も出ている。
ワシントンのトランプ・インターナショナル・ホテルは昨年、海外の外交官を招いたイベントを開いた。外交官からは「泊まることで、大統領への印象を良くしたい」との声が出た、と米メディアは報じている。
オバマ政権で倫理担当弁護士を務めたノーマン・エイゼン氏は「憲法の規定は、外国政府からの影響を排除するために設けられた」と指摘、外交官からの宿泊費が会社を経由してトランプ氏の資産となれば、憲法に抵触すると話す。
トランプ氏は昨年のツイッターで「大統領に専念するため、ビジネスを離れる」と発信。この問題について今月11日に開く記者会見で説明するとみられる。
ただ、エイゼン氏は「トランプ氏が会社経営から離れても、所有している限りは同じだ。子どもが会社経営にかかわるという点もおかしい」という。エイゼン、ペインター両氏らが連名で出した提言では「ビジネスをすべて売却しない限り、問題は解消しない」と指摘。このままでは就任とともに違憲状態が生まれると主張している。
このまま大統領になってしまうのか