よもや続編を書くことになろうとは思いもよりませんでした(笑)。
いつものボツネタさん経由。
>貸金業法グレーゾーン撤廃は是か非か @本日のサンプロ - ボ
番組をみてないので、書かれている部分だけからしか判りませんが、感想を少し書いておきたいと思います。
まず、テレビでただのショーをやりたいだけにしか思えませんね。やる意味がない。
サンデープロジェクト
あれですか、平ちゃんと木村剛氏を呼んで「貸金業法改悪」と「官製不況」を演出したい、という意図か何かでやった(参考記事)ものについて、弁護士団体あたりから猛烈反発を食らったので、しょうがなく当該弁護士を呼んで「言い負け」場面でも演出したかった、ということでしょうか?(笑)
どうしてそう思うかって?賛成派には弁護士しか呼んでないからですよ。で、その対抗として小林節慶大教授をお招きしましたよ、と。弁護士が苦手としそうな経済的論点には、全然知らないどこかのコンサルを呼んでおきましたぜ、と。まあ、私のちっぽけな脳みそでは、そんな図くらいしか思いつかないもので。肩書きの重みからいって、教授と一介の弁護士のどちらの方を信じてしまうでしょうか、みたいなことですわな。
圧倒的多くの視聴者には、規制反対派の言う論点が事実なのかどうかは、判りっこないからね。番組中では何とでも言える。たとえ根拠のない意見であっても、言い負かした方が勝つ。視聴者にはそうした印象を植え付けることに成功する。ま、そういうこと。単なるショーに過ぎない。
小林節教授には、かねてよりお願いがございましたが、未だもって「憲法違反である」という法学的ご意見を拝見してはおりませんが、その後どうなったのでしょうか?日本の法学部というのは、この程度のものであるということでしょうか?
日本の憲法学者の真意を問う
弁護士の決め台詞は「憲法違反」?
「口は弁護士、心はサギ師」を何度も取り上げて恐縮ですが、なるほどうまい言い草であるなと改めて思いましたよ(笑)。
小林節教授は、産経新聞に憲法違反であることの論点を載せるべきではありませんか?文章で残ると何か都合の悪いことでもあるのでしょうか?それができない理由というものが判らない。サンプロの紹介文にも、きちんと「憲法違反と主張する憲法学者」とまで書かれているのですから、今更「憲法違反の論点を文章で書くことはできない」などということなど到底ありますまい。その論拠について、法学界できちんと評価してもらえばいいだけではありませんか(笑)。なぜそれができないのでしょう?憲法学者が言うのであるから、よもや間違いだの大勢に否定されるだのという事態などなかろうて。憲法学者は弁護士を目の前にしながら、憲法違反であることを立論すればよかったものを、それもしていなかったようですが(要約には出ていなかったので)、それすらもできない理由というものが判らないですね。恥を晒すのを怖れた、ということではないとは思いたいですがね。
さて、否定派の主張点は、これまでに散々見てきたものであるので、目新しいものでもない。が、一応もう少し書いてみたい(ボツネタさんの記事から『』で引用部を示します)。
『反対意見者(憲法学者)は,これまでグレーゾーンで借りていた中小企業が,資金繰りがつかずに倒産する件数が最近急に増えたことを問題視し,また,粗利が29.2%というのは通常の経済活動として暴利とは全くいえず(通常の商売ではもっと粗利は多い),諸外国と比較しても貸金の利息が29.2%が高いとは言えないと主張しています。』
しつこいな。
「(これまで借りていた)中小企業が、資金繰りがつかずに倒産する件数が最近急に増えた」
この事実を示せばいいものを、何故誰もやらないのか?
