第3次AIブーム(PART 1)
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デンマンさん。。。 どういうわけで第3次AIブームというタイトルの記事にオイラを呼び出したのですか?
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オマエは、早稲田大学の理工学部の数学科を優秀な成績で卒業したのだよなァ~?
その通りです。。。 それが 第3次AIブーム と関係あるのですか?
オマエは日本で大型コンピューターのオペレーティング・システムの仕事についていたのだよなァ~?
その通りです。。。 デンマンさんは、よくご存知ですねぇ~。。。
オマエがかつて得意げに僕に語っていたから、すごく印象に残っているのだよ。。。
つまり、オイラには第3次AIブームを語る資格があると認めてくれるのですねぇ~?
手っ取り早く言えば、そういうことなんだよ。。。
。。。で、なぜ第3次AIブームを取り上げるのですか?
実は、バンクーバー市立図書館で借りていた本を読んでいたら次の箇所に出くわしたのだよ。。。
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AI vs. オードリー
このあいだ、特番の収録でAIの開発者の方とお話させていただいた。
「AIはM1で優勝できる漫才を作れるのか」というテーマで話をしていた時に、開発者の方は可能だと言い切った。
今まで爆笑を取ってきた漫才のデータをとにかくAIに取り込めば、「どういうテーマだと人が笑うのか」「最適な間とはどういうタイミングなのか」というものも可視化できるというのだ。
それを聞いて、現役の漫才師としてはムキになってしまった。
「データを取り込むということは、テーマ・設定は過去のデータに学ぶということだから新しい設定は生まれないのではないか?」
そう聞いてみた。
「それは、データの取り込み方によってはできますね」
簡単に言い返されてしまった。
「でも、笑いって、“何を言うか”より“誰が何を言うか”だから、その人のキャラクター、年齢、顔、体系、声、送ってきた人生、そういった諸々の要素によって最適な言葉や間は変わってくるのでは?」
こうなってくると、もう負けるわけにはいかない。
「それも、データの取り込み方によってはできますね」
“データの取り込み方”というワードが強すぎる。
「だけど、お笑いって劇場の広さやその日の天候、時間帯によってお客さんのテンションが違うから最適な間は変わってきますよね?」
「お客さんの脳波や瞳孔の開き具合をAIが検知することによって、最適な間は算出できます」
「うーん、じゃあ、それ早く作ってください!」
ぼくは反論を忘れて、“漫才が作れるAI”の完成を待望してしまった。
(注: 赤字はデンマンが強調。
読み易くするために改行を加えています。
写真はデンマン・ライブラリーより)
158-159ページ 『ナナメの夕暮れ』
著者: 若林正恭
2018年9月25日 初版発行
発行所: 株式会社 文藝春秋
つまり、こうしてAIの開発者を呼び出して話を聞くということが、そもそも 第3次AIブーム を物語っているというのですか?
そういうことだよ。。。 オマエは意外に飲み込みが早いんだねぇ~。。。
早稲田大学の理工学部の数学科を優秀な成績で卒業しましたから。。。 うへへへへへへへ。。。
いちいち、そういうことを宣伝しなくてもいいのだよ。。。 “漫才が作れるAI” が出現するというようなことを いとも簡単に言うところが いかにも第3次AIブームの追い風に乗っているという感じなんだよ。。。
ところで、 第3次AIブーム というのは、具体的にどういうことなのですか?
