かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

渡辺松男の一首鑑賞 215 

2021-05-06 20:20:18 | 短歌の鑑賞
 渡辺松男研究26(2015年4月)【光る骨格】『寒気氾濫』(1997年)89頁~
    参加者:かまくらうてな、M・K、M・S、鈴木良明、曽我亮子、渡部慧子、鹿取未放
   レポーター:鈴木 良明 司会と記録:鹿取 未放

 
215 息止めていよいよ冬の木となれば頭上はるかに風花が舞う

     (レポート)
 冬の寒さから身を守るため、冬木は外との交流を断ち個を保つ。呼吸は外と内との開放的な交流だが、その「息を止める」という擬人法が、冬木の決意にも似た差し迫った実感を良く表わしている。下の句は、いよいよ冬到来を思わせるとともに、「風花」の自由な振る舞いが冬木の頑なな姿を一層際立てる。 (鈴木)


        (紙上意見)
 息を止めて、すっかり葉を落としてしまい、冬木となってしまった。そんな木に呼応し、共鳴するかのように雪が舞っている。それは空の高処から聴こえてくる音楽のように木と唱和し合うのだ。(石井)


      (当日意見)
★冬の木がかたくなだと私も思う。そのかたくなな気持ちを風花が舞うことで和らげている。
  (曽我)
★すると「風花が舞う」の解釈は3通りよね、鈴木さんは「冬木の頑なな姿を一層際立てる」、石井
 さんは「共鳴するかのように木と唱和し合う」、曽我さんは「木のかたくなな気持ちを和らげてい
 る」。 (鹿取)
★私は冬の木の覚悟を風花が祝っているように思いました。(慧子)
★相反する二者を一首に詠んだという感じ。はるかに舞う風花を見ながら冬の木になろうと決意し
 た。(うてな)

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