きっと小林教授ならばできるのでしょう。だからやってごらんよ。これまで産経だの日経新聞でも似たような理屈を並べていたが、どこもその事実を示したことなどないですがね。無責任放言ならば、誰でも好きにできるからね。
いわゆる個人向け消費者金融(俗にいうサラ金)業者(以下、便宜的にサラ金業者と呼ぶ、アコムだのアイフルだのそういう業者)の事業者向け融資額はどのくらいか知ってますか?サラ金は個人向けが圧倒的に多いんですが、事業者向け融資は極めて少ないんですって。たったの3%でしかない。額にして約2900億円程度だ。
一方、事業者向け貸金業者というのは、個人向けのサラ金業者数よりもずっと少ないが、それでも1500以上ある。その融資残高は「サラ金業者全部の額」よりも多いんですよ。サラ金業者全部で(個人向け含む)11兆円程度だが、事業者向け貸金業者では18兆円くらいある。その他ノンバンクを含めると、事業者向け融資は約2倍くらいはある。
グレーゾーンで貸せなくなったから事業者が資金調達できなくなって倒産が激増したって?
口から出まかせ言ってるんじゃないよ。サラ金業者が事業者向けに貸してるのは約2900億円でしかないのだから、新銀行東京と日本振興銀行が貸せば楽勝で賄えるだろ(笑)。両行合わせて融資に回されず国債買ってる額は、それよりも多いって。だから何遍も言ってるだろが。「返せるのに借りられなくて倒産する」って言う連中が、大々的に運動をやればいいだけなんだって。「新銀行東京が貸せばいい、日本振興銀行が貸せばいい」って、新聞にも書いてもらえ。テレビでも「新銀行東京の融資先が見つかりました、借りられなくて困っている中小企業を引き受けます」って運動をやればいいだけだろ。「命の資金ホットライン」とでも銘打って、新銀行東京に融資を実行させればいいだけだ。こんな簡単なことが何故憲法学者様には判らないのかね。極めて不思議だ。貸せばどちらの銀行も、儲かりまくってウハウハじゃないか。貸せばいいだけだろ、こんなウマイ話。倒産しないんだろ?返せるんだろ?ならば、明日から早速やれって(笑)。
因みに、事業者向け貸金業者の貸出金利はどれくらいか知ってますか?ざっと17兆円のうち、約60%が2%以下、約23%が2~4%以下だ(笑)。日本振興銀行みたいに高い貸出金利じゃなくても、ノンバンクが2%以下で貸してくれてるんだよ。「貸出残高の約91%が8%以下」でしかない。もうちょっと言うと、20%以上で貸してるのは約1.9%、残高で3250億円程度だ。この全部が仮に貸し出されなくなったとして、これが不況を起こす原動力になったと?
以前に木村剛氏の「官製不況説」を批判した時にも書いたが、算数程度の計算ができないくせに偉そうに経済ナントカの肩書きで判ったような口を叩く連中が多いってことだわな。企業倒産による負債総額は、はるかにデカイですって(笑)。
<ちょっと寄り道:
木村剛氏は、どうしてサンプロに出演し、正々堂々と反論しなかったんですかね。元はと言えば自分自身の主張ではないか。あれほど貸金業法改悪だ、官製不況だ、と言っていたのであるから、いくらでも反論できるはずだろう。回避する意味が判らない。大チャンスじゃないか。官製不況を叩けるのにね。
番組の人も、どこぞのコンサルを呼ぶよりも、知名度の高い経済学者(笑)とか呼べばよかったじゃないか。いくらでもいたでしょ?>
サラ金業者が事業者向け融資をやめることで仮に3000億円が貸し出されなくなったとしても、その額より返還費用の額ははるかに多い。自業自得ってことだ。返還費用は法改正のせいではないけどな。
次に行こう。
『経済学者は,規制の緩和に逆行していること,意図せざる信用収縮が起きること,ヤミ経済が栄えることを問題視しています。
さらに,この消費者ローンによる信用収縮,金融業者の経営悪化が,サブプライムローン問題の日本版にならないかという懸念も指摘されていました。』
ボツネタさんは経済学者と呼んでいますが、違いますね。タダのコンサルと思いますね。これは別にどうでもいいけど。
