前の記事に、ちょっと追加しておきたい。
貸金業界の貸し手といっても、色々とあるわけです。割とまともな貸し手はいるが、悪い貸し手も勿論多数いる(池田氏なんかは9割以上がヤミ金だ、とか言ってるし)。貸金業法改正による上限金利規制で、まともな貸し手も廃業に追い込まれてしまうかもしれない、というのはその通り。だが、「悪い貸し手だけを個別に完全撃破」というのは中々困難であったが故に、これまでヤミ金を排除できないできたわけだ。
前にも書いたのだが、副作用があるにせよ、「抗生物質」を投与して悪い細菌の殲滅作戦を行うことには一定の効果が期待できることは多々あるので、用いることが必ずしも悪いわけでもないだろう。
参考>サーチコスト(追記あり)
割とまともな貸し手にとってみれば、借り手が直ぐに「飛んだり」(破産とか、夜逃げとか)せずに、ダラダラと利息を払い続けてくれる方がありがたい。けれども、儲けるビジネスというのは、そう単純でもないように思える。追い込むインセンティブはない、とはあながち言えないんじゃないだろうか。
もしもヤミ金業者になるとして、どうやるか考えてみる。NHKで放送されていた相談事例に基づいて考えてみる。
まず10万円を用意。で、借り手を釣り上げることに成功したとしよう。
13000円融資して、1週間後に10000円+元金13000を払えばチャラだと約束する。そもそも僅か13000円さえも用意できない、というところに罠の意味があるのだ。相手がすんなり払えない、ということが判っているからウマミがあるのだ。
1週間後、5000円しか用意できなかったとする。となると、23000円払わねばならない所を5000円しか払えないので、借入額は18000円に増えている。1週間後には10000円+18000円を払わねばならないとする。しかし、再び死に物狂いでお金をかき集めても、5000円しか用意できない、と。すると、28000円払わねばならないところを、5000円しか減らないので、今度は23000円となる。これが延々と続けられる。債権額は大きくなっていく。この数字が大きくなることで、借り手に心理的圧迫をどんどん与えられる。しまいには、数字だけがどんどん成長し、数十万、数百万円、という額になっていくのである(NHKの事例では80万円以上に膨らんでいた)。3人が自殺した八尾の事件(だったかな?)にしても、僅か1万円か2万円の借入で、最後には100万円以上に膨れあがっていた。
こうしてヤミ金業者は、元金は僅か13000円かそこらで数十万円とか100万円分の債権を持つことができるのである。これが合法の貸金だと時間経過のスピードがちょっと遅くなり、普通は返済負担に耐えられなくなるまでにはかなり長い時間経過を必要とする。けれども、返済がうまくできない人たちは当然いるので、初めの資金需要―仮に50万円としても、それ以上に債権額を膨張させられるのだ。うまく回収できれば、10倍も夢ではない(笑、例えばコレ>カモは太らせてから食べるのが鉄則)。ある程度の大きさにならないと、借り手側に「重大な決心」をさせられない。通常、10万円の借金苦で自殺しましたとか、貸金に10万円の借金があって返済の為に強盗に入ろうと思った、ということは滅多にないのである。金利負担さえも困難になれば、どんどん大きく成長させられるのだ。元手は少なくても。これが望ましいビジネスモデルである。まさしく「金が金を産む」というのが一番いいのである。そういう貸し手は確実に存在しているのである。債権額だけ成長させていくのが、オイシイのだ。
年収240万円の若い男性が貸金から無担保融資で引っ張れるのは、80万円くらいまで?(笑)
そんな訳はないのですよ。
