“子ども”を取り巻く諸問題

育児・親子・家族・発達障害・・・気になる情報を書き留めました(本棚4)。

子どものロコモティブシンドローム その1:原因と症状、5つのチェック項目

2024年08月01日 06時11分14秒 | 健診
私は小児科医で学校健診も担当しています。
現在の学校健診には「運動器検診」が含まれます。
整形外科医が提案し、他科医師(学校医の中で整形外科医は5%だけ)が担当するというねじれのある内容です。
ふだんの診療で扱わない疾患群を早期発見するミッションであり、
気を遣います。
「言い出しっぺの整形外科医が担当すべきだよなあ」
と思うこともしばしば。

現在社会問題化している“側弯症検診”も、
現場の混乱をよそに、
整形が会は高みの見物をしていますから。

解説・啓蒙記事を見つけたので、
知識の確認目的で読んでみました。

<ポイント>
・ロコモティブシンドロームとは、英語で移動することを表す「ロコモーション(locomotion)」と、移動するための能力があることを表す「ロコモティブ(locomotive)」からつくられた造語で、移動するための能力が不足したり、衰えたりした状態を指す。
・大人のロコモの兆候は「階段が上がりづらくなる」「速く歩けない」「すり足になってつまずきやすい」の3つで、老化現象による運動器の障害を指します。これらの兆候がコロナ禍の長期休校明けに、子どもの1割弱に見られた。
・子どもの外遊びが圧倒的に減ってきていることが子どもロコモの増えた大きな原因ではないか。
・子どもロコモチェック項目;
 ① 5秒以上ふらつかずに片足立ちすることができない
 ② しゃがみ込むとき、途中で止まったり、後ろに転んだりする
 ③ 両手を上げたとき、手の先から肩にかけて垂直にならない
 ④ 立って体を前にかがめたとき、ひざを伸ばしたまま手の指を床につけられない
 ⑤ 手をグーにしてひじを引いたあと、パーに開いて腕を前に出す動作をスムーズにできない
・学校健診における「運動器検診」で特に気になっていることは、子どもたちの姿勢が猫背なこと。そしてアゴが前に出ている子どもが多いこと。
・子どもロコモ3つの原因
 ① 運動習慣の変化:成長期の運動不足あるいは激しい運動のしすぎにより、からだの柔軟性が低下
 ② 生活習慣の変化:外遊びをする機会が減ったことにより、小さなケガをすることも少なくなり、危険回避能力が低下
 ③ 姿勢不良:長時間のテレビゲームやスマートフォンの使用により、あご出しやねこ背など姿勢が悪くなりやすい
・外遊びをしないでいると、股関節周りが固くなり、体前屈ができなくなる。しゃがむと転倒して床にお尻をついてしまうことも。今回のコロナ禍で、さらに増えた。身体の使い方がわからない子が増えている。
・体の柔軟性の低下は、肩甲骨や股関節をしっかり動かすことによって改善できる。親子で毎日1日数分間、「子どもロコモ体操」をやるよう指導すると、およそ1~2週間継続することで改善され、2ヵ月後にはきれいな姿勢になる。

■ 5歳で腰痛! 「子どものロコモ」3つの原因と症状・5つのチェック項目
整形外科医・林承弘先生に聞く「子どものロコモティブシンドローム」 
#1 原因と症状、5つのチェック項目について
 整形外科医:林 承弘
2024.01.09:コクリコ)より一部抜粋(下線は私が引きました);

 近年、子どもの遊びはゲームが主流に。また、現代の子どもたちは習い事が多く、外で遊ぶ時間が少なくなったことで、体を動かす機会が減っています。
 そのため、「転びやすくなった」「姿勢が悪い」「疲れてすぐ座りたがる」などの症状が出る子も。そこで心配されるのが、子どもの運動機能低下を指す「子どものロコモティブシンドローム」、通称「子どもロコモ」です。
「コロナ禍で子どもロコモが一層進んだ」と話すのは、子どものロコモ予防・対策に取り組む林整形外科院長・林承弘先生。子どものロコモについて、原因と症状を林先生に解説していただきました。

<目次>
  • 子どもロコモと大人のロコモの違い
  • 子どもロコモ5つのチェック項目
  • 子どもロコモ3つの原因
  • 5歳の子どもに腰痛の症状
▶ 子どもロコモと大人のロコモの違い

──まずは、子どものロコモティブシンドロームについて教えてください。

林承弘先生(以下、林先生):ロコモティブシンドロームとは、英語で移動することを表す「ロコモーション(locomotion)」と、移動するための能力があることを表す「ロコモティブ(locomotive)」からつくられた造語で、移動するための能力が不足したり、衰えたりした状態を指します。通称「ロコモ」と呼ぶことが多いですね。
 これまではロコモというと、バランス能力や柔軟性の低下、不良姿勢など、40代以上の中高年の運動器機能低下として指摘されていましたが、最近では子どもにもロコモの症状が見られるようになりました。
 ただ、大人のロコモと子どもロコモでは兆候が異なります。大人のロコモの兆候は「階段が上がりづらくなる」「速く歩けない」「すり足になってつまずきやすい」の3つで、老化現象による運動器の障害を指します。興味深いのは、これらの兆候がコロナ禍の長期休校明けに、子どもの1割弱に見られたことです。
 しかし、子どもロコモのチェック項目は大人とは異なります。

