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ごく私的オバマ大統領就任演説「名言集」

2009年01月25日 14時34分06秒 | 俺のそれ
中には、「凡庸な演説だった」「心に残る言葉は何一つなかった」とか超辛口論評をしていた識者(特に英語圏の人)もいたらしく、私のような「英語のよく判らない人間」にとっては、そんなに不満に思うことがあるのかどうかさえ判らない(笑)。それほどの英語演説に関する鋭敏な感性を持ち合わせてはいないからだ。でも、新聞に掲載されていた全文を目にすることができ、時間をかけて読んでみるとようやく、そうか、そうだな、と感じることはあった。


そこで、極めて独善的基準から、私の選んだ名言を挙げておきたい。一応、ベスト3くらいということで。
(文の途中から抽出している部分を含みますので、大文字は当方で改変しています)


1) Our patchwork heritage is a strength, not a weakness.

:雑多(多種多様)な私たちの継承してきた遺産(先祖から受け継いできた伝統や文化や出自)は弱さではなく、強さなのです。

アメリカという国そのものを表すのが、「patchwork heritage」だ。世界中から集まってきた、寄せ集めの人々からなる国だ、と。みんな持っているものが別々だ、と。「heritage」は、自分のルーツも含め、民族的特徴や伝承・伝統や、文化や、ありとあらゆる今の「自分」の存在を形作る全てのもの、というような意図だろう。黒人というのもそうだし、肌の色だけではなく、出身地とか語族とか宗教とか、あらゆるものがあるだろう。そして「United States」そのものが、全米地図そのものが、まさしく「patchwork」になっているではありませんか!、ということなのだ。

「端布」のように、一つ一つは小さくて、大きな布地みたいに役立たないかもしれないけれど、みんなが結合(=patchwork)すればきちんと形をなして役立つものに変われるんだよ、というようなことだ。
恐らく大統領戦を戦っていく過程の中で、部屋に掲げられた全米の戦況を示す地図の彩りを見て、きっと誰かがこう言ったのかもしれない。
「まるでパッチワークみたいね」
そう、その時に、はたと気付いたのだ。
アメリカって、パッチワークそのものなんだね、と。
人種も言葉も出自も文化も宗教も、それぞれが自分の祖先のルーツを背負いながら、パッチワークを形成しているのだ。その多様性とそれを包容することができる寛容こそが、米国の強みなのだ。


<ちょっと寄り道:
数年前に東京で「ライオン・キング」を観た。家族と一緒だったが、不覚にも涙してしまったぞ(笑)。シンバをやっていた若い役者さんが歌うのだけれど、泣けてしまった。自分という存在が判らなくなり、自分の生き方に迷い悩んだ時、お父さんのそのまたお父さんのそのまたお父さん…というふうに、「自分」の中には先祖の全部が入っているんだ、ということを知ったのだった。だから、自分はひとりぼっちじゃないんだ、と、悟ったのだ。そうなんですよ、自分は先祖を継承しているのだ、遺産は自分の中にあるのだ、ということなんですよ。父ちゃんはいつも一緒にいる、とは、そういうことなんです。よい作品なので、是非若い人たちに観てもらいたいと思います。>


参考:
オバマ大統領誕生に思うこと

多文化の共存~オルハン・パムク


2) This is the price and the promise of citizenship.

:これが市民権の代償であり、誓いなのです。

移民の多い米国民にとっての「citizenship」という言葉は、日本人なんかだとあまり理解できないような感覚を有しているかもしれない(といっても、私にもよく判らないのだけれども)。市民権を得られなければ米国民ではない、ということだからね。なので、まずは市民になることが先決で、それによって市民権を得るのだ。かつての公民権運動の流れ(黒人の参政権獲得など)を含みつつ、「civil rights」とは言わず、移民にとっては大変重要な言葉である「citizenship」を選んだのだろう。

日本なんかであれば、民族的特徴とか日本語文化とかそういう「国民」という概念のようなものが存在していると思うが、移民国家の米国においてはそういう求心力は働かないだろう。その代わり、「citizenship」という権利を得るということ=米国の国民として(法的に)認められる・承認される、ということだ。国民の証とは、「citizenship」の権利行使に他ならない、ということかと。
その代償(対価?という方がよいのかな?)と約束(契約)が求められるよ、と。


3) We have duties to ourselves, our nation, and the world.

:私たちは、私たち自身と、私たちの国家と、そして世界に対して義務があるのです。

リズミカルに並べられた3連発、というのは、リンカーン演説のあれを彷彿とさせますね。
言ってみれば、小、中、大、という判りやすい構造です。物事の視野を、自分の身の回り(半径3mくらい?笑)、社会(国)全体、そして地球規模の世界全体、というふうに、まるで衛星写真をズームアウトしてゆくように、言葉の持つ音と合わせて、うまく作られていると思います。中身も言葉通りで判りやすい。



他にもきっと色々な名文が含まれているだろうとは思いますが、私にはちょっと手に負えそうにないので、これくらいにしておきます。もっと英語のできる人たちのご意見を参考にして下さい。英文を読むのが疲れるというか、大変なんですから…(笑)。




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