またも木造船 佐渡島沿岸で転覆 北朝鮮の違法操業がEEZ内で急増
第9管区海上保安本部によると6日午後12時47分ごろ、新潟県の佐渡島北部の入埼沖で国籍不明の木造船が転覆して漂流しているのが見つかったとして、付近を航行する船舶に注意を呼びかけている。
日本海の沿岸地域では先月以来、小さな木造船が相次いで漂着している。先月16日には石川県の能登半島沖で北朝鮮の漁師を自称する3人が乗った木造漁船が海上保安庁の巡視船によって救助されたほか、23日には秋田県由利本荘市の海岸で発見された男8人を秋田県警職員が保護したばかりだ。
この8人は「1カ月ほど前にイカ漁のため北朝鮮を出たが、途中で漁船が故障した」と話しており、入国管理局が帰国に向けて準備を進めている。
さらに北海道の無人島、松前小島では、地元の漁業協同組合が管理している小屋から、テレビや冷蔵庫などの家電製品などが持ち出され、灯台から発電用のソーラーパネルが外されていたことも判明。北海道警の捜査で、同島に接岸していた北朝鮮籍と見られる木造船の乗組員が盗んだ疑いが高いとされる。
このほか、山形県や秋田県では白骨化した男性の遺体やバラバラになった船体の木片なども見つかっている。
水産庁によると、北朝鮮からとみられる木造船の多くは、男鹿半島から400キロほど西に離れた漁場「大和堆」の日本の排他的経済水域(EEZ)付近でイカやカニなどの違法操業を行なっている可能性が高い。
今年7月以降は海保の巡視船が北朝鮮や中国の違法漁船に対して退去するよう警告活動を進めていたが、9月中旬以降は木造船に加えて、鋼鉄製の漁船も見られるようになったという。
菅義偉官房長官は6日午前の会見で「地域住民の間では不審漁船や不審者に対する犯罪を懸念する不安の声も高まっている。実態を解明して、しっかり対応していくとともに、海上保安庁や警察、地元自治体と連携して沿岸警備隊性の強化を進めていく」と述べた。