IS「イスラエル攻撃を」 新たな声明で警告
過激派組織「イスラム国」(IS)は27日、インターネット上で声明を出し、「カリフ国家の兵士らの視線はエルサレムへ注がれている」と主張してイスラエルへの攻撃を警告した。
AFP通信が伝えた。
声明は「今後数日の間に、これまでの恐怖を忘れるような危害を目の当たりにするだろう」と予告。昨年10月に死亡したバグダディ容疑者の後継で新たに最高指導者となった「アブイブラヒム・ハシミ氏」の呼び掛けとして、世界中のイスラム教徒に対して「ユダヤ人と戦い、ユダヤ人がイスラム教徒から盗んだものを奪還する」よう呼び掛けた。
イスラム教の特異な解釈による恐怖支配を敷いた過激派組織「イスラム国」(IS)の最高指導者だったバグダディ容疑者が、潜伏先のシリア北西部で死亡してから26日で1カ月。ISは後継指導者を速やかに指名し、過激思想に共鳴する世界各地の武装集団が続々と忠誠を誓うなど、復活に向けた不穏な動きも進んでいる。混迷に乗じたテロの脅威は消えず、各国は警戒を強めている。
「ISの再興能力にほとんど影響はないとみられる」。バグダディ容疑者の死亡について、米国防総省の監察官は11月下旬の報告書で警鐘を鳴らした。世界に散らばる支持勢力を通じたテロのリスクを指摘。「長期的にはISは世界的に活動範囲の拡大を目指す」と予測している。
ISはバグダディ容疑者死亡から5日後、次の最高指導者に「アブイブラヒム・ハシミ氏」が就いたと発表。ただ、詳しい素性は明かしていない。2014年にISの「国家」樹立を宣言後、公の場に姿を見せなかったバグダディ容疑者と同じく、露出を控えてカリスマ性と求心力を高める狙いもあるとみられる。
ISは後継指導者の公表と同時に、バグダディ容疑者を自爆死へと追い詰めた米国への報復を警告した。懸念された大規模報復テロは起きていないが、西アフリカのマリや中央アジアのタジキスタンでは、11月に入ってISが犯行を主張する襲撃事件が発生。勢力誇示を図っている。
イスラム過激派に詳しい専門家ムニール・アディーブ氏は「特にシリアやイラクでは政情や治安が安定せず、ISにとって勢力回復の好機。こうしたテロ組織が再び生まれる可能性は高い」と話している。