規制緩和に逆行、というのは何ら関係ない主張で、上限解除の根拠とか理由にはなりませんね。意図せざる信用収縮というのは、貸し手が無軌道に貸していた場合には、そうなってしまいますな。サブプライムローンが貸出審査を厳格化したのと同じだ。上限のせいで「信用収縮」が起こったのではないですよね。ヤミ金が栄える、という論点もしつこいですが、その実証がないのであれば説得力に欠ける。ヤミ金被害額や被害者数は減少していたことが窺われる(今年上半期、ヤミ金摘発急増!)が、最近の数字はどうなのか判らない。が、このコンサルや同様の主張をしていた人間が、数字で示してくれればいいだけだな。一般論を言うだけでは、あんまり意味はない。
「サブプライムローン問題の日本版」って、一体誰が言ったの?こじつけだけなら、何とでも言えるわな(爆)。サラ金業者の貸出残高が激減したとして、どうなるって?別に借り手が破綻して、貸倒額が数十兆円にもなるとかってわけでもあるまいに。米国のサブプライムローンと話を混ぜて、恐怖感を煽りたいだけだろ。既に書いた話だが、参考までに、消費者ローン全体では98年に2.2兆円、99年には3.4兆円減少した(因みに、上限が引下げられた(40.004→29.2%)のは00年だけど、サラ金は03年まで貸出残高を増加させていた)。今の減少額とは比較にならんだろう、多分。今は1兆円以下ではないかと思うけど、どうなんだろう。返還費用が多額にある分を除くと、上限引下げによる信用供与減少額は更に少なくなるだろう。
要するに、言いがかりみたいなもので、何でも論点を拡大して、思いつきで言うことは誰でもできる。しかし、根拠となる数字とか資料というのは、一切ない。彼らの言い分というのは、「こういうことも考えられるんじゃないか、こんなことがあったらどうするのか」みたいな話だけだ。これでもしも信用供与額があまり落ちてないとか、銀行系やカード系なんかの比較的低い金利帯で貸出残高が増加していたら何と言うのだろうね。来年になってみなけりゃ判らないんだけどさ。既にサラ金での貸出は、2社以下の貸出人数は増加してるからね、一応。
残りの部分。
『過払金返還訴訟については,司会者田原聡一郎氏を含め,やりすぎではないか,弁護士が儲かっているだけではないかという雰囲気で,議論が進んでいました。一連の最高裁判例の法理について,これが出る前になされた貸付けにまで遡及適用するのは,「法の不遡及」の趣旨から問題ではないかという指摘です。』
弁護士が儲かってる、というのはその通りだろうと思う。もっといい方法があれば、それをやるのが望ましいと思うけどね。やり過ぎとか言うのは、どうなのか判らない。評価は色々とあるだろう。個人的には、返還して貰う方がまだマシだと思う。
「法の不遡及」の趣旨云々は、誰が言ったのでしょう?まさか、小林教授でしょうか?いや、どうなのか知らないんですが。これって、全くの見当ハズレなんでは?何を言ってるのかと思いますけど。
不遡及を言うのであれば、少なくとも「利息制限法の上限に関する条文(1条)が、貸付した時には存在しなかった」ということが必要と思うが。貸した時点で利息制限法1条が制定されていたのであれば、不遡及でも何でもないとしか思えないのだが。
不遡及原則を適用というのは、例えば99年に貸出してそれ以降返済していたが、06年に新たな法が制定され、その法によって99年の貸出までもが「違法認定される」ということであって、事後的な立法で違法として処罰されたり法的責任を負わされるのはおかしい、これを回避せよ、ということだろう。しかし、貸出時点で既に立法されていた法であるなら、その法に基づいて責任を負うのは当たり前であって、判決が出されたのが06年というだけなので、不遡及を主張するというのはそもそも不可能である。
まさか、「判決以前の法的責任は不遡及にしてくれ」ってことを言うのですか?(笑)
ならば、全ての判決で、判決以前の法的責任を負わずに済むことになり、提訴する意味がないではないか。貸出が99年、提訴が05年、判決が06年、という場合、06年判決以前の法的責任を負わないという法的原則や裁判があるとでも?(笑)
ハア?
これが、上限規制反対派のご意見なのだそうだ。
法学上の理屈を並べてみたところで、何を言うかといえば、「違憲立法」だの「判決以前の法的責任は不遡及とせよ」だの、法学上の基本からは外れているとしか思えないようなものなのだよ。
日本の法学教育とは、一体全体どうなっているのかね?
慶応のロースクールはこの前「試験対策に偏っていると指摘された」という報道があったように思うが、それ以前の問題なのではないか?
