かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

馬場あき子の外国詠 54 中欧 393

2022-07-04 17:04:31 | 短歌の鑑賞
 22年版 馬場あき子の外国詠54(2012年7月実施)
   【中欧を行く 虹】『世紀』(2001年刊)P109~
     参加者:K・I、N・I、崎尾廣子、曽我亮子、藤本満須子、T・H、
         渡部慧子、鹿取未放
      レポーター:藤本満須子 司会と記録:鹿取 未放


393 心の翳り幾重に深き日に開くホフマンスタールの訳詩集あり

      (レポート)
 作者の心に陰鬱なかげりがおおいかぶさるとき、ホフマンスタールの訳詩集を読む。読むことによって少しかげりがうすれていく。ホフマンスタールの若き日の詩集であろうと想像する。(藤本)


      (当日意見)
★始めて心情を吐露する歌を読んだ気がする。(N・I)
★あり、と現在形で詠われているが、日本にいて心の翳りが深い日に折々繙いた、そういう
 訳詩集があるよ、持っているよということだろう。(鹿取)
★エレクトラは復讐の劇だが、詩集の中には翳りを薄れさせるような明るい詩もあるのだ
 ろうか。(慧子)
★いや、私はホフマンスタールを読んだことはないが、明るいから心の翳りが薄まるとは限
 らない。395番歌(エレクトラ熱唱する大き影ゆれてかく呪ふことわれを励ます)では
 呪いによって励まされている。激情を共有することによってカタルシスを味わうのでし
 ょうね。(鹿取)
★ユダヤ系の芸術家に対する思い寄せがここにも表れているのだろう。(藤本)

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