これまでの貸出傾向から見ても、途中で貸し込みに参加している業者は複数存在している。4社から20万円ずつ、とか借りているとしても、その上に更に貸していく業者たちはいるわけだ。で、残高が200万とか400万くらいになってしまって、さすがにどうにもならないと親とかに肩代わりさせる、というのもありがちだな。こういう時、実質的には代位弁済となっているものの、処理上では本人が支払っていることになるだろう。本人債務がキレイさっぱり清算されました、ってね(笑)。彼女から借りて、別れた後で返さないとかになって揉めるとかもあるらしいし。逃げる彼氏もいるらしいからね。ああ、結婚した後になってから、ダンナの独身時代の借金300万円とかバレて、しかたなく嫁さんが持参した金で貸金に払ったりとか。こういうのも実質的に代位弁済になると思う。残高を膨らませないと、こうはならない。膨らんでも本人以外が払う可能性はあるので、貸し込んだ方が「ウマー」となることは多々ある。そういうウマミがなけりゃ、ヤミ金が多重債務者を狙って貸し込んだりはせんよ(笑)。既にアップアップになってきている人を狙い撃ちしたりはしないのでは。既に複数貸金業者から借入していて払えなさそう・貸倒になりそうな状況に陥っているにも関わらず、ワザワザ貸すんだからね。
人間に重大な決心をさせるには、少々のハンパな額じゃダメなんですな。埼玉県警の警官だったか、郵便局の連続強盗事件の犯人は、動機が借金であった。6200万円くらいの借金を貸金なんかに抱えていたんだそうだ(住宅ローンが含まれるのかどうかは判らなかった)。これも、もっと手前の段階で債務減額とかの処理をきちんとやって、返済計画を別に立て直せば、公務員なんだからかなり返済できたであろうに。強盗なんかしなくても。でも、貸してるヤツラがいるからこそ、こんだけ債務が膨らませられるわけだ(笑)。社保庁職員も貸金に借金抱えていたもんだからって、庁舎内で連続窃盗事件を28件もやっていたんだと。これも、公務員なのにどうして、と思うのだが、こういうことはあるんですよ。自殺にしても、そうだ。10万や20万くらいじゃ、踏ん切りがつかない。でも、到底返済することは無理だ、というような額に達すると、命で払う人も出てくる。債務残高が300万円くらいに膨れ上がっていても、実際に使った額はずっと少ない。途中からは、返済する為だけに借入を行うので、自分の消費には決して回されないからだ。貸金会社から別な貸金会社へと金が移されるだけ。でも、これをやってくれることで、どの貸金業者も分配にあやかれることになる。最後の方に近くなって貸し込むと損することもあるけれど、あちこちに返済を回していくと空いた枠からはまた一杯に借りるだろうから、それなりに配分されていくのさ。そして、最後には保険で回収…「団信」ウマー。そうやって、貸金業界全体が大きく成長してきたのさ。
破産者というのは、銀行及びクレジットカードだけの利用者というのはかなり少ない。大半の破産者というのは、複数貸金業者からの借入を行っている者の中から生み出される。債権額も貸金業者が6割~7割くらいを占める。貸金業者の債権というのは、貸金業者からの借金で創造された借入需要が多いだろうと推測している。大手貸金は一口座当たり50万円程度の残高があったと思うが、自殺者の平均債務残高で見ると、貸金業者1社当たり58万円弱くらいだったかな。平均貸付残高は20万くらい、なんてことはないワナ。実際そうやって貸しているんだし、98年以降06年までの9年間で、貸金市場から退出(自己破産とか…)したのが約155万人にもなるのであれば、「副作用は少ない」とか言うレベルではないだろうな。たとえそうではあっても、「これはキノコのせいじゃない、利用する人間の側に問題があったからだ!」とか、「この薬の害なんかない、飲みすぎた人が悪いんだよ!」とか、産経社説子なみのレベルで理屈をこねる連中がいるが、155万人という人数に重大な問題が既に発生しているのなら早急に対処するべきであると考えるのは普通だと思うが。まあ、これを全部の「僅か1%か2%に過ぎないんだから何ら問題ない」とか言う人もいるけどね(笑)。これを同意することはできない。
