タレント知事の
ハレンチ行為(セクハラ)の考察
「ジューンさん、今日はね、ちょっと古い話になるけれどハレンチ行為について話そうと思うんだ」
「古いってどれくらい古い話なの?」
「ことの起こりは1999年だから、今から6年前の話ですよ」
「タレント知事って誰のこと?」
「本名は出せません。仮に藤田氏としておきましょう。でも日本ではほとんどの人が知っている芸人でした。お笑いで一世を風びした漫才トリオのリーダー格の人だった」
「ロナルド・リーガンさんが芸能界出身でカリフォルニア州知事になったことがあるけれども、そんな、たぐいね」
「まあ、それに近いかな。スケールの違いはあるけれどね。とにかく、圧倒的な庶民の支持を得て大阪府知事に当選したんだ」
「それで、その人がハレンチ行為をしたの?」
「そうなんだ」
「具体的には、どんな行為をしたというの?」
「被害者は、泣き寝入りせずに訴えた」
「それは当然なことです。こういう事件では、被害者が泣き寝入りすることが日本では実に多いのよね。あたしも、この事については、以前に取り上げたことがある」
「そうだったね」
「まだ読んでいない方はぜひ読んでください。ページの題名は次の通りです。『女性の権利と尊厳は守られているだろうか?』 それと、『性暴力に対して勇気を持って立ち向かおう』それで、どんな行為だったわけ?」
(
この二つのジューンさんの記事はそのうち紹介します。)
「被害者は次のように、ハレンチ行為を法定で証言している」
- 選挙運動中、事務所に帰る際、藤田知事(当時)は、別の車から自分の乗っていたワゴン車に移って来て自分の横に坐り、自分と知事の膝に毛布をかけて、その下で自分の下半身に手を延ばして30分ほど猥褻行為をした。
- 運転手に助けを求めようか、と思ったが、運転手は事態を黙認しているようで、薄笑いを浮かべていたため、助けてくれそうもない、と断念した。
- 恐怖のあまりすくんでしまい、されるままになっていた。
- 身をよじってかわそうとしたが、止めてくれなかった。
- 藤田知事のこういった行為については、前々から他の運動員の女性に警告を受けていて、「何かされそうになったら、トイレに逃げて」と言われていた。
- ガソリンスタンドの近くに来たとき、「トイレに行きたい」と言って、一旦車を降りた。そのとき知事も一緒に車を降りてトイレに行ったと思う。
- その後また車に乗り込み、さらに猥褻行為を受けた。
「もし、この女性の証言がほんとうならば、これはぜったいに強制ワイセツ行為だわ。それで、この事件が裁判になった経過というのは、どうなっているの?」
「平成11年(1999年)の秋、大阪府知事選挙に再選を目指して立候補した藤田氏は、選挙運動中、このアルバイトの運動員の女性(21)に強制ワイセツ行為をした、として慰謝料1500万円を要求された」
「それで?」
「藤田氏は民事裁判での答弁を拒否、事実無根、と突っぱねたものの、『議会の審議進行に影響する』として、請求された慰謝料を支払うことで訴訟をかわそうとした」
「その辺から、もうおかしいわね。もし、ワイセツなことをしていないのなら、そんなことは決して言わないわ。これでは、ハレンチ行為を認めたのも同然でしょう?」
「ぼくも、これではクサイと思うね。そんなわけで、原告側は『強制猥褻行為』を主張して刑事訴訟を起した。その間藤田氏は過労を理由に入院、さらに大坂府知事の座を辞任するなどして裁判を回避しようとする様子が見られた。しかし、相手方の主張は変らず、出廷を余儀なくされることになった。と、こういうわけだ」
「これでは、誰が聞いても、藤田氏は初めから、ハレンチ行為を認めて、防戦に回っているようなものじゃないの?」
「確かに、そんなところが見受けられる。藤田氏は民事裁判では答弁を一切拒否し、マスコミに対しても『事実無根』『陰謀』等のコメントを押し通してきた。しかし、刑事裁判では『猥褻行為』を認めた」
「この辺の意識なのよのね、あたしがいつも日本人にたいして不信感を持つのは」
「それはまた、ずいぶんと手厳しいね」
「だって、そうでしょう?藤田氏はウソをついてたわけでしょう。日本でも言うじゃない?『ウソは泥棒の始まり』だって?」
「それは、確かにその通り」
「しかも大坂府知事という、政治にたずさわる立場になったわけでしょう?そのような人が、公然とウソを言うなんて、これは欧米では、絶対に許される行為ではないわ。ハレンチ行為をしたかどうかの以前に、政治家としての、いいえ、人間としての、品格、人格の問題です」