テレビというショーでは、この程度の主張であっても通用してしまう、ということなのかもしれないね。何が「法の不遡及」だ。そんな裁判があるかっての。適当に専門用語を使ってみただけじゃないの?それと何が違うというのだ。
小林教授におかれましては、是非とも「憲法違反だ」という論理と、最高裁判決以前の「法の不遡及」論理をご教示願いたく、産経新聞あたりにでも(勿論、朝日新聞でもいいけど)発表していただければ幸いです。
笑えるな。
反対派の理屈は。
◎ちょっと追加です(3/31 12時頃)
ボツネタさんのところで驚愕のコメントを目にしてしまいました。以下に引用します。
『憲法訴訟の話が出たついでに
番組で、憲法学者が、違法金利の規制は、職業選択の自由を侵害する(営業の自由ならまだ分かるのですが、違法金利を取る貸金業を営めなくなることから職業選択の自由を侵害するということだったと思います)、違法金利を取っていた貸金業者の生存権を侵害する、平等権を侵害する(職業選択の自由と生存権で目が点になっていたので、その内容は聞いていません)と言っていました。』
「職業選択の自由」を侵害するときましたか。これが憲法学者の言い分ですか?(笑)
例で書いてみますか。まず小林教授説から。
《ある貸金業者は、自由な金利であると20%を超える利息を取れるので、30%で営業したいのであれば、たとえば3千円の利息を受け取れるはずだ、と。ところが上限規制によって、これを強制的に2千円にされてしまうとなれば、貸金業者になりたい人がなれなくなり「職業選択の自由」を奪うことになるので、憲法違反だ。》
みたいなもんですか?
これを真剣に主張しているんでしょうか?詭弁ではなく?
反論として、タクシー運転手を挙げてみましょうか。
《ある個人タクシー業者は、自由な料金メーターを設置できるなら1分間に100円上がるメーターを設置でき、たとえば3千円のタクシー料金を受取ることができるはずだ、と。ところが運賃規制によって、これを強制的に2千円にされてしまうとなれば、個人タクシー運転手になりたい人がなれなくなり、「職業選択の自由」を奪うことになるので、憲法違反だ、と。》
他の規制のあるものについて、いくらでも例示可能ではないかと思えるが。そんな論理は聞いたことがありません。
何故、タクシーのメーターは違憲だのと騒ぎもしないのに、貸金業者の受取利息だけは大袈裟に「憲法違反だ」という理屈を持ち出すのであろうか。小林教授であれば、他の規制が違憲ではなく貸金業法だけが違憲である、との理屈をひねり出せるかもしれませんから、是非お聞きしたものです。
次の生存権の侵害だが、前に反論を書いておいたのだけれども、それとは別な説明をしたのであろうか。ちょっとよく判らないが、憲法学者の言い分は、到底受け入れることができない。こんなの説明するまでもないと思うが。
また例で書いてみますか。
ある男がいた。男は窃盗や置き引きなどを繰り返して、日々の生計を立てていた。さて、男はこれまでの行為について違法認定され、違法につきこれまでの行為(窃盗だの沖引きだの)が不可能となってしまったとしよう。これは男の生存権を脅かし、権利を侵害しているのか?そんなわけはないだろう。
「違法行為」によって得ていた金銭的利益を、法的に制限されることにより、その金銭的利益を喪失したとして、それが生存権侵害と主張できるほどに著しい権利侵害を生じるのか。ならば、麻薬販売によって得ていた利益を法的に制限されて金銭的利益喪失となったヤクザ屋さんとか、生存権侵害につき賠償請求できるってか?違法行為を原因として、そこから利益を得ているのに、この権利を憲法が保障するものであると?(笑)
これは、本当に主張できるものなのでしょうか?
