トナカイの赤鼻には理由があった!盛り上がる議論に終止符?
今夜はクリスマスイブ。街にはまばゆいネオンがあふれ、楽しげなクリスマスソングが流れている。そのひとつ「赤鼻のトナカイ」は、もともとは米国の児童書を下敷きにして作られた歌なのだが、あのトナカイには「ルドルフ」という名前が付いているのをご存知だろうか?欧米では毎年この時期、赤鼻をめぐる議論が巻き起こるのだ。
ニューヨークのロチェスター大学のジョン・カレン医師によると、トナカイは、厳寒の土地で体温を高く保つために、鼻先に毛細血管が人間よりも25%ほど多く密集しているためだと考えている。
赤外線サーモグラフィーで撮影すると、一定量の運動を終えたトナカイの鼻は真っ赤になり、それはまるで寒さの中で鼻先が真っ赤になる人間のようだという。
しかし今回、新説を唱えるのが英国自然史博物館の研究チームだ。ハエの専門家であるエリカ・マカリスター学芸員は、「ルドルフが赤鼻なのは、寒さだけではなく、トナカイヒフバエに寄生されていたからです」と言う。
トナカイヒフバエとは、ミツバチのマルハナバチによく似ており、メスは北極のトナカイの鼻の粘膜に卵を産み付ける。幼虫は気管から喉に寄生し、成長すると体外に出るために、トナカイの喉に刺激を与え、咳やくしゃみを引き起こす。これが赤鼻の正体だと言う。
トナカイヒフバエが宿主にするのは、トナカイだけでなく、牛や人間も狙われる。寄生された牛は皮や肉、牛乳の味に影響を及ぼし、人間の場合は、緑内障やぶどう膜炎など、深刻な目の病気を引き起こす。
そのため、赤鼻だったのはルドルフ1頭だけでなく、彼を笑い者にしていた仲間のトナカイも感染していたおそれがあるのだ。