古文書に親しむ

古文書の初歩の学習

第十章 地震・津浪乃記・その七十

2012年04月06日 08時58分49秒 | 古文書の初歩

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地震津浪乃記第十八頁(下の画像の一行目二行目)

卯春鰹古節にて拾貫目代銀四五百匁より六百目余迄ノ相場也

卯春より五月節句来り候へ共ミサキ海十八ケ浦尓鰹壱本もあがり不申

読み方

卯春鰹古節にて拾貫目代銀四五百匁より六百目余迄の相場也。

卯春より五月節句来たり候えども岬海十八ヶ浦に鰹一本も揚がり申さず

解説 「卯春」・・・安政二年の春。 「鰹古節」・・・読むのは難しい字です。 鰹節の古いもの。古いほど味は良くなる。 その次の合成字は「にて」と読みます。前に出ました。「鰹節の古い品で」と言う意味。 「拾貫目」・・・一貫は千匁。三・七五㎏。 「代銀」・・・買う物の値段。価格。 価格は四五百匁から六百匁余りの相場である。 再び「卯春」が出ました。「春」は変体仮名の「す」と同じ文字です。 「五月節句」・・・五月五日の端午の節句。 「来り候へ共」・・・来たりそうらえども。 「ミサキ海」・・・「岬の海」・・・潮岬近辺の沖合のこと。 「十八ケ浦」・・・本州の最南端潮岬近辺の鰹漁を主な業としていた浦村が団結して、「潮岬会合」を構成していました。春から五月の節句の鰹漁の最盛期にも、鰹が一本も釣れなかった。 「不申」・・・下から返って「申さず」。