いや、私は法学部でもなければ、法学について勉強したこともない、ただの一介の素人に過ぎませんので、憲法学者であらせられる小林節慶大教授を言い負かせられるほどの知識も教養もないわけですが。
こういう意見が野放しにできうるほどに、日本の法学界というのはレベルが高いのでありましょう。
本当に呆れました。
こんなことを言う憲法学者には、何も言えませんぜ。
いつものボツネタさん経由。
>貸金業法グレーゾーン撤廃は是か非か @本日のサンプロ - ボ
番組をみてないので、書かれている部分だけからしか判りませんが、感想を少し書いておきたいと思います。
まず、テレビでただのショーをやりたいだけにしか思えませんね。やる意味がない。
サンデープロジェクト
あれですか、平ちゃんと木村剛氏を呼んで「貸金業法改悪」と「官製不況」を演出したい、という意図か何かでやった(参考記事)ものについて、弁護士団体あたりから猛烈反発を食らったので、しょうがなく当該弁護士を呼んで「言い負け」場面でも演出したかった、ということでしょうか?(笑)
どうしてそう思うかって?賛成派には弁護士しか呼んでないからですよ。で、その対抗として小林節慶大教授をお招きしましたよ、と。弁護士が苦手としそうな経済的論点には、全然知らないどこかのコンサルを呼んでおきましたぜ、と。まあ、私のちっぽけな脳みそでは、そんな図くらいしか思いつかないもので。肩書きの重みからいって、教授と一介の弁護士のどちらの方を信じてしまうでしょうか、みたいなことですわな。
圧倒的多くの視聴者には、規制反対派の言う論点が事実なのかどうかは、判りっこないからね。番組中では何とでも言える。たとえ根拠のない意見であっても、言い負かした方が勝つ。視聴者にはそうした印象を植え付けることに成功する。ま、そういうこと。単なるショーに過ぎない。
小林節教授には、かねてよりお願いがございましたが、未だもって「憲法違反である」という法学的ご意見を拝見してはおりませんが、その後どうなったのでしょうか?日本の法学部というのは、この程度のものであるということでしょうか?
日本の憲法学者の真意を問う
弁護士の決め台詞は「憲法違反」?
「口は弁護士、心はサギ師」を何度も取り上げて恐縮ですが、なるほどうまい言い草であるなと改めて思いましたよ(笑)。
小林節教授は、産経新聞に憲法違反であることの論点を載せるべきではありませんか?文章で残ると何か都合の悪いことでもあるのでしょうか?それができない理由というものが判らない。サンプロの紹介文にも、きちんと「憲法違反と主張する憲法学者」とまで書かれているのですから、今更「憲法違反の論点を文章で書くことはできない」などということなど到底ありますまい。その論拠について、法学界できちんと評価してもらえばいいだけではありませんか(笑)。なぜそれができないのでしょう?憲法学者が言うのであるから、よもや間違いだの大勢に否定されるだのという事態などなかろうて。憲法学者は弁護士を目の前にしながら、憲法違反であることを立論すればよかったものを、それもしていなかったようですが(要約には出ていなかったので)、それすらもできない理由というものが判らないですね。恥を晒すのを怖れた、ということではないとは思いたいですがね。
さて、否定派の主張点は、これまでに散々見てきたものであるので、目新しいものでもない。が、一応もう少し書いてみたい(ボツネタさんの記事から『』で引用部を示します)。
『反対意見者(憲法学者)は,これまでグレーゾーンで借りていた中小企業が,資金繰りがつかずに倒産する件数が最近急に増えたことを問題視し,また,粗利が29.2%というのは通常の経済活動として暴利とは全くいえず(通常の商売ではもっと粗利は多い),諸外国と比較しても貸金の利息が29.2%が高いとは言えないと主張しています。』
しつこいな。
「(これまで借りていた)中小企業が、資金繰りがつかずに倒産する件数が最近急に増えた」
この事実を示せばいいものを、何故誰もやらないのか?
