日々雑感

読んだ本やネット記事の感想、頭に浮かんでは消える物事をつらつら綴りました(本棚7)。

漱石「こころ」100年の秘密

2015-12-06 07:04:22 | 小説
 NHKで2014年9月10日に放映された番組です。
 録画したまま長らく放置していたものを、ふと空いた時間に観てみました。
 内容は読者レベルから小説家、漱石研究者、果ては脳科学者までが一堂に会した座談会で、各立場から忌憚のない意見を交わすもの。
 結構スリリングで楽しめました。

<番組内容>(「NHKネットクラブ」より)
夏目漱石の代表作「こころ」は、実は「アブない禁断の書」だった?!「国民文学」の秘められた謎や真の魅力に迫る、ちょっと知的でスリリングな文学エンターテインメント。
<詳細>
文豪・夏目漱石の「こころ」が新聞連載小説として登場して今年でちょうど100年。教科書でもおなじみの「国民文学」だが、し細に読むと実は謎だらけの作品でもある。「ボーイズラブ」「三角関係」「遺書」「自殺」…とまるで「アブない禁断の書」のような小説世界。漱石の狙いはどこにあったのか?なぜ日本人は100年もの間「こころ」を愛読し続けたのか?漱石文学に一家言ある達人たちが集い、スリリングな読書会が開かれる。
出演者ほか
【出演】鈴木杏,小森陽一,中野信子,関川夏央,高橋源一郎



 時代は明治。
 江戸時代の終焉と共に、日本の家制度が崩壊しはじめ、西洋の個人主義や自由主義・資本主義が台頭してきます。
 主人公ほか登場人物達はその時代を象徴するような人々。

 個人は自由になれる、しかしそれに伴い「孤独」がもれなくついてくる。

 このジレンマにどう対処していくべきか?
 100年経っても答えは見つからない。
 現代の私たちも同じ悩みで苦しみ続けている。
 それが「こころ」が小説売り上げランキング1位として読み継がれている理由である、と。

 太宰治の「人間失格」が誰にもある人間の弱みをさらけ出し共感を呼ぶ作品だとすると、
 夏目漱石の「こころ」は誰もが抱える“嫌な、でも向き合わないわけにはいかない自分”を描いているのかもしれない。

 座談会中に出た「日本には“自殺”を食い止める宗教的規範が存在しない」というコメントが妙に心に残りました。

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