「それは厳しいねェ」
「ちっとも厳しくなんかないわ。これは、あたりまえな問題よォ」
「ボーダレス社会になってきたんだから、確かにそんな風に受けとめるようにならねばならないんだろうけれど、まだ、日本ではそこまで割り切って物事を考える人がそう、多くはないようだよ」
「ヘーェ、そうなの? あたし、そんなこと常識だと思うわ。それで藤田氏はどう言っているわけ?」
「彼の主張はあくまでも『合意』によるもの、と主張して、原告である被害者の女性が嫌がっていたとは思わなかった、との見解を通していた」
「それは男の身勝手も、はなはだしいわ!被害者の証言したことをもっと真面目に聴くべきだわ。この女性は前々から他の運動員の女性に警告を受けていたのよ。『なにかされそうになったら、トイレに逃げて』と。もうはっきりしているじゃないの!この人は被害者だけに限らずに、他の女性にも、同様なことをしていたんじゃないの。日本の諺にもあるでしょう?『火のないところに煙は立たず』というのが」
「確かにそういう諺はある」
「この裁判では日本人の男の嫌らしさが、すべてさらけ出されている感じだわ。ウソはつく。女の反応を自分勝手に解釈する。悪いことを指摘されると、なんとかヘリクツをまくしたてて、逃げ惑っている感じ。あたしに言わせてもらえば、大阪という大都市を政治的に取りまとめてゆく人が、こんな考え方で凝り固まっているということが信じがたい」
「ジューンさんは、ホントに厳しィー見方をするねェ?」
「ちっとも厳しくないわ。あたし、あたりまえな事を言ってるつもりよ」
「まあ、まあ、そんなに興奮することは、ないじゃないか?」
「デンマンさんは、どうして、こういう嫌らしい男の肩を持つの?」
「ちょっと。。。ちょっと待ってくださいよぉ~。僕はなにも、この人物をかばっているんじゃないよ」
「でも、なんとなく、そんな風に聞こえるわ。もしかして、藤田氏はデンマンさんの遠い親戚?」
「急に何ということを言い出すんだい? 僕の一族には、ハゲは居ないんだ」
「あらァー、ハゲって、差別用語じゃないの?」
「日本では最近そういうことになっているようだね。僕が子供の頃は、あたりまえの言葉として通用していたんだけれど。しかし、どうしてジューンさんはそんなことまで知っているんだい?」
「あたし、日本語学校で勉強したのよ。先生がそう言ってました」
「そういうことは、よく覚えているんだね?」
「他のことだって覚えてますよ。それより、裁判はどういうことになったの?」
「翌年、つまり、平成12年(2000年)の6月20日、論告求刑公判で、検察側は、『執ようで、悪質この上ない』として、被告に懲役1年6ヶ月を求刑した」
「そうですよ、それが当然ですよ。それで判決は?」
「8月10日に裁判の判決が出た。判決は有罪、求刑通りの懲役一年六ヶ月、但し執行猶予三年がついた」
「当然といえば、当然だけれど、あたしには、それでも軽いという感じだわ」
「ジューンさんは厳しい!彼は知事の座を辞職し、民事で慰謝料1100万円を支払い、刑事訴訟で有罪となり、ということは前科者になったわけだ。その上、前回、知事を務めた際の退職金5千数百万円の返還まで求められている。充分、罰を受けたと思うよ」
「庶民の政治家に対する信頼と期待を裏切ったということを考えれば、あたしは当然の報いだと思うわ」
「しかし、『懲役1年6ヶ月』が、求刑として重いと考える人もいる」
「どうして?」
「強制猥褻罪に該当する条文は、次にようになっているんだ」
十三歳以上の男女に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、六月以上七年以下の懲役に処する。
三歳未満の男女に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。
(刑法176条・177条)
「そういう人たちが問題にしているのは、この条文にある、『暴行又は脅迫を用いて』という点だ。第一回公判で、被害者の女性が証言に立ったんだけれど、カーテン越しに証言をした、ということで話題になった」
「どうして、そんなことしたの?」
「事件のため被害者の女性が精神的にたいへん傷つき、カウンセラーに助言を受けるなど、精神的消耗が著しい、という原告側の主張を受けて、法廷が特別配慮したものなんだ。証言にはカウンセラーも立ち会っている」
「特別にデリケートな扱いをしたというわけな?」
「そうなんだ」
