愛しいぢい

今年９３歳になるぢいは　
何年か前から　トイレの度に少量の出血が続いていて
新聞に広告掲載されている　痔の薬を愛用していた

昨年の夏ごろから頻繁に貧血で倒れ、
秋ごろ入院した
貧血はトイレの度の出血の量が度を越えたことにあり
ぢいの体内の血液は空っぽに近く、体は衰弱し輸血が必要になった

それが、輸血をしたら、ピンピン元気に回復
病院で出血した時に医師から「これは痔ぢゃないですよ」って言われたけど、
出血の原因を調べる検査にぢいの体は耐えられないとも言われた

こないだも実家に寄った時、ぢいが長いトイレから出てきた
ぢいの顔は真っ青で私たちがいた居間に倒れ込むように横になった
血の気がひき、体が小刻みに震え、呼吸がふぅ～ふぅ～乱れていた
ぢいに毛布を掛け体をさすり、冷え切った手を握り
耳のほとんど聞こえないぢいに呼びかける

愛しいぢい
出血が痛みを伴うものでなくて良かった
少し呼吸が安定するとちゃぶ台にあったイチゴに目をやり、手を出した
２つ目を食べるときヘタを取れと甘える仕草
自分の寝床に行き着くとまたふらつき震え出し私の名を呼ぶ
また私はぢいの体中をさすり温める
普段はスキンシップを嫌がるぢいが私にさすられている
ふいに「ぢいももう９２歳…」とつぶやくぢい


この日から二日後
ぢいは私に１０００円預け
「赤玉ポートワインを買ってきてくれ」と頼まれた頼んできた
「体調悪いんだからお酒は禁止っ」て怒った顔を見せたら
「酒ぢゃないっ、ワインぢゃわっ、ワインっ」
…呆れて言葉も出んわ、ぢいよ…

買ってあげなかったけど、怒れる元気があるなら安心
ぢい、またケンカしようね