きっと小林教授ならばできるのでしょう。だからやってごらんよ。これまで産経だの日経新聞でも似たような理屈を並べていたが、どこもその事実を示したことなどないですがね。無責任放言ならば、誰でも好きにできるからね。
いわゆる個人向け消費者金融(俗にいうサラ金)業者(以下、便宜的にサラ金業者と呼ぶ、アコムだのアイフルだのそういう業者)の事業者向け融資額はどのくらいか知ってますか?サラ金は個人向けが圧倒的に多いんですが、事業者向け融資は極めて少ないんですって。たったの3%でしかない。額にして約2900億円程度だ。
一方、事業者向け貸金業者というのは、個人向けのサラ金業者数よりもずっと少ないが、それでも1500以上ある。その融資残高は「サラ金業者全部の額」よりも多いんですよ。サラ金業者全部で(個人向け含む)11兆円程度だが、事業者向け貸金業者では18兆円くらいある。その他ノンバンクを含めると、事業者向け融資は約2倍くらいはある。
グレーゾーンで貸せなくなったから事業者が資金調達できなくなって倒産が激増したって?
口から出まかせ言ってるんじゃないよ。サラ金業者が事業者向けに貸してるのは約2900億円でしかないのだから、新銀行東京と日本振興銀行が貸せば楽勝で賄えるだろ(笑)。両行合わせて融資に回されず国債買ってる額は、それよりも多いって。だから何遍も言ってるだろが。「返せるのに借りられなくて倒産する」って言う連中が、大々的に運動をやればいいだけなんだって。「新銀行東京が貸せばいい、日本振興銀行が貸せばいい」って、新聞にも書いてもらえ。テレビでも「新銀行東京の融資先が見つかりました、借りられなくて困っている中小企業を引き受けます」って運動をやればいいだけだろ。「命の資金ホットライン」とでも銘打って、新銀行東京に融資を実行させればいいだけだ。こんな簡単なことが何故憲法学者様には判らないのかね。極めて不思議だ。貸せばどちらの銀行も、儲かりまくってウハウハじゃないか。貸せばいいだけだろ、こんなウマイ話。倒産しないんだろ?返せるんだろ?ならば、明日から早速やれって(笑)。
因みに、事業者向け貸金業者の貸出金利はどれくらいか知ってますか?ざっと17兆円のうち、約60%が2%以下、約23%が2~4%以下だ(笑)。日本振興銀行みたいに高い貸出金利じゃなくても、ノンバンクが2%以下で貸してくれてるんだよ。「貸出残高の約91%が8%以下」でしかない。もうちょっと言うと、20%以上で貸してるのは約1.9%、残高で3250億円程度だ。この全部が仮に貸し出されなくなったとして、これが不況を起こす原動力になったと?
以前に木村剛氏の「官製不況説」を批判した時にも書いたが、算数程度の計算ができないくせに偉そうに経済ナントカの肩書きで判ったような口を叩く連中が多いってことだわな。企業倒産による負債総額は、はるかにデカイですって(笑)。
<ちょっと寄り道:
木村剛氏は、どうしてサンプロに出演し、正々堂々と反論しなかったんですかね。元はと言えば自分自身の主張ではないか。あれほど貸金業法改悪だ、官製不況だ、と言っていたのであるから、いくらでも反論できるはずだろう。回避する意味が判らない。大チャンスじゃないか。官製不況を叩けるのにね。
番組の人も、どこぞのコンサルを呼ぶよりも、知名度の高い経済学者(笑)とか呼べばよかったじゃないか。いくらでもいたでしょ?>
サラ金業者が事業者向け融資をやめることで仮に3000億円が貸し出されなくなったとしても、その額より返還費用の額ははるかに多い。自業自得ってことだ。返還費用は法改正のせいではないけどな。
次に行こう。
『経済学者は,規制の緩和に逆行していること,意図せざる信用収縮が起きること,ヤミ経済が栄えることを問題視しています。
さらに,この消費者ローンによる信用収縮,金融業者の経営悪化が,サブプライムローン問題の日本版にならないかという懸念も指摘されていました。』
ボツネタさんは経済学者と呼んでいますが、違いますね。タダのコンサルと思いますね。これは別にどうでもいいけど。
