この前、デフレの時の実質賃金がどうしたこうした、という話(企業のマインドに変化かな)に触れたのだが、多分数字上の錯誤というか、認知科学的な問題なのではないかと思えたりする。私自身、経済学的な説明を知るまでは、同じ現金100万円なのにデフレ期間ではその価値が上がっていたんだ、ということには気付かなかった(笑)。普通の人たち(私もそうだけど)が「銀行の金利は少なすぎるんだよ!」と怒る気持ちは当然だと思うし、それは何故かといえば、多分「実質価値が上がっていた」ということを知らないからだと思う。どの程度価値がアップしたのかも、普通は知らないと思う。そこに、「数字の錯誤」のようなものがあるんじゃないかな、と。
テストの点数を考えてみよう。5回テストを行うとして、①毎回100点満点の試験、②満点が10点ずつ上がる試験、③満点が10点ずつ下がる試験、のように行っていくとしよう(千人とか1万人とか、できるだけ多くの人にやってみた方がいいですよね)。
正答率が次のようになっていたとしよう。
第1回:55% 第5回:70%
途中の正答率は多少の変動とかがあると思うが、段々点数がアップしていった、という場合を考えてみよう。
①の場合:
普通の試験はこのようなものが殆どだと思う。毎回100点満点なので、初回は55点、最後が70点ということになる。この比較は分かりやすい。基準が同じだし、上昇分が15点、とはっきり感じ取れるからだ。それと、普通の生活とか今までの経験上、慣れている方式とも考えられる。
②の場合:
毎回満点が変わり、同じ正答率であっても、数字が大きくなっていく幅が①の場合よりも大きい。初回55点で、最後は98点(140点満点)である。
③の場合:
②と逆のパターンであり、毎回正答率が上がっていったとしても、実際の数字が増大するとも言えない。初回55点で、最後は42点(60点満点)である。
このような試験をした後で、満足度でも達成度でもいいのですが、アンケートを取ってみるとどうなるか、というのが、問題意識の部分です。不満~満足に0~4点のスコアを与えるとか、face scaleのようなものでもいいのですが、評価してみるということですね。
すると、数字が大きくなっていく②群の評価はコントロールの①群よりも高く出やすいんじゃないか、逆に③群は①群よりも低く出てしまうんじゃないか、というのが私の予想です。正答率が同じ場合には、どの群も同じ「評価価値」であるはずなのですが、普段の生活の中で得られた経験上、「実際の数字」ということで判断しがちになるのではないか、ということです。そういう印象を受けてしまうのが、人間なのではなかろうか、と。
もしも、このような実験で③が低く評価され、②が高いならば、最初のデフレ下での現金価値や実質賃金の話との辻褄が合うように思えます。普通はこうした「実際の数字」というものの影響を受けやすく、「いま見ている数字の大きさ」で印象が決まってしまうという錯誤が生じるのかも、ということですね。前に、子どもの時の預貯金の話を書きましたが、当時、「数字が大きくなっていくこと」=「喜びとして感じ取っていた」、というのが自分の経験でした。これって、案外普通なんではないのかな、と(笑)。上記試験の点数のように、実際には価値としては変わらないのに、「数字が大きい」ということが大事なのではないか、その大きさで喜びの度合いも変わるのではないか、ということです。
本当にこのような実験が行われているとは思えませんが、仮に、このような錯誤が存在するならば、デフレは「心理的」にはマイナスに作用し、「インフレ」が望ましい、ということになると思います。感覚的には、「満点」が少しずつ増加する(=インフレ)方が、減少する(=デフレ)よりも好ましいと思うし、消費意欲などにも影響しそうな感じがしますね。
テストの点数を考えてみよう。5回テストを行うとして、①毎回100点満点の試験、②満点が10点ずつ上がる試験、③満点が10点ずつ下がる試験、のように行っていくとしよう(千人とか1万人とか、できるだけ多くの人にやってみた方がいいですよね)。
正答率が次のようになっていたとしよう。
第1回:55% 第5回:70%
途中の正答率は多少の変動とかがあると思うが、段々点数がアップしていった、という場合を考えてみよう。
①の場合:
普通の試験はこのようなものが殆どだと思う。毎回100点満点なので、初回は55点、最後が70点ということになる。この比較は分かりやすい。基準が同じだし、上昇分が15点、とはっきり感じ取れるからだ。それと、普通の生活とか今までの経験上、慣れている方式とも考えられる。
②の場合:
毎回満点が変わり、同じ正答率であっても、数字が大きくなっていく幅が①の場合よりも大きい。初回55点で、最後は98点(140点満点)である。
③の場合:
②と逆のパターンであり、毎回正答率が上がっていったとしても、実際の数字が増大するとも言えない。初回55点で、最後は42点(60点満点)である。
このような試験をした後で、満足度でも達成度でもいいのですが、アンケートを取ってみるとどうなるか、というのが、問題意識の部分です。不満~満足に0~4点のスコアを与えるとか、face scaleのようなものでもいいのですが、評価してみるということですね。
すると、数字が大きくなっていく②群の評価はコントロールの①群よりも高く出やすいんじゃないか、逆に③群は①群よりも低く出てしまうんじゃないか、というのが私の予想です。正答率が同じ場合には、どの群も同じ「評価価値」であるはずなのですが、普段の生活の中で得られた経験上、「実際の数字」ということで判断しがちになるのではないか、ということです。そういう印象を受けてしまうのが、人間なのではなかろうか、と。
もしも、このような実験で③が低く評価され、②が高いならば、最初のデフレ下での現金価値や実質賃金の話との辻褄が合うように思えます。普通はこうした「実際の数字」というものの影響を受けやすく、「いま見ている数字の大きさ」で印象が決まってしまうという錯誤が生じるのかも、ということですね。前に、子どもの時の預貯金の話を書きましたが、当時、「数字が大きくなっていくこと」=「喜びとして感じ取っていた」、というのが自分の経験でした。これって、案外普通なんではないのかな、と(笑)。上記試験の点数のように、実際には価値としては変わらないのに、「数字が大きい」ということが大事なのではないか、その大きさで喜びの度合いも変わるのではないか、ということです。
本当にこのような実験が行われているとは思えませんが、仮に、このような錯誤が存在するならば、デフレは「心理的」にはマイナスに作用し、「インフレ」が望ましい、ということになると思います。感覚的には、「満点」が少しずつ増加する(=インフレ)方が、減少する(=デフレ)よりも好ましいと思うし、消費意欲などにも影響しそうな感じがしますね。