“子ども”を取り巻く諸問題

育児・親子・家族・発達障害・・・気になる情報を書き留めました(本棚4)。

「愛着障害」の治療にオキシトシン

2015年03月01日 08時40分42秒 | 子どもの心の問題
 先日見たNHKの番組「クローズアップ現代」(少年犯罪・加害者の心に何が ~「愛着障害」と子供たち~)は考えさせられる内容でした。

<番組内容紹介>
 16歳の少女が通信アプリ・ラインでつながった同世代の少年少女に殺害された「広島強盗殺人事件」。去年秋、主犯格の少女に1審判決が下された。残忍な犯行に酌量余地はないものの、幼少期の「愛着不形成」の影響が大きいことなどが加味され、求刑より減刑となり、注目された。いま、幼少期に周囲との信頼関係が育まれない「愛着不形成」に関する研究が進んでいる。脳の特定部位が萎縮を起こす、自己の行動抑制ができなくなるなど、「精神症状」や犯罪行動につながるメカニズムを解き明かそうというのだ。さらに愛着形成に失敗した少年たちの更正や回復をどうするかの研究も始まっている。福井大学病院では、愛着形成と関わりの深いホルモンを投与することで、脳へ働きかけ、治療につなげようという取り組みが行われている。一度生じた「愛着不形成」の克服には時間がかかる。広島の強盗殺人の主犯格の少女も、母親との手紙のやりとりなどを通じて、親子関係修復への第一歩を踏み出そうとしている。子どもたちの「愛着形成」を、社会全体で支えていく仕組みを考える。


 その中でショッキングだったのは、愛着障害の治療として「オキシトシン」が治験中というニュースです。
 オキシトシンは「幸福ホルモン」「愛情ホルモン」「抱擁ホルモン」などと呼ばれる、ヒトの体にもともと存在する物質です。

オキシトシン(Wikipediaより)
 2010年4月24日 金沢大学「子どものこころ発達研究センター」が知的障害のある自閉症患者にオキシトシンを投与したところ自閉症患者の症状が改善したと発表。主治医の棟居俊夫特任准教授は「知的障害のある患者で効果が確認された例は初めて」とコメントした。またアスペルガー症候群でも効果が確認されたとの報告もある。これを知った同センターに通院する20代の男性が2008年にオキシトシンの点鼻薬を輸入・服用(数か月間)しところ、主治医の目を見て話す、対話中に笑顔を見せる、IQテストが受けられるようになるなどの症状の改善が見られ、その後10か月間の投与でも改善の持続が確認された。男性は3歳で自閉症の診断を受け、以前は他者と目を合わせることができず、オウム返しの反応しかできなかった[2]。東京大、金沢大、福井大、名古屋大の4大学で大規模な臨床試験が行われる予定である。


 親の愛情の代わりに薬を使用するという時代になってしまうのか?
 人類存亡の危機ですね。

 別の視点の記事を日経メディカルに見つけました。
 虐待された子どもが親から引き離され、養子として受け入れた里親の愛情で回復するという報告です;

虐待児の脳の発達障害、里親での養育で改善 ~ルーマニアで行われた2歳児対象のランダム化比較試験が示唆
(日経メディカル:2015/2/13)
 生後の脳の発達は、環境と経験に大きく依存する。ネグレクト(養育放棄)が深刻な養護施設にいた2歳前後の子どもが、暖かい里親家庭に引き取られると、6年後には大脳白質の微細構造の統合性が普通の家庭に育った子どもと差の無いレベルになる──。そんな希望に満ちたデータが、ルーマニアで実施されたランダム化比較試験からもたらされた。米Boston小児病院のJohanna Bick氏らが、JAMA Pediatrics誌電子版で2015年1月26日に報告した。
※ 「Effect of Early Institutionalization and Foster Care on Long-term White Matter Development: A Randomized Clinical Trial

 次世代を一人前の人間に育て上げることは、最優先課題。
 すべからく生命体は、自分の身を削って生み育ててきました。

 昨今、自己実現>子育ての風潮を感じるのは私だけでしょうか。
 その流れの中で「愛着障害にオキシトシン」という短絡的な治療が発案されたのでしょう。

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