“子ども”を取り巻く諸問題

育児・親子・家族・発達障害・・・気になる情報を書き留めました(本棚4)。

ゴールデンチャイルド症候群

2025年02月18日 06時13分58秒 | 家族
ゴールデンチャイルド?
初めて耳にする単語です。
どうやら「親の期待に応える“いい子”」を意味するらしい。

記事を読んでみると、まさに自分のことを言われているような気がしてきました。
紹介します。

▢ 親の期待に応える「いい子」でいることに苦しむゴールデンチャイルド症候群の兆候と救い
Mark Travers | Contributor 
2025.2.15:Forbes Japan)より一部抜粋(下線は私が引きました);

 彼らのことは、あちこちで耳にする。彼らはしばしば、映画に出てくるような完璧な悪役であり、Reddit(レディット)には、彼らを痛烈に批判するスレッドが数え切れないほどある。
 「ゴールデンチャイルド(黄金の子/自慢の子)」はしばしば、家族の中の「ブラックシープ(厄介者)」と対照を成す。彼らは通常、両親にとって最大の誇りであり、喜びであり、そして、ほかの全員が見習うことを期待される輝かしい基準だ。
 これは、完璧な子ども時代を送るための公式に思えるかもしれないが、驚くことに、ゴールデンチャイルド自身も苦しんでいる家族のブラックシープと同じように、彼らは、貼られたレッテルに対して何も言うことができず、多くの場合は、とてつもなく高い期待に応えなければならないというプレッシャーを感じているのだ。
 俗説とは裏腹に、ゴールデンチャイルドは恵まれているわけではない世界は、彼らにとっても、やはり残酷な場所であり得る。彼らはしばしば、愛情を得るためには体面を保たなければならない、と教え込まれている。研究によれば、あなたがゴールデンチャイルド症候群かもしれないことの兆候は以下の3つだ。

1. 兄弟姉妹と緊張関係にある
 ゴールデンチャイルドとして育つと、兄弟姉妹とのあいだに暗黙の緊張感が生まれることがある。あなた自身は気づかなかったかもしれないが、おそらく兄弟姉妹はえこひいきの存在を感じており、それが不満や対抗心につながる。
 こうした力学は必ずしも、あなたの行動に原因があるわけではない。多くの場合は、両親が家族構造の中で、あなたをどのように位置づけていたかが原因だ。
 学術誌『Family Journal』に発表された研究によれば、機能不全家族において子どもたちは、さまざまな役割を押し付けられることがある。例えば、ヒーロー、スケープゴート(身代わり)、ロストチャイルド(忘れ去られた子ども)、マスコット、ケアテイカー(世話役)、マスターマインド(黒幕)などだ。
 ゴールデンチャイルドの場合、大人になってから、兄弟姉妹との関係がぎこちない、あるいは複雑だと気づくことになるかもしれない。兄弟姉妹はおそらく、あなたを両親の「お気に入り」として見ているが、あなたは内心、重荷を背負っている無理な期待に応え続けない限り安心することはできない、という重荷だ。
 こうした緊張関係は、単なる嫉妬によるものではない。両親のえこひいきによって、1人の子どもが称賛され、ほかの子どもが悪者扱いされることで、兄弟姉妹で対立するようになったときに生じる感情的な溝の表れだ。
 例えば、家族のスケープゴートにされた子どもはしばしば、自分を「完璧な」兄弟姉妹と比較して、劣等感にさいなまれる。一方、ゴールデンチャイルドの方は、両親の言いなりになり、家族の問題をスケープゴートのせいにすることがある。こうした力学によって、どちらの子どもも真実を見失う。どちらの子どもも、家族の物語を演じているだけなのだ。
 さらに、家族における役割が、「完璧なイメージを維持すること」だった場合、弱さを見せたり、あるいは、「あまり好まれていない」兄弟に同調したりすれば、両親を失望させるのではないかと恐れることの結果として、感情的に距離を置いていた可能性がある。こうした力学が、大人になっても持続し、生涯にわたる亀裂が生じることもある。

