かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

渡辺松男の一首鑑賞 193

2021-03-29 17:09:24 | 短歌の鑑賞
 渡辺松男研究23 【眉間】『寒気氾濫』(1997年)79頁~
   参加者:泉真帆、かまくらうてな、渡部慧子、鹿取未放、石井彩子と鈴木良明は紙上参加
   レポーター: 泉 真帆 司会と記録:鹿取 未放
            
    
193 茄子紺のひきしまりたる一念を眉間にしゅうちゅうしてみんとせり

      (レポート)
 畑に実る茄子の、日に照らされる様に、強い集中力を思う作者がいる。「眉間に」「しゅうちゅうしてみんとせり」が魅力的だ。(真帆)


      (紙上意見)
 魅入られるかのように、引き締まった紫紺の茄子を注視しようと、眉間を意識する様子を描いている。一念―ひたすら思うことーという仏教用語を使って、茄子は単に客体ではなく作者の思いに同化しているのかもしれない。(石井)

 確かに、茄子のつややかな紫紺をじっと見ていると、「ひきしまりたる一念」に引き込まれ、眉間にいつのまにか集中している(「してみん」とあるが、すでに集中している)われが居る。(鈴木)


    (当日意見)
★これは紺色の茄子が目の前にあるのでしょうか?私はもっと抽象的に茄子紺のようなイメージを
 浮かべて眉間を意識し、集中してみようとしている、そういう歌だと思っていました。(鹿取)
★そうですね、想念の中ですね。(うてな)
★「しゅうちゅう」がひらがなで何だか面白い味をだしていますよね。いかにも作者らしくて、好
 きな歌です。少し前に「桐の花咲きしずもれるしたに来てどうすればわれは宙に浮くのか」とい
 う歌がありましたが、共通する部分があるように思います。(鹿取)


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