あれっ。。。 オマエは知らなかったのォ~? ウィキペディアに説明が載ってるから、オマエのためにここに書き出すので読んでみたらいいよ。。。
人工知能の第三次ブーム:
AGI(汎用人工知能)と
技術的特異点
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2006年のディープラーニングの発明と、2010年以降のビッグデータ収集環境の整備、計算資源となるGPUの高性能化により、2012年にディープラーニングが画像処理コンテストで他の手法に圧倒的大差を付けて優勝したことで、技術的特異点という概念は急速に世界中の識者の注目を集め、現実味を持って受け止められるようになった。
ディープラーニングの発明と急速な普及を受けて、研究開発の現場においては、デミス・ハサビス率いるDeepMindを筆頭に、Vicarious、IBM Cortical Learning Center、全脳アーキテクチャ、PEZY Computing、OpenCog、GoodAI、nnaisense、IBM SyNAPSE等、汎用人工知能(AGI)を開発するプロジェクトが数多く立ち上げられている。
これらの研究開発の現場では、脳をリバースエンジニアリングして構築された神経科学と機械学習を組み合わせるアプローチが有望とされている。
結果として、Hierarchical Temporal Memory (HTM) 理論、Complementary Learning Systems (CLS) 理論の更新版等、単一のタスクのみを扱うディープラーニングから更に一歩進んだ、複数のタスクを同時に扱う理論が提唱され始めている。
3Dゲームのような仮想空間でモデルを動かし現実世界のことを高速に学ばせるといったことも大きな成果を上げている(シミュレーションによる学習)。
また、数は少ないがAGIだけでは知能の再現は不可能と考えて、身体知を再現するために、全人体シミュレーションが必要だとする研究者やより生物に近い振る舞いを見せるAL(人工生命)の作成に挑む研究者、知能と密接な関係にあると思われる意識のデジタル的再現(人工意識)に挑戦する研究者もいる。
リーズナブルなコストで大量の計算リソースが手に入るようになったことで、ビッグデータが出現し、企業が膨大なデータの活用に極めて強い関心を寄せており、全世界的に民間企業主導で莫大な投資を行って人工知能に関する研究開発競争が展開されている。
また、2011年のD-Wave Systemsによる量子アニーリング方式の製品化を嚆矢として、量子コンピュータという超々並列処理が可能な次世代のITインフラが急速に実用化され始めた事で、人工知能の高速化にも深く関わる組み合わせ最適化問題をリアルタイムに解決できる環境が整備され始めている。
この動向を受ける形で、2016年頃から、一般向けのニュース番組でも人工知能の研究開発や新しいサービス展開や量子コンピュータに関する報道が目立つようになった。
2017年にはイーロン・マスクが、急速に進化し続ける人工知能に対して人間が遅れを取らないようにするために、人間の脳を機械に接続するブレイン・マシン・インターフェースを研究開発するニューラ・リンク社を立ち上げていたことを公表し、世界中で話題になった。
ブレイン・マシン・インターフェースにより、人のインターネットが出現する事が予測されている。
2017年10月にはジェフリー・ヒントンにより要素間の相対的な位置関係まで含めて学習できるカプセルネットワークが提唱された。
2018年3月16日の国際大学GLOCOMの提言によると、課題解決型のAIを活用する事で社会変革に寄与できると分析されている。
2018年8月、Open AIが好奇心を実装しノーゲームスコア、ノーゴール、無報酬で目的なき探索を行うAIを公表。これまでのAIで最も人間らしいという。
2018年9月、MITリンカーン研究所は従来ブラックボックスであったニューラルネットワークの推論をどのような段階を経て識別したのかが明確に分かるアーキテクチャを開発した。
2019年に入るとこれまで深層学習では困難とされてきた言語処理において大きな進展があり、Wikipediaなどを使用した読解テストで人間を上回るに至った。(BERT、ROBERT。)
出典: 「人工知能」
フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
上の説明にもあるように「この動向を受ける形で、2016年頃から、一般向けのニュース番組でも人工知能の研究開発や新しいサービス展開や量子コンピュータに関する報道が目立つようになった」たわけだよ。。。 そういうわけで、上の本でも AI を取り上げている。。。
なるほどォ~。。。 つまり、“漫才が作れるAI”も そのうちできるというわけですねぇ~。。。
いや。。。 僕は、それほど簡単に“漫才が作れるAI”ができるとは思わない。。。
どうして、デンマンさんは そう思うのですか?
あのなァ~、一橋大学を優秀な成績で卒業して、アメリカに留学し、数学者になった女性が次のように言ってるのだよ!