「しかし、被害者の供述からは、加害者が『暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした』という行為が読み取れない。だから法律に定めた強制猥褻罪にあたらない。それに、被害者の女性は21歳。なかにはその歳で、世の中を知り抜いて、男のハレンチ行為など、ものともせずに、大声あげて退治してしまう娘もいる。どうして、被害者がもっと断固とした態度を取って拒絶できなかったのか?という疑問が残ると感じている人もたくさんいるんだ。なかば女性が、行為を受けて“合意”していたというわけだ」
「デンマンさんも、そう考える一人というわけね?」
「いや、僕は、そういうわけじゃない」
「そうかしら?」
「そうですよ。僕は人生の半分を日本で、もう半分をカナダで暮らしてきた。だから女性の心理についても、日本人と北米人の比較ができる。一般の日本人よりは、この件に関しては、よく知っていると自負している。カナダでは、ハレンチ行為にあって、じっと我慢している女性は、恐らく100人のうちに2人か3人ぐらいしかいない。21歳にもなれば、男の嫌らしい面なんて、もう知り抜いている。まかり間違って電車の中で、ジューンさんのお尻にさわろうとしたなら、まず間違いなく、『なにをするのよ!』とビンタがとんでくる。そうだろう?」
「たぶん」
「たぶん?たぶんじゃなくて、まず、間違いなくそうするんじゃないの?ジューンさん、なにも、この場で、妙にとりつくろわなくったっていいんだよ」
「そういうわけじゃないわ」
「本当のことが言えない理由が他にあるの? ん?」
「そんな、こまかなことで、あたしを追求しなくてもいいでしょう?恥かしいわぁ」
「あれェ、少しは、そういうことをすると、恥ずかしいということが分るんだ?」
「これでも私は、いくらか、日本人について勉強しましたから。女が大声を上げて叫ぶなんて日本では、“はしたない”ということになっているんでしょう?」
「そうなんだ。最近は、活発な女性もでてきたけれど、昔は尻にさわられたら、さわられた方が恥ずかしそうにして、頬をぽっとあからめる女の子が多かった」
「そういうことは経験者にしか分らないわね?」
「アレッ、そういう目つきで僕を見るということは、僕が女性のお尻をさわったというように疑っているわけね?」
「そういうことがあったんでしょう?」
「ヘヘヘ …」
「ほら、そうやって、笑いでごまかそうとする。そういうところが、日本人の男の嫌らしさなのよ」
「その話しは、置いといて、。。。」
「デンマンさんも痴漢したんでしょう?」
「しませんよ、。。。そういう大それたことはしたことがありません。ちょとだけ。。。」
「そのちょっとだけよ、という事をここで聞きたいわ。。。」
「それは、またの機会にしましょうね。長くなるからね。とにかく、僕が言おうとしているのは、元気、発辣、誰が何と思おうと、ハレンチ行為やチカン行為は絶対に退治してみせます、と断言する女性が日本では極めて少ないということなんだよ」
「そうらしいわねェ」
「電車のなかで、大声をあげたり、やめてよォー、なんて男の手を払い除けるなんて、はしたない、そんなことをやる方がみっともないと見られやしないか?電車の中の視線が全部、女性の方に集中するのではないか?そう考えてしまう。若い日本の女性のなかには、そんな視線には耐え難いと、感じている人が多い」
「そういうものなの?」
「そうなんだ。ところが、北米では、まずそういう風に考える人は少ない。僕がトロントに住んでいた頃、地下鉄に乗ると夏なんか、ときたま裸足で乗ってくる若い女性を見たことがあった。片手にハイヒールを持っている。ちゃんとした服装を身に着けている、ごく普通の女性。決して頭がおかしいとか乞食だとか、そういう風ではない。たぶん、足に靴ずれでもできてハイヒールをはいたままでは歩けないんじゃないか?と、僕はそんな風に想って、その女性を見つめていたんだ。しかし、他の乗客は、とりわけ物珍しそうに、その女性を眺めるわけでもない。僕は不思議な情景を見たと思ったものだ。日本ではまず、そういうことはない。東京の地下鉄で女性が裸足で乗り込んできたら皆が一斉に、その女性を見るに違いない。そもそも、それだけの視線を無視するだけの勇気ある女性は、まず居ないだろう。そういう発想は日本女性にはない。靴ずれなど、まず我慢してしまう。裸足になるなんて、そんな“みっともない”ことは日本の女性には、現在でも、まだできないに違いない」
