もう、10年以上前の話です。
同僚のみーちゃん(仮名)が、いつも来るお客様を好きになっちゃった。
と言ってきた。
そのお客様は30過ぎ。
みーちゃんは、22歳。
みーちゃんは、見た目が派手でナイスバデーで、次々彼氏が変わってるような子だったけど、そのお客様に自分から告白する!と言って、その人が買い物に来たときに追いかけて告白しました。
すると彼は、
「自分は結婚してるから付き合うことはできない。でも、ご飯にいくくらいでいいなら。」
と答えたそう。
みーちゃんは、それでも良いと言って、すぐにご飯の約束をして、二人で会った。
その次の日。
食事どうだった?
と聞いたら、
「うん。楽しかったです。お泊まりも…
しちゃった♪」
との返事。
は?
なんですと?
昨夜、初めて二人であったのよね?
しかも、自分は結婚してるから付き合うことはできないって、言われたんじゃなかったの?
はぁ~。
理解できない。
相手も、みーちゃんも。
どういう流れで、ヤっちゃたわけ?
と思ったけど、みーちゃんは嬉しそう。
私は、不倫に関しては、否定しないし肯定もしない派。
それは本人とその家族の問題だからね。
自分の責任で好きにすれば?
と考えるタイプ。
だって、他人が止めても、する人はするし、機会があっても、しない人はしないもの。
もちろん、自分はそういうのはしないし、したくないと思ってる。
モラルの問題が一番だけど、好きな人を誰かと共有したくない。
私は意外と焼きもちやきなので。
私だけのものにできないなら、その恋は要らない。
そういう考えなので、正直みーちゃんの行動は、私には理解を超えるのです。
なので、別にみーちゃんにもなにも言わなかった。
私が言ってもどうにもならないものね。
「だって、好きになっちゃったんだもん。」
とか言ってるし。
そうやって、二人の関係は始まった。
そしたらね。
その人の奥さんも、よくうちにお買い物に来ていたのです。
「あの人、彼の奥さんだよ。おばさんだよね~おまけに地味じゃない?私の方が勝ってるよね。」
みーちゃんから、その奥さんを教えてもらった。
少し離れたところから見たけど、そんなに地味な訳じゃないよ?
年相応でしょ。
スッキリ、サッパリした服装で好感が持てる方にみえるけど?
と、思った私。
たしかにね、20代でピカピカのみーちゃんからみれば、30歳の奥さんはおばさんでしょうよ。
(そして、その当時私はもう30半ばだったんですけど?←もっとおばさん。)
ねぇ。
みーちゃん、あなた勝ってるって?
本気で勝ってると思ってるの?
どこに?
どの部分で勝ってると思うの?
とは、みーちゃんには言わなかったけど…。
私の気持ちとうらはらに、みーちゃんは楽しく付き合ってるようでした。
自分は若くてかわいくて、おまけにナイスバデーで。
彼氏は自分の方がいいに決まってると、思っているようでした。
そんなある日、彼氏が風邪で高熱出て寝込んだらしく、だからといって看病をすることができないみーちゃん。
「彼の家に行って、私が看病するって奥さんに言ったら、どんな顔するんだろうね。…できないけど。こんな時、看病することもできない…。」
と言った。
泣いてはいなかったけど、今にも泣きそうな顔。
かわいそうだとは思うけど、それは仕方ないこと。
これが現実。
「もしみーちゃん言うように家に行ったとしたら、捨てられるのはみーちゃんだよ。
奥さんと、みーちゃん、どっちをとると思う?
