間が空いてしまいましたが、続きです。
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公務員制度改革について
1)「溜まり場」を作り、コースを選択してもらう
「溜まり場」は前回記事にもちょっと書きました。麻生政権時の「人材交流センター」だったか、ああいうのに似ているかもしれないが、名称とかは別にどうでもいいです。
大きく分けて、政治任用される所謂「幹部」コースと、若手なんかと一緒に従来型の仕事を定年までやってゆく「教官」コース、という感じですね。ある年齢か、入省年数か、役職在位年数か、そういったものでコース選択の時期を決めておく、ということになりますね。
<例>
・48歳の誕生日を迎える年度の○月○日
・入省から25年経過後の○月○日
・課長補佐着任後から3年以内
自分がその後のコースを選ぶ、ということでいいと思います。自分の能力評価として、今後幹部としてどうなんだろうか、といったことを考えたり、今までやってきた仕事をもっと大事にしたいとか、そういうことです。自らが決めればいいと思いますね。
2)「教官」コースとは
簡単に言えばベテラン、ということです。同じ職場に、役職は大したことがないとかほぼヒラなんだけど、「生き字引」と呼ばれるだとかで、判らないことがあれば○○さんに聞け、みたいな人っているんじゃないかな、と。若い時には、そういうベテランに色々教えてもらうと、全然違うと思うんですよ。だから、「今後は課長になれない」とか、課長補佐にもなれない、とかもあるかもしれませんが、そうであってもその人の尊敬が失われるとも思わないんですよね。それこそ「ベテランデカ」が階級は大したことがなくても、現場がいいって人だっているのではないかな、とか(実際見たことがないので知らないんだけど)。
所属とかは各省庁で柔軟に決めていいと思うけど、コーチングにあまりに不向きな人はよく考えてもらった方がいいかも(笑)。肩書というか階級は、「教育監督監」みたいに立派そうなヤツにしてあげるとよいかも。けど、自分より年下の課長等幹部には、従うということになります。
軍隊なんかでも、経験不足の若手中隊長+経験豊富なベテラン軍曹、みたいなありがち組み合わせってあるんじゃないでしょうか?そういうような感じで、ということ。
給与の増加幅は頭打ちとなり、伸びがあまり期待できなくなります。勤務期間の年限は延びますから、それなりの退職金は出ると思います。外郭団体とか何とかに出されて燻っているよりも、残って能力を発揮する方がいいのでは。ベテランなので一定以上の仕事能力が期待され(若手より処理速度は速くて当然)ますから、新米たちよりはるかに動けるはずでは。
基本的には、幹部登用はなし、昇給は弱、ということになります。
3)「幹部」コースは幹部以外の役割が重要
教官コース以外を選択した方々には、「溜まり場」に入って頂くことになります。とりあえずこの場のことを「内閣政策調査研究所」とでも呼ぶことにします。
基本的に、肩書はこの研究所の一員となり、調査研究官とか研究員とか、そういった身分を設けるということにします(もっと偉そうな名称が良ければ、そういうのを考えてみて下さい)。他の研究施設との区別がつき難いというのがあるかもしれないので、特徴ある名前でもいいです。
この中から、内閣がトップ級人事を指名するとかでよいのでは。昔で言う局長級くらいまでの主要幹部を数名指名し、後は官僚側で人事案を考えてもらえばよいのでは。内閣は人事案の拒否権だけ与えて、細かい部分には指名権を持たずともよいのでは。この人だけは絶対ダメ、みたいなのがあればいいと思う。野党なんかは降格できるように、と言っているので、更迭権とかはあることでもよいが特例的と考えるべき。
a)幹部―事務次官、局長級、総理・大臣秘書官等々
b)研究系
―長期的政策研究(概ね5年以上)
―短・中期政策研究
c)民間出向
d)海外出向
e)特別プロジェクトチーム
f)突発事態対応
―災害、感染症、事故、紛争、等々
―特定案件の調査や検査、実地・立入調査等
g)会計検査院、人事院、金融庁、日銀等に出向
h)行政評価チーム
i)行政制度改善チーム
j)臨時的な増員要員
k)その他
基本的には、省庁の垣根はないものと考える。各個人の能力とか適性とか得意分野とか、そういうもので判断してもいいと思う。
狙いというか、こうだったらいいんじゃないかな、という点でいうと、
・外へ出やすい(海外、民間、他省庁、研究機関等)
・出世コースが画一的ではない
・病気や出産、育児休暇等が取りやすい
・長期的に取り組む必要のある政策に専念しやすい
・臨機応変に対応する体制を組み易くなるかも
・「改善すべし」に対する解決までの時間短縮
といったことかな。