規制緩和に逆行、というのは何ら関係ない主張で、上限解除の根拠とか理由にはなりませんね。意図せざる信用収縮というのは、貸し手が無軌道に貸していた場合には、そうなってしまいますな。サブプライムローンが貸出審査を厳格化したのと同じだ。上限のせいで「信用収縮」が起こったのではないですよね。ヤミ金が栄える、という論点もしつこいですが、その実証がないのであれば説得力に欠ける。ヤミ金被害額や被害者数は減少していたことが窺われる(今年上半期、ヤミ金摘発急増!)が、最近の数字はどうなのか判らない。が、このコンサルや同様の主張をしていた人間が、数字で示してくれればいいだけだな。一般論を言うだけでは、あんまり意味はない。
「サブプライムローン問題の日本版」って、一体誰が言ったの?こじつけだけなら、何とでも言えるわな(爆)。サラ金業者の貸出残高が激減したとして、どうなるって?別に借り手が破綻して、貸倒額が数十兆円にもなるとかってわけでもあるまいに。米国のサブプライムローンと話を混ぜて、恐怖感を煽りたいだけだろ。既に書いた話だが、参考までに、消費者ローン全体では98年に2.2兆円、99年には3.4兆円減少した(因みに、上限が引下げられた(40.004→29.2%)のは00年だけど、サラ金は03年まで貸出残高を増加させていた)。今の減少額とは比較にならんだろう、多分。今は1兆円以下ではないかと思うけど、どうなんだろう。返還費用が多額にある分を除くと、上限引下げによる信用供与減少額は更に少なくなるだろう。
要するに、言いがかりみたいなもので、何でも論点を拡大して、思いつきで言うことは誰でもできる。しかし、根拠となる数字とか資料というのは、一切ない。彼らの言い分というのは、「こういうことも考えられるんじゃないか、こんなことがあったらどうするのか」みたいな話だけだ。これでもしも信用供与額があまり落ちてないとか、銀行系やカード系なんかの比較的低い金利帯で貸出残高が増加していたら何と言うのだろうね。来年になってみなけりゃ判らないんだけどさ。既にサラ金での貸出は、2社以下の貸出人数は増加してるからね、一応。
残りの部分。
『過払金返還訴訟については,司会者田原聡一郎氏を含め,やりすぎではないか,弁護士が儲かっているだけではないかという雰囲気で,議論が進んでいました。一連の最高裁判例の法理について,これが出る前になされた貸付けにまで遡及適用するのは,「法の不遡及」の趣旨から問題ではないかという指摘です。』
弁護士が儲かってる、というのはその通りだろうと思う。もっといい方法があれば、それをやるのが望ましいと思うけどね。やり過ぎとか言うのは、どうなのか判らない。評価は色々とあるだろう。個人的には、返還して貰う方がまだマシだと思う。
「法の不遡及」の趣旨云々は、誰が言ったのでしょう?まさか、小林教授でしょうか?いや、どうなのか知らないんですが。これって、全くの見当ハズレなんでは?何を言ってるのかと思いますけど。
不遡及を言うのであれば、少なくとも「利息制限法の上限に関する条文(1条)が、貸付した時には存在しなかった」ということが必要と思うが。貸した時点で利息制限法1条が制定されていたのであれば、不遡及でも何でもないとしか思えないのだが。
不遡及原則を適用というのは、例えば99年に貸出してそれ以降返済していたが、06年に新たな法が制定され、その法によって99年の貸出までもが「違法認定される」ということであって、事後的な立法で違法として処罰されたり法的責任を負わされるのはおかしい、これを回避せよ、ということだろう。しかし、貸出時点で既に立法されていた法であるなら、その法に基づいて責任を負うのは当たり前であって、判決が出されたのが06年というだけなので、不遡及を主張するというのはそもそも不可能である。
まさか、「判決以前の法的責任は不遡及にしてくれ」ってことを言うのですか?(笑)
ならば、全ての判決で、判決以前の法的責任を負わずに済むことになり、提訴する意味がないではないか。貸出が99年、提訴が05年、判決が06年、という場合、06年判決以前の法的責任を負わないという法的原則や裁判があるとでも?(笑)
ハア?
これが、上限規制反対派のご意見なのだそうだ。
法学上の理屈を並べてみたところで、何を言うかといえば、「違憲立法」だの「判決以前の法的責任は不遡及とせよ」だの、法学上の基本からは外れているとしか思えないようなものなのだよ。
日本の法学教育とは、一体全体どうなっているのかね?
慶応のロースクールはこの前「試験対策に偏っていると指摘された」という報道があったように思うが、それ以前の問題なのではないか?
