古文書に親しむ

古文書の初歩の学習

第十章 地震・津浪乃記・その九十二

2012年04月27日 06時05分54秒 | 古文書の初歩

 

 

 

地震津浪乃記第二十三頁、上の写真の三行目四行目

解読 来り候共引流し候事ハ有まじくはからひ置候所も地震にて根石迄

    吹キ返し大かべハ大破に成り其功なし。土蔵など丁寧にいたし

読み 来たり候とも、引き流し候事は有るまじく計らい置き候所も、地震にて根石迄

  吹き返し、大壁は大破になり其の功なし。土蔵など丁寧に致し

解説 「来り候共」・・・来ても。 「引き流し候事は有まじく」・・・流される様な事はあり得ないと。 「はからひ置候所も」・・・考えて作って置いた場所も。 「地震ニ而」・・・地震にて。地震に依って。「而」は変体仮名の「て」。 「根石」・・・土台の石・基礎の石。礎石。 「吹き返し」・・・強風が物を裏返す、と言う意味ですが、ここでは地震の力で、基礎の石までひっくり返すと言っています。 「大破に成り」・・・「成り」も読みにくい書き方です。「功」・・・『こう』、ききめ。 「奈ど」・・・「奈」は変体仮名の「な」。 「丁寧にいたし」・・・「いたし」の「た」は変体仮名の「多」。 『文意』・・・大壁・築地などで囲み、たとえ津浪が来ても流される事はあり得ないと、よく考えて作って置いた所も、地震により基礎の石までひっくり返され、大壁も大破になり、其の効き目はない。