必要になるのは、個人の特性や長所を生かしつつも、複数分野に渡る即戦力となりうること。自分は財務省畑しか知らない・できない、というのではダメで、ヨソの省庁から「ちょっと来てくれ」と求められたら、即座に対応できるような力が必要になるかも。
研究系は、一概には言えないけれど、例えば環境問題の担当をしてきて、自分で「どうしても、こういう政策を実現したい」とか、担当を離れてしまってはできないようなこととかがあっても不思議じゃないと思うんですよね。そういう時でも、「この問題に専念して取り組みたい」ということなら、とことんやったらいいんじゃないかな、と。その代り、給与面では幹部に比べて低いこと、結果を求められること、というのがある。少なくとも研究面の成果として、政策に反映できうる程度のレベルで作るべき。実際の法案とか政策に結びついた場合には、成果報酬的に少し手当を付加してもいいかもしれない。研究がしたいという人は、原則として研究機関(政府系、民間、大学等)に入って頂くべき。ここでの研究というのは、政策実現を目指した、もっと直接的な研究という意味です。臨時要員といっても、全員にその求めがあるかどうかは判りませんから、余る人は出てきてしまうかもしれない、ということなので、何もしないで遊んでいるわけにもいかないはずですから、では今まで忙しくてできなかったかもしれない研究をやってみてはどうか、ということです。
自分の知らない分野に仕事に行ってみると、「こんなふうにやっていたのか、知らなかったな」とか新たな発見があるかもしれず、そういうのが自分の得意分野に結びつけば「こうやってみるといいんじゃないか」というようなことが思い浮かぶかもしれませんしね。
他省庁の人間がやってきて「ウチではこうやってたよ」とか相互の情報交換が進むし、いい所は真似したり改善できたりするから、双方にメリットはあると思う。
あと、海外出向ね。これが明治時代の人たちに比べても、少ないんじゃないか、と思わないでもないんですよ。例えば防衛省の幹部たちは、旧日本軍の幹部に比べて海外経験が少なすぎるのではないか、ということです。政府の幹部クラスになるのだから、もっと海外数カ国の在留経験がある、ということでもいいはずです。海外研究機関や国際機関への出向だって、もっと増やした方がいいと思えます。
今後は、そういう方向へ変えていった方がいいんじゃないか、ということです。
個人には向き不向きというのがあるので、海外はからっきしダメだ、という人は、そういうのを拒否できる仕組みさえあればいいのではないでしょうか。もっと別な分野で能力を発揮してもらえばよいのでは。
引く手が全然ない場合には、能力が不足しているとか、自分なりに考えて研究をやりながら研鑽するとか、そういうのをやっていけばいいのでは。
(追記:21時30分頃)
後で読み返してみると、説明がちょっとヘンだね。というか、判り難いかも。
「内閣政策調査研究所」のコースを選んだ人たちが仮に3000人いるとしよう。各省庁でポストの数は決まっている。課長○人、審議官○人、…みたいに。そのポストに割り当てるのは、内閣が指名したトップ級がやればいい。ポストに入れるのが1500人だとすると、残りは余るわけだ。
だけど、海外に行っていて今はいない、とか、育児休暇中でいないとか、民間にもう少し居たいとか、そういう人たちはそれなりにいるから、みんなが役職に付かなくともいいはずではないかな、と。
また、大型の案件とか、急ぎの仕事とかでプロジェクトチームを作るというような場合にも、「ちょっと手の空いている者は来てくれ」ってことで、余っている中からピックアップしてもいいし、下働きの兵隊要員(若手のペーペーみたいな人?笑)が必要であれば、農水省から1人+環境省から1人、とか働きバチ役の若いのを引っ張ってきて、その空いた穴の所に増援要員として研究員を割当てもいいんじゃないのかな、と。
このような方法は、各省庁の若い官僚を一時的にどこかに出すとか送り込むような場合にも、同じように使えるはずなので、外に行かせて空いた穴には増援要員としてやってくる人たちは必ず作れる、ということです。どこかの所属になるのであれば、一時的に研究員ではなくて、行った先の何かの肩書きを付けてもらえればいいんじゃないかな。勿論、病欠で困っているとかでも、即人員を用意できるはずでは。その為の「溜まり場」というか、プーリングしておける、というのが最大のメリットであるはずですからね。
幹部コースは必ず課長とか審議官とかの役職に就けるわけではないですが、当面いなくなっている人たちは必ず出てくるので、役職が回ってくるかもしれません、ということです。しかも以前にいた省庁には関係ないので、優秀であればどこからか声がかかるんじゃないのかな、と。