2. 他者を喜ばせなければいけないと感じる
 世間が彼らをどう見るかは別にして、「ゴールデンチャイルドであること」は、生き抜くためのメカニズムでもある。ほとんどのゴールデンチャイルドは子どものころに、もし自分が親の「お気に入り」でない場合は、「スケープゴート」の代わりに犠牲になる可能性がある、とすぐに気がつく。
 利己的に見えるかもしれないが、実際のところ、これは自己防衛だ。愛する人からより良く扱われるためであれば、ほとんどの人はどんなことでもする。家族のような、容易に逃げ出すことができない環境ではなおさらだ。
 問題は、この好意を維持するために、ゴールデンチャイルドは、たとえ自身の不利益になるとしても、そのレッテルを貼った両親を喜ばせ続けなければならないことだ。多くの場合、これは人を喜ばせるような行動を強化し、それが大人になっても続く。ゴールデンチャイルドは、許容され、期待される特定の物語を演じた場合のみ、世界は自分を受け入れると教え込まれている
 『International Journal of Society Reviews』誌に発表された2024年の研究によれば、自己受容のレベルが低いことも、両親を喜ばせようとする行動の一因になっているという。
 ゴールデンチャイルドはおそらく、すでに問題を抱えている家族においては、自分が「模範的な子ども」でいることが、最も波風を立てない方法だと気づいているのだろう。しかし、者を喜ばせるために自分の感情を抑え続けることは、メンタルヘルスに悪影響を及ぼす。過度の不安、さらにはうつ病につながる可能性もある。

3. 失敗をひどく恐れる
 多くの育児専門家は、子どもの健全な自尊心を育むには、「正の強化」が重要だと強調している。しかし、過ぎたるは及ばざるがごとしだ。子どもを理想化することは、特に非現実的な期待をかけた場合、逆効果となり、自信ではなく重圧を与えることになる。
 「人は完璧ではなく、人生には失敗もある」と子どもに教えることは、子どもの成功を褒めることと同じくらい重要だ。「失敗は恥だ」と考える両親は、子どもに対して、何が何でも勝たなければならないという固定観念を植え付けてしまう。これは、挫折したときに立ち直る力を教える「成長マインドセット」とは正反対の考え方だ。
 家族において「ゴールデンな存在」であるとは、失敗の余地はほとんどなく、ひいては、成長の余地もほとんどないということを意味する。完璧な子どもなど存在しないが、ゴールデンチャイルドは、それが自分に投影されているがために、自分に完璧さを求めるようになる。このような姿勢でいると、人生が計画通りに進まなかった時に、打ちのめされてしまう可能性がある。
 もしこのような経験があり、何より、ゴールデンチャイルドというレッテルを貼られたことがあるのなら、まずは、これらのことはすべて、あなたのせいではないと認識してほしい。あなたは、理想化されることを求めてきたわけではないし、あなたに貼られたレッテルはあなたの責任ではない。
 このような力学によって兄弟姉妹や家族との関係が悪化している場合、関係の修復には、正直さと共感、時間が必要だ。えこひいきがあなたの対人関係をどのように形成したかを認識することは、体験の相互理解に基づく真のつながりを育む助けになる。
 最後に、ゴールデンチャイルドというレッテルから自由になるには、まず、成果や評価を超えた「自分の価値」を再定義する必要がある。あなたは、家族の物語で強制されてきた役割以上の存在なのだ。大人になった今、あなたはその役割から進み出て、自分自身の言葉で自分を定義する力を持っている。本物の感情、自分への思いやり、そして、新たな解放感とともに。


・・・この記事を読んで、私の人生はまさに“ゴールデンチャイルド症候群”に当てはまると頷きました。

 勉強嫌いの姉と比較して私はコツコツ努力するタイプで負けず嫌いでもあったので、成績はそこそこよく、両親の期待を一身に背負うことになりました。
 それが思春期はイヤでイヤでたまらなかった。
 よい成績を取ると褒められるけど、そうでないときはガッカリした表情を見せる両親。
 それが繰り返され、私は「よい成績を取り続けなければ自分に価値はない」と思い込まされました。
 一方でよい成績を取って両親が喜ぶと、
「努力したのは私であって、あなたたちではない」
 という反抗心も芽生えていました。

 高校時代、私は民俗学や文化人類学に興味を持ち、文系に進もうと考えました。
 しかし進路を決定する3年生の時、父親から、
「医学部以外は学費を出さない」
 と言われて夢が砕かれました。

 その当時は、親の夢を叶えて親をガッカリさせないことと、自分の夢を天秤にかけ、前者を選択しました。
 まだ「家族の幸せ」を優先する気持ちが残っていたのでしょう。

 それは、自分の人生ではなく、親の夢を辿る人生。
 還暦を過ぎた今になって、後悔しています。
 心のどこかに「これは自分の人生じゃない」という気持ちがつきまとうのです。

 そして現在、両親と同居し彼らの面倒を見て看取る生活をしています。
 そんなストレスを知ってか知らずか、家を出た姉からは、
 「お前は親の面倒をちゃんと見ていない」
 と文句を言われたりして、心が荒れます。

 私には記事の最後にあるような「自分への思いやり」「新たな開放感」は存在しません。