かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

清見糺の一首鑑賞  63

2020-10-20 19:15:45 | 短歌の鑑賞
ブログ版 清見糺鑑賞  9    かりん鎌倉なぎさの会

63 行く秋の午後の散歩は折り返すしょうりょうばったの飛びたつところ
     「かりん」96年2月号
  
 「しょうりょうばった」の語のもつ宗教的な雰囲気が一首を味わい深いものにしている。精霊は死者の霊魂のこと。晩秋のころ、近所の野山を散歩していると精霊飛蝗が飛び立った。それをしおに作者はもと来た道を戻っていくのだが、精霊飛蝗というのはオスがメスの半分くらいの長さしかなく、キチキチと音をさせて飛び立つのはオスの方らしい。そんなことを知るとなかなか意味深長な歌でもある。「行く秋」の季語とあいまって人生の寂寥が感じとれる。



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