「そういう時でも、裸足になるのはみっともないと思うの?」
「まず、日本女性の10人の内、9人まではそう思う」
「あたしが、同じような状況に置かれたら、やっぱり、裸足になると思うわ」
「だろう?こういう日本人と北米人の違いというのは厳然としてある。だから、被害者が男の嫌らしい手を『なにをするのよォー!』と叫んで払い除けることができない心理が分るんだ。一部の日本人が想うように被害者が半ば合意して男の手を股間に受けていたわけじゃない」
「そういうものなのかしら?」
「ジューンさんには、充分に理解できないかもしれないけれど、そういうところが日本の若い女性にはある。そのことは、僕にも良く理解できる」
「女性の方で意識改革する必要があるわね?」
「そうなんだ。そうすれば、こういう事件は少なくなる。男だけを責めるのは、ある意味では片手落ちだ。僕は決して藤田氏の肩を持つわけではないけれど日本女性の“しおらしい”女でいなければという見せかけだけの格好は早めに捨てたほうがいい。そうでないと、“スケベじじい”がのさばってくる。しかも、半分合意していた、なんて誤解を受けるもとになる」
「そうね。ハレンチ行為を受ける女性の方にも、多少問題があるわけね?」
「そうなんだ。だけど、この事件の場合、僕は藤田氏の品格と人格をやはり問題にしないわけにはゆかない。漫才トリオのままでいれば、これ程に問題にされることはなかっと思う」
「そうかしら?」
「しかし、なんと言っても選挙で選ばれて政治家になったわけだから、やはり、“公人”としての意識をもって欲しかった。しかし、こと女性に関しては、そういう心構えは欠けていたようだ。この被害者は前々から他の運動員の女性に警告を受けていた。『何かされそうになったら、トイレに逃げて』とね。ということは、同じようなハレンチ行為を受けた女性が前にもいたに違いない。ところが、それまで、そのようなことは見逃されていた。ハレンチ行為が発覚して裁判にかけられ判決がでて初めて選挙民は分った。藤田氏という男は、こういうハレンチなことをする人間だったのかと。。。」
「初めから政治家になるべき人間じゃなかった、と思われてもしかたがないわけね?」
「その通り。しかし、実は良いこともやっていたんだ。汚職をなくし自らボーナスを50%カットするなど清廉潔白な政治で売っていた。そのクリーンな姿勢をアピールしている最中の選挙カーの中で、あろうことか女の子の体を触って喜んでいた。しかも、どうやら一度だけではないらしい。そうでなければ他の運動員の女性が被害者に警告などしない。日本には昔から『英雄、色を好む』という因習が言い伝えになっている」
「でも、この藤田氏は、決して英雄ではないでしょう?」
「でも、政治家というのは、本人が、その気になってしまうらしい。だから、これまでにも政治家が女問題で訴えられたことが何度かある」
「“色”にも、いろいろあるけれど、ハレンチ行為というのはどうかしら?昔の人は『英雄、ハレンチ行為を好む』という意味で言ったわけじゃないでしょう?」
「もちろんさ。でも、悪いのは本人ばかりじゃない。回りの取り巻き連中も悪い。誰も止めるように忠告しなかった。被害者も法廷で証言している。『運転手に助けを求めようか、と思ったが、運転手は事態を黙認しているようで、薄笑いを浮かべていたため、助けてくれそうもない、と断念した』とね」
「政治の世界には、そういうことを黙認するという風潮があるのね?」
「全部が全部とは言わないまでも、そういうところがあるよ。。。」
「でも、結局、つきつめてゆくと女性が被害者になるわけだから、女性自身が、もっと、しっかりしないと駄目なわけね?」
「結論はそういうことになる」
「お尻を触られたら、恥も外聞もかまわず、大声出して叫んで、スケベ男の嫌らしい手を払いのけるべきなのよねェ~」
「まあ、そういうわけなんだ。しかし …」
「なに?まだ他に付け加えることでもあるの?」
「無いわけでもない」
「なんだか言いにくそうねェ?」
「別にそういうわけでもないんだ」
「それなら、早く言えば」
「いちがいに、大声をあげるというのはどうかな? 少し考えたほうがいいんじゃないかな?」
「どうして?」
「それはさ、やっぱり時と場合によると思うなァー、ヘヘヘ …」
「ほらァ!またその嫌らし笑い。そうやって、あたしのお尻にさわろうとする。いや!ダ~メ!」
「へへへ。。。」
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