貸金業界の貸し手といっても、色々とあるわけです。割とまともな貸し手はいるが、悪い貸し手も勿論多数いる(池田氏なんかは9割以上がヤミ金だ、とか言ってるし)。貸金業法改正による上限金利規制で、まともな貸し手も廃業に追い込まれてしまうかもしれない、というのはその通り。だが、「悪い貸し手だけを個別に完全撃破」というのは中々困難であったが故に、これまでヤミ金を排除できないできたわけだ。
前にも書いたのだが、副作用があるにせよ、「抗生物質」を投与して悪い細菌の殲滅作戦を行うことには一定の効果が期待できることは多々あるので、用いることが必ずしも悪いわけでもないだろう。
参考>サーチコスト(追記あり)
割とまともな貸し手にとってみれば、借り手が直ぐに「飛んだり」(破産とか、夜逃げとか)せずに、ダラダラと利息を払い続けてくれる方がありがたい。けれども、儲けるビジネスというのは、そう単純でもないように思える。追い込むインセンティブはない、とはあながち言えないんじゃないだろうか。
もしもヤミ金業者になるとして、どうやるか考えてみる。NHKで放送されていた相談事例に基づいて考えてみる。
まず10万円を用意。で、借り手を釣り上げることに成功したとしよう。
13000円融資して、1週間後に10000円+元金13000を払えばチャラだと約束する。そもそも僅か13000円さえも用意できない、というところに罠の意味があるのだ。相手がすんなり払えない、ということが判っているからウマミがあるのだ。
1週間後、5000円しか用意できなかったとする。となると、23000円払わねばならない所を5000円しか払えないので、借入額は18000円に増えている。1週間後には10000円+18000円を払わねばならないとする。しかし、再び死に物狂いでお金をかき集めても、5000円しか用意できない、と。すると、28000円払わねばならないところを、5000円しか減らないので、今度は23000円となる。これが延々と続けられる。債権額は大きくなっていく。この数字が大きくなることで、借り手に心理的圧迫をどんどん与えられる。しまいには、数字だけがどんどん成長し、数十万、数百万円、という額になっていくのである(NHKの事例では80万円以上に膨らんでいた)。3人が自殺した八尾の事件(だったかな?)にしても、僅か1万円か2万円の借入で、最後には100万円以上に膨れあがっていた。
こうしてヤミ金業者は、元金は僅か13000円かそこらで数十万円とか100万円分の債権を持つことができるのである。これが合法の貸金だと時間経過のスピードがちょっと遅くなり、普通は返済負担に耐えられなくなるまでにはかなり長い時間経過を必要とする。けれども、返済がうまくできない人たちは当然いるので、初めの資金需要―仮に50万円としても、それ以上に債権額を膨張させられるのだ。うまく回収できれば、10倍も夢ではない(笑、例えばコレ>カモは太らせてから食べるのが鉄則)。ある程度の大きさにならないと、借り手側に「重大な決心」をさせられない。通常、10万円の借金苦で自殺しましたとか、貸金に10万円の借金があって返済の為に強盗に入ろうと思った、ということは滅多にないのである。金利負担さえも困難になれば、どんどん大きく成長させられるのだ。元手は少なくても。これが望ましいビジネスモデルである。まさしく「金が金を産む」というのが一番いいのである。そういう貸し手は確実に存在しているのである。債権額だけ成長させていくのが、オイシイのだ。
年収240万円の若い男性が貸金から無担保融資で引っ張れるのは、80万円くらいまで?(笑)
そんな訳はないのですよ。