わかってるよね?」
キツいと思ったけど、私はみーちゃんにハッキリ言った。
ホントに家に行ったりしないとは思ったけど、万が一…を止めたかった。
その彼氏が、奥さんを捨ててみーちゃんを選ぶとは思えない。
奥さんは「現実、生活」で、
みーちゃんは「夢、非日常」
夢を見ても、いつか目覚めて現実へかえるでしょう。
どう考えても(まぁ、悪いけど考えなくても)みーちゃんは遊び。
それなら、わざわざ事を大きくしない方がいい。
たぶん、知ってるのは、本人たち以外には私だけ。
それなら、このまま終わらせた方が、傷が浅くて済む。
みーちゃんは、黙って頷いた。
泣いては、いなかった。
それからしばらくして、みーちゃんには年の近い彼氏ができた。
そして、奥さんは赤ちゃんを連れて買い物に来るようになった。
(うん、現実ってそんなものよね。)
みーちゃんも店をやめ、しばらくして県外へ引っ越したらしい。
あれから10年以上たった。
その間に震災もあったし、みーちゃんとはずっと連絡をとっていない。
たぶん今も、県外で暮らしているのだろうと思う。
そんなある日、あの彼氏の奥さんが久しぶりに買い物に来ていたのを見かけた。
男の子を二人連れていた。
あのあと、もう一人できたんだね。
二人が付き合っていたことは、奥さんには気づかれなかったのだと思う。
そうなると、結局泣いたのはみーちゃん一人。
たぶん、彼氏の方は特になんともなかったのでしょう。
何も知らず、家族のために買い物をする奥さん。
真実を知らないけど、知らないところで裏切られてた奥さん。
結局、選ばれなかったみーちゃん。
恋はきれいなことばかりじゃない。
ずるくて、醜くて、汚くて。
それでも、好きになれば、その人を手に入れたくなる。
好きになったから、告白したみーちゃん。
思いがけず若い子から告白された彼氏
。
結婚してるから、と告げても、それでも良いと言われて、しめしめ、と思ったのかしらね。
結婚って、何なんでしょうね。
ほんとんどの人が、たぶん裏切ることなく添い遂げるのでしょう。
それでも、身近でこんなことを見ると、こういうのって、簡単になってしまうものなのかも、と思ってしまう。
黄昏時のスーパーは、夕飯の買い物をするお客様でいっぱい。
お子さん二人を連れ、買い物をしていた奥さんも、これから家に帰り、美味しい夕食を作るのでしょう。
みーちゃん。
あれから10年以上たって、あなたもとっくに30過ぎてるはず。
あの時、おばさんだと言った歳になり、どんな人生を過ごしている?
彼氏が途切れない子だったから、きっと今も隣には誰かがいるでしょうね。
間違っても、若い子から、
「私の方が勝ちよね。」
なんて言われてないわね。
ふと思う。
もし、あの時。
彼氏が熱を出したあの時に、みーちゃんが家に押しかけて看病に行ってたら?
ホントはどうなってたんだろう。
「止めなきゃ良かったかしら。そしたら修羅場になってたかもね。」
一瞬、ブラックゆずかが顔を出す。
コワレルモノナラ コワシタホウガヨカッタ?
黄昏時のブラックゆずか。
ホントは他人の恋模様なんてどうでもいいの。
だけど。
みーちゃんは、若さゆえの少し生意気な子だったけれど、いつもハツラツとしていて、自分に正直で、そんなところが可愛かった。
恋をして傷つくのはしかたないこと。
無傷な恋愛なんてあり得ない。
だから、泣くのはしかたないとしても、彼女に他の家庭を乱すようなことはしてほしくなかった。
だけど、みーちゃんが告白しても、彼氏がそれを受け入れなければ、誰も泣くことはないわけよね?
奥さんがいるんだもの。
キッパリと断れば良かっただけのこと。
それはムリなんでしょうか?