▶ 子どもロコモ5つのチェック項目
 子どもロコモには、以下の5つの項目をチェックします。


【子どもロコモチェック項目】
① 5秒以上ふらつかずに片足立ちすることができない
② しゃがみ込むとき、途中で止まったり、後ろに転んだりする
③ 両手を上げたとき、手の先から肩にかけて垂直にならない
④ 立って体を前にかがめたとき、ひざを伸ばしたまま手の指を床につけられない
⑤ 手をグーにしてひじを引いたあと、パーに開いて腕を前に出す動作をスムーズにできない

<参考>

▶ 子どもロコモ3つの原因

林先生:子どもにとって、普段の運動や、外遊び、生活習慣がとても大事なこと。私が十数年ずっと子どもたちを見てきて、子どもの外遊びが圧倒的に減ってきていることが子どもロコモの増えた大きな原因ではないかと思っています。さらに今回のコロナ禍で、その傾向が増している印象です。2020年に自粛生活を送った、今の小学校低・中学年は、特にそうだと言えるのではないでしょうか。
 また、2016年から、小学1年生から高校3年生までの全学年を対象に、学校健診において「運動器検診」が必須化されたのですが、この検診で私が特に気になっていることは、子どもたちの姿勢が猫背なこと。そしてアゴが前に出ている子どもが多いことです。姿勢が悪い子どもは、腕がまっすぐ上に上がりません。これは肩甲骨まわりが、ガチガチに固くなっている状態だからです。

【子どもロコモ3つの原因】
① 運動習慣の変化:成長期の運動不足あるいは激しい運動のしすぎにより、からだの柔軟性が低下
② 生活習慣の変化:外遊びをする機会が減ったことにより、小さなケガをすることも少なくなり、危険回避能力が低下
③ 姿勢不良:長時間のテレビゲームやスマートフォンの使用により、あご出しやねこ背など姿勢が悪くなりやすい

林先生:外遊びをしないでいると、股関節周りが固くなり、体前屈ができなくなります。しゃがむと転倒して床にお尻をついてしまうことも。これは以前から多かったのですが、今回のコロナ禍で、さらに増えたと感じています。身体の使い方がわからない子が増えていると考えられます。

──林先生が、子どもにロコモの症状が出ていると気づいたのはいつごろでしょうか?

林先生:埼玉県教育委員会と協力して、埼玉県のモデル事業として「埼玉県学校運動器検診」を2010年~2013年に行いました。その際、校長先生や養護の先生から、「どうも最近、子どもたちの体の様子が変」という話をよく聞くことがあったんです。
 例えば、「雑巾がけをしていて、体を支えきれずにあごをついて倒れてしまう」「転倒したときに、手が出ず頭を打ってしまう」「先生とキャッチボールをしているとき、たった数メートルの距離でもボールが顔面に当たってしまう」などです。

▶ 5歳の子どもに腰痛の症状

林先生:私自身、診察中に子どものロコモに気づくということはありませんでした。しかし、養護の先生たちの話を聞いてから注意深く診てみると、ケガした子どもの中で、体が硬いとか、バランス能力がうまく整っていない子が多いことがわかりました。
 ある5歳の男の子の話ですが、お母さんから「この子は姿勢と体の動きが悪い。さらに腰痛があります」と、来院された子がいました。
 体の柔軟性の低下は、肩甲骨や股関節をしっかり動かすことによって、その場で改善できます。親子で毎日1日数分間、「子どもロコモ体操」をやるよう伝えると、およそ1~2週間継続することで改善され、2ヵ月後にはきれいな姿勢になり、腰痛もなくなっていました。
 よくなってからその子に「前の悪い姿勢をやってごらん」というと「いやだ」というのです。なぜかというと、悪い姿勢は自分にとって気持ちがいいものではないことがわかったから。姿勢が良くなると運動機能も良くなってきます。大人がそういう気づきを起こさせることも大事だと思いました。
 残念なことに、今の時点では子どものロコモに気づける人があまりいません。整形外科医も子どものロコモの視点で見ていないと、見逃してしまうことが多いのが現状です。
 ほとんどの子どもが整形外科に来院する理由はケガや故障。「バランスが悪い」「体が硬い」などの症状で受診したとしても、「体が硬いのはしょうがないね」と、そのまま返されてしまうケースが多くあります。
 私としては、運動器検診で「体が硬い」と指摘され来院された親子には、まずは丁寧に診ること。そして子どもロコモの対策と、親子で改善できる体操を教えるようにしています。
 しかし、まだまだ「なんでもない」と診断され、すぐに帰されることが多いといいます。もっと子どもロコモの認識が広まればと、日々活動を続けているところです。






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