失礼だね

また、知らない男に話しかけられた。

コンビニで弁当買ってでようとしたら、
私の車の横で微笑んでいる男がいた。

見た目20代。
白い顔に細い眼、短髪。
中肉中背。


あの～僕、実は□□（車の名前）が好きでして。
この車に乗る人はどんな仕事をしているのかと思いまして。
あ、いや。僕は◯◯町に住んでて、怪しいものではないんです。


こんな事言われてさ、公務員です、とか
答えるやついる？

黙ってすり抜けようとしたら、なおも押す男。


あ、答えにくかったかな。
これは奥様の車ですか？
それともご主人の？


あ～やっぱ失礼だよねー。


販売店だけこたえて、車にのりこんだ。


キレてもいいけど、パンクさせられたら嫌だもんね。

去年は3回もパンクしてんだから。


めんどくさいから今度聞かれたら、
親戚から借りてるんで‥とか言おうか。

と、河童に話したら

「『魔女をしてます』でいいじゃん。」

だとさ。


お前、まだ友達に私のことを魔女だと言ってんな！

見解の相違

宝物が怪我してからというもの、旦那は疲れ切っていた。
関西の道を病院を探して走り回り、息子のために全力で立ち回った。
手術はともかく、ようやく入院をさせ、息子の部屋に着替えを取りに行った。

何度も通ったその道で、旦那は分岐を間違えた。
駐車場のOUTからINしようとしたりした。

可哀相に。
倒れるんちゃうかァ?とずっと心配していた。

手術がすんで、まだ痛がる宝物を気にしながら旦那はかえった。

その晩、旦那はひとりだった。

長女も次女もお泊りだった。

昨日よりは回復した宝物の近況を話そうと、携帯に電話してみた。

でねぇ。

GPSは自宅を示している。
家電も鳴らしてみた。

10回も鳴らしたが、でねぇ。

その後、30分おきに両方に電話したが、でなかった。


あれぇ～??

GPSは自宅のままだ。


た、倒れたんじゃね?


そう思いながら9時まで待った。

どないしょ‥帰ろうかな‥
河童姫、戻ってくんないかな‥

‥‥‥あ!
セ△ムがあんじゃん!!


侵入者もいないのに、セ△ムと契約しつづけて早8年。

今こそ、使う時がきた～!!


30分後、セ△ムさんから結果を知らせる電話がかかってきた。


果たして旦那は愛車で外出していた。


そかそか、生きてたか。
生きてたんならいいね。
GPSで探られたくなくて、携帯置いてったんだね。

と、私は眠りについた。

翌午前１時、私の携帯が鳴った。


「ごめん。ごめん。オレ、仕事から帰ってきてずっと寝てたんや。
今、気がついたわ。」

「はァ～??」

「電話したやろ。オレ寝てたんやごめん。」

「寝てたの・・ずっと・・仕事おわってから・・」

「そうや!」

・・・・・・・・・・・・・

「セ△ムさんのと、見解が違うね・・」

「は?」

「私呼んだんだよね～セ△ム。誰もいなかったってさ、君の車も」

「え～っと・・」


直後、電話を切ってあげた。

言い訳を思いつくのに、半日ぐらいは必要なんじゃね?




次回、「時計を売ろう」でお会いしましょう。

さいならさいならさいなら