かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

渡辺松男『寒気氾濫』の一首鑑賞 255

2024-05-08 15:27:04 | 短歌の鑑賞
 2024年版 渡辺松男研究31まとめ(15年9月)
    【はずかしさのまんなか】『寒気氾濫』(1997年)107頁~
     参加者:S・I、泉真帆、M・S、鈴木良明、曽我亮子、渡部慧子、鹿取未放
     レポーター:泉 真帆 司会と記録:鹿取 未放


255 歩かなくなりし手のひら日に透かす 日に透かされし恒河沙の手

   (当日意見)
★恒河沙って、ガンジス川の砂のことで、数が多い、無数ってことよね。だからヒトが
 直立歩行を始めてから今まで無数の人間が物思いやら何やらしながら手を日に透かし
 てきた。無数の人のひとりひとりの人生の積み重ねを思っているのかなあ。(鹿取)
★真帆さんの鑑賞の最後の一行はいいですね。無数の人間が日に透かす手から次の歌の
 揺れ動くすすきの映像に移行するんですね。ところで「歩かなくなりし手のひら」っ
 て何でしょうね。四つん這いで移動していた人類の先祖が、いつからか地面から手を
 離してすっくと立ち上がった。それ以降、二足歩行するようになった人類は、地面を
 摑まなくなった手をしみじみと日にすかして眺めるようになった。そうしてガンジス
 川の砂の数ほどの人間が掌を眺めてきた、そういうことでしょうか。(鹿取)


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