男の人って。
「きっと今ごろは、みーちゃんも自分だけの幸せをつかんでるはずだよね。」
とか言ってる私が、いまだに独りなのが笑える。
勝ち負けでいったら、私はバリバリ負け組ね。
勝ったことないわ。
きっと、みーちゃんに笑われる。
でも、それでいいの。
私の人生は、これでいい。
ずっと、忘れていたのに、ふと思い出し、考え込んでしまった。
そんな、ある日の黄昏時。
同僚のみーちゃん(仮名)が、いつも来るお客様を好きになっちゃった。
と言ってきた。
そのお客様は30過ぎ。
みーちゃんは、22歳。
みーちゃんは、見た目が派手でナイスバデーで、次々彼氏が変わってるような子だったけど、そのお客様に自分から告白する!と言って、その人が買い物に来たときに追いかけて告白しました。
すると彼は、
「自分は結婚してるから付き合うことはできない。でも、ご飯にいくくらいでいいなら。」
と答えたそう。
みーちゃんは、それでも良いと言って、すぐにご飯の約束をして、二人で会った。
その次の日。
食事どうだった?
と聞いたら、
「うん。楽しかったです。お泊まりも…
しちゃった♪」
との返事。
は?
なんですと?
昨夜、初めて二人であったのよね?
しかも、自分は結婚してるから付き合うことはできないって、言われたんじゃなかったの?
はぁ~。
理解できない。
相手も、みーちゃんも。
どういう流れで、ヤっちゃたわけ?
と思ったけど、みーちゃんは嬉しそう。
私は、不倫に関しては、否定しないし肯定もしない派。
それは本人とその家族の問題だからね。
自分の責任で好きにすれば?
と考えるタイプ。
だって、他人が止めても、する人はするし、機会があっても、しない人はしないもの。
もちろん、自分はそういうのはしないし、したくないと思ってる。
モラルの問題が一番だけど、好きな人を誰かと共有したくない。
私は意外と焼きもちやきなので。
私だけのものにできないなら、その恋は要らない。
そういう考えなので、正直みーちゃんの行動は、私には理解を超えるのです。
なので、別にみーちゃんにもなにも言わなかった。
私が言ってもどうにもならないものね。
「だって、好きになっちゃったんだもん。」
とか言ってるし。
そうやって、二人の関係は始まった。
そしたらね。
その人の奥さんも、よくうちにお買い物に来ていたのです。
「あの人、彼の奥さんだよ。おばさんだよね~おまけに地味じゃない?私の方が勝ってるよね。」
みーちゃんから、その奥さんを教えてもらった。
少し離れたところから見たけど、そんなに地味な訳じゃないよ?
年相応でしょ。
スッキリ、サッパリした服装で好感が持てる方にみえるけど?
と、思った私。
たしかにね、20代でピカピカのみーちゃんからみれば、30歳の奥さんはおばさんでしょうよ。
(そして、その当時私はもう30半ばだったんですけど?←もっとおばさん。)
ねぇ。
みーちゃん、あなた勝ってるって?
本気で勝ってると思ってるの?
どこに?
どの部分で勝ってると思うの?
とは、みーちゃんには言わなかったけど…。
私の気持ちとうらはらに、みーちゃんは楽しく付き合ってるようでした。
自分は若くてかわいくて、おまけにナイスバデーで。
彼氏は自分の方がいいに決まってると、思っているようでした。
そんなある日、彼氏が風邪で高熱出て寝込んだらしく、だからといって看病をすることができないみーちゃん。
「彼の家に行って、私が看病するって奥さんに言ったら、どんな顔するんだろうね。…できないけど。こんな時、看病することもできない…。」
と言った。
泣いてはいなかったけど、今にも泣きそうな顔。
かわいそうだとは思うけど、それは仕方ないこと。
これが現実。
「もしみーちゃん言うように家に行ったとしたら、捨てられるのはみーちゃんだよ。
奥さんと、みーちゃん、どっちをとると思う?