これまでの貸出傾向から見ても、途中で貸し込みに参加している業者は複数存在している。4社から20万円ずつ、とか借りているとしても、その上に更に貸していく業者たちはいるわけだ。で、残高が200万とか400万くらいになってしまって、さすがにどうにもならないと親とかに肩代わりさせる、というのもありがちだな。こういう時、実質的には代位弁済となっているものの、処理上では本人が支払っていることになるだろう。本人債務がキレイさっぱり清算されました、ってね(笑)。彼女から借りて、別れた後で返さないとかになって揉めるとかもあるらしいし。逃げる彼氏もいるらしいからね。ああ、結婚した後になってから、ダンナの独身時代の借金300万円とかバレて、しかたなく嫁さんが持参した金で貸金に払ったりとか。こういうのも実質的に代位弁済になると思う。残高を膨らませないと、こうはならない。膨らんでも本人以外が払う可能性はあるので、貸し込んだ方が「ウマー」となることは多々ある。そういうウマミがなけりゃ、ヤミ金が多重債務者を狙って貸し込んだりはせんよ(笑)。既にアップアップになってきている人を狙い撃ちしたりはしないのでは。既に複数貸金業者から借入していて払えなさそう・貸倒になりそうな状況に陥っているにも関わらず、ワザワザ貸すんだからね。
人間に重大な決心をさせるには、少々のハンパな額じゃダメなんですな。埼玉県警の警官だったか、郵便局の連続強盗事件の犯人は、動機が借金であった。6200万円くらいの借金を貸金なんかに抱えていたんだそうだ(住宅ローンが含まれるのかどうかは判らなかった)。これも、もっと手前の段階で債務減額とかの処理をきちんとやって、返済計画を別に立て直せば、公務員なんだからかなり返済できたであろうに。強盗なんかしなくても。でも、貸してるヤツラがいるからこそ、こんだけ債務が膨らませられるわけだ(笑)。社保庁職員も貸金に借金抱えていたもんだからって、庁舎内で連続窃盗事件を28件もやっていたんだと。これも、公務員なのにどうして、と思うのだが、こういうことはあるんですよ。自殺にしても、そうだ。10万や20万くらいじゃ、踏ん切りがつかない。でも、到底返済することは無理だ、というような額に達すると、命で払う人も出てくる。債務残高が300万円くらいに膨れ上がっていても、実際に使った額はずっと少ない。途中からは、返済する為だけに借入を行うので、自分の消費には決して回されないからだ。貸金会社から別な貸金会社へと金が移されるだけ。でも、これをやってくれることで、どの貸金業者も分配にあやかれることになる。最後の方に近くなって貸し込むと損することもあるけれど、あちこちに返済を回していくと空いた枠からはまた一杯に借りるだろうから、それなりに配分されていくのさ。そして、最後には保険で回収…「団信」ウマー。そうやって、貸金業界全体が大きく成長してきたのさ。
破産者というのは、銀行及びクレジットカードだけの利用者というのはかなり少ない。大半の破産者というのは、複数貸金業者からの借入を行っている者の中から生み出される。債権額も貸金業者が6割~7割くらいを占める。貸金業者の債権というのは、貸金業者からの借金で創造された借入需要が多いだろうと推測している。大手貸金は一口座当たり50万円程度の残高があったと思うが、自殺者の平均債務残高で見ると、貸金業者1社当たり58万円弱くらいだったかな。平均貸付残高は20万くらい、なんてことはないワナ。実際そうやって貸しているんだし、98年以降06年までの9年間で、貸金市場から退出(自己破産とか…)したのが約155万人にもなるのであれば、「副作用は少ない」とか言うレベルではないだろうな。たとえそうではあっても、「これはキノコのせいじゃない、利用する人間の側に問題があったからだ!」とか、「この薬の害なんかない、飲みすぎた人が悪いんだよ!」とか、産経社説子なみのレベルで理屈をこねる連中がいるが、155万人という人数に重大な問題が既に発生しているのなら早急に対処するべきであると考えるのは普通だと思うが。まあ、これを全部の「僅か1%か2%に過ぎないんだから何ら問題ない」とか言う人もいるけどね(笑)。これを同意することはできない。