テレビというショーでは、この程度の主張であっても通用してしまう、ということなのかもしれないね。何が「法の不遡及」だ。そんな裁判があるかっての。適当に専門用語を使ってみただけじゃないの?それと何が違うというのだ。
小林教授におかれましては、是非とも「憲法違反だ」という論理と、最高裁判決以前の「法の不遡及」論理をご教示願いたく、産経新聞あたりにでも(勿論、朝日新聞でもいいけど)発表していただければ幸いです。
笑えるな。
反対派の理屈は。
◎ちょっと追加です(3/31 12時頃)
ボツネタさんのところで驚愕のコメントを目にしてしまいました。以下に引用します。
『憲法訴訟の話が出たついでに
番組で、憲法学者が、違法金利の規制は、職業選択の自由を侵害する(営業の自由ならまだ分かるのですが、違法金利を取る貸金業を営めなくなることから職業選択の自由を侵害するということだったと思います)、違法金利を取っていた貸金業者の生存権を侵害する、平等権を侵害する(職業選択の自由と生存権で目が点になっていたので、その内容は聞いていません)と言っていました。』
「職業選択の自由」を侵害するときましたか。これが憲法学者の言い分ですか?(笑)
例で書いてみますか。まず小林教授説から。
《ある貸金業者は、自由な金利であると20%を超える利息を取れるので、30%で営業したいのであれば、たとえば3千円の利息を受け取れるはずだ、と。ところが上限規制によって、これを強制的に2千円にされてしまうとなれば、貸金業者になりたい人がなれなくなり「職業選択の自由」を奪うことになるので、憲法違反だ。》
みたいなもんですか?
これを真剣に主張しているんでしょうか?詭弁ではなく?
反論として、タクシー運転手を挙げてみましょうか。
《ある個人タクシー業者は、自由な料金メーターを設置できるなら1分間に100円上がるメーターを設置でき、たとえば3千円のタクシー料金を受取ることができるはずだ、と。ところが運賃規制によって、これを強制的に2千円にされてしまうとなれば、個人タクシー運転手になりたい人がなれなくなり、「職業選択の自由」を奪うことになるので、憲法違反だ、と。》
他の規制のあるものについて、いくらでも例示可能ではないかと思えるが。そんな論理は聞いたことがありません。
何故、タクシーのメーターは違憲だのと騒ぎもしないのに、貸金業者の受取利息だけは大袈裟に「憲法違反だ」という理屈を持ち出すのであろうか。小林教授であれば、他の規制が違憲ではなく貸金業法だけが違憲である、との理屈をひねり出せるかもしれませんから、是非お聞きしたものです。
次の生存権の侵害だが、前に反論を書いておいたのだけれども、それとは別な説明をしたのであろうか。ちょっとよく判らないが、憲法学者の言い分は、到底受け入れることができない。こんなの説明するまでもないと思うが。
また例で書いてみますか。
ある男がいた。男は窃盗や置き引きなどを繰り返して、日々の生計を立てていた。さて、男はこれまでの行為について違法認定され、違法につきこれまでの行為(窃盗だの沖引きだの)が不可能となってしまったとしよう。これは男の生存権を脅かし、権利を侵害しているのか?そんなわけはないだろう。
「違法行為」によって得ていた金銭的利益を、法的に制限されることにより、その金銭的利益を喪失したとして、それが生存権侵害と主張できるほどに著しい権利侵害を生じるのか。ならば、麻薬販売によって得ていた利益を法的に制限されて金銭的利益喪失となったヤクザ屋さんとか、生存権侵害につき賠償請求できるってか?違法行為を原因として、そこから利益を得ているのに、この権利を憲法が保障するものであると?(笑)
これは、本当に主張できるものなのでしょうか?
いや、私は法学部でもなければ、法学について勉強したこともない、ただの一介の素人に過ぎませんので、憲法学者であらせられる小林節慶大教授を言い負かせられるほどの知識も教養もないわけですが。
こういう意見が野放しにできうるほどに、日本の法学界というのはレベルが高いのでありましょう。
本当に呆れました。
こんなことを言う憲法学者には、何も言えませんぜ。