わかってるよね?」
キツいと思ったけど、私はみーちゃんにハッキリ言った。
ホントに家に行ったりしないとは思ったけど、万が一…を止めたかった。
その彼氏が、奥さんを捨ててみーちゃんを選ぶとは思えない。
奥さんは「現実、生活」で、
みーちゃんは「夢、非日常」
夢を見ても、いつか目覚めて現実へかえるでしょう。
どう考えても(まぁ、悪いけど考えなくても)みーちゃんは遊び。
それなら、わざわざ事を大きくしない方がいい。
たぶん、知ってるのは、本人たち以外には私だけ。
それなら、このまま終わらせた方が、傷が浅くて済む。
みーちゃんは、黙って頷いた。
泣いては、いなかった。
それからしばらくして、みーちゃんには年の近い彼氏ができた。
そして、奥さんは赤ちゃんを連れて買い物に来るようになった。
(うん、現実ってそんなものよね。)
みーちゃんも店をやめ、しばらくして県外へ引っ越したらしい。
あれから10年以上たった。
その間に震災もあったし、みーちゃんとはずっと連絡をとっていない。
たぶん今も、県外で暮らしているのだろうと思う。
そんなある日、あの彼氏の奥さんが久しぶりに買い物に来ていたのを見かけた。
男の子を二人連れていた。
あのあと、もう一人できたんだね。
二人が付き合っていたことは、奥さんには気づかれなかったのだと思う。
そうなると、結局泣いたのはみーちゃん一人。
たぶん、彼氏の方は特になんともなかったのでしょう。
何も知らず、家族のために買い物をする奥さん。
真実を知らないけど、知らないところで裏切られてた奥さん。
結局、選ばれなかったみーちゃん。
恋はきれいなことばかりじゃない。
ずるくて、醜くて、汚くて。
それでも、好きになれば、その人を手に入れたくなる。
好きになったから、告白したみーちゃん。
思いがけず若い子から告白された彼氏
。
結婚してるから、と告げても、それでも良いと言われて、しめしめ、と思ったのかしらね。
結婚って、何なんでしょうね。
ほんとんどの人が、たぶん裏切ることなく添い遂げるのでしょう。
それでも、身近でこんなことを見ると、こういうのって、簡単になってしまうものなのかも、と思ってしまう。
黄昏時のスーパーは、夕飯の買い物をするお客様でいっぱい。
お子さん二人を連れ、買い物をしていた奥さんも、これから家に帰り、美味しい夕食を作るのでしょう。
みーちゃん。
あれから10年以上たって、あなたもとっくに30過ぎてるはず。
あの時、おばさんだと言った歳になり、どんな人生を過ごしている?
彼氏が途切れない子だったから、きっと今も隣には誰かがいるでしょうね。
間違っても、若い子から、
「私の方が勝ちよね。」
なんて言われてないわね。
ふと思う。
もし、あの時。
彼氏が熱を出したあの時に、みーちゃんが家に押しかけて看病に行ってたら?
ホントはどうなってたんだろう。
「止めなきゃ良かったかしら。そしたら修羅場になってたかもね。」
一瞬、ブラックゆずかが顔を出す。
コワレルモノナラ コワシタホウガヨカッタ?
黄昏時のブラックゆずか。
ホントは他人の恋模様なんてどうでもいいの。
だけど。
みーちゃんは、若さゆえの少し生意気な子だったけれど、いつもハツラツとしていて、自分に正直で、そんなところが可愛かった。
恋をして傷つくのはしかたないこと。
無傷な恋愛なんてあり得ない。
だから、泣くのはしかたないとしても、彼女に他の家庭を乱すようなことはしてほしくなかった。
だけど、みーちゃんが告白しても、彼氏がそれを受け入れなければ、誰も泣くことはないわけよね?
奥さんがいるんだもの。
キッパリと断れば良かっただけのこと。
それはムリなんでしょうか?
男の人って。
「きっと今ごろは、みーちゃんも自分だけの幸せをつかんでるはずだよね。」
とか言ってる私が、いまだに独りなのが笑える。
勝ち負けでいったら、私はバリバリ負け組ね。
勝ったことないわ。
きっと、みーちゃんに笑われる。
でも、それでいいの。
私の人生は、これでいい。
ずっと、忘れていたのに、ふと思い出し、考え込んでしまった。
そんな、ある日の黄昏時。