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論理、確立、統計。
これが4000年以上の数学の歴史で発見された数学の言葉のすべてです。
そして、それが、科学が使える言葉のすべてです。
次世代スパコンや量子コンピューターが開発されようとも、非ノイマン型と言おうとも、コンピューターが使えるのは、この3つの言葉だけです。
「真の意味でのAI」とは、人間と同じような知能を持ったAIのことでした。
ただし、AIは計算機ですから、数式、つまり数学の言葉に置き換えることのできないことは計算できません。
では、私たちの知能の営みは、すべて論理と確率、統計に置き換えることができるでしょうか。
残念ですが、そうはならないでしょう。
(中略)
数学が発見した、論理、確立、統計にはもう一つ決定的に欠けていることがあります。
それは「意味」を記述する方法がないということです。
数学は基本的に形式として表現されたものに関する学問ですから、意味としては「真・偽」の2つしかありません。
「ソクラテスは人である。 人は皆死ぬ。 よって、ソクラテスも死ぬ」のようなことしか演繹できないし、意味はわからないというより表現できないのです。(略)
数学は、論理的に言えること、確率的に言えること、統計的に言えることは、実に美しき表現することができますが、それ以外のことは表現できません。
人間なら簡単に理解できる、「私はあなたが好きだ」と「私はカレーライスが好きだ」との本質的な意味の違いも、数学で表現するには非常に高いハードルがあります。
これが、東ロボくんの成績が伸び悩んでいる根本的な原因だと言えるでしょう。
(117-119ページ)
論理、確率、統計に還元できない意味
今、「シンギュラリティ」という言葉が時代の寵児のように受け止められています。
その日が来ることを、たとえば、1960年代に、人類が月面着陸に成功する瞬間を、わくわくして待ち侘びたのと同じように、心待ちにしている人も少なくないと思います。
ウィキペディアの日本語版が「人工知能研究の世界的権威」と持ち上げ、グーグルのAI開発を指揮する未来学者のレイ・カーツワイルが2029年に真の意味でのAIが開発され、2045年に1000ドルのコンピューターが全人類を合わせたより知的になると公言しているのですから、信じる人が多くても仕方がないのかもしれません。
私は、この言葉の賞味期限は長く見積もってもあと2年だろうと思っています。
(161ページ)
(注: 赤字はデンマンが強調。
読み易くするために改行を加えています。
写真はデンマン・ライブラリーより)
『AI vs.教科書が読めない子どもたち』
著者: 新井紀子
2018年3月27日 第6刷発行
発行所: 東洋経済新報社
この新井さんの言おうとしていることは、「AIが話題になっているけれど、本当の意味の AI は、おそらく実現不可能じゃないか!?」ということだよ。。。
でも、最近、AIがプロの将棋や囲碁の棋士を負かしたとか言うニュースが、けっこうたくさん報じられていますよ。。。
人工知能に負けたプロ棋士 衝撃!
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最終更新日: 2016年2月25日
米グーグル傘下のベンチャー企業による囲碁コンピューターソフト「アルファ碁」がプロ棋士に勝ったと報じられ、日本の囲碁界に衝撃が走っている。
「コンピューターは将棋でプロと同等まで強くなったが、囲碁は10年以上先になる」と言われていた。
その予想より早かった。
『AINOWメルマガ』より
こうしてAIがプロの棋士を負かしてしまうのだから、“漫才が作れるAI”ができて、プロの漫才師よりも優れた漫才をやることができるのも可能性としてあるのじゃありませんかァ~?
あのさァ~、本当のAI というのは、人間と同じような知能を持ったAIのことなんだよ。。。 新井さんは「AIは計算機ですから、数式、つまり数学の言葉に置き換えることのできないことは計算できません」と言っている!
数学が発見した、論理、確立、統計にはもう一つ決定的に欠けている。 それは「意味」を記述する方法がない。 だから、AI は意味を理解できない、と言ってるのですねぇ~?
そういうことだよ。。。 早い話が、囲碁の棋士に勝てたAIと将棋の棋士が対戦したとすると、そのAIは絶対に勝てない。。。 なぜなら、将棋のやり方がわからない。。。 つまり、囲碁の棋士に勝てたAIは、囲碁だけしか活躍の場が与えられていない。。。 囲碁に特化したAIなのだよ。。。
じゃあ、囲碁に特化したAIは、小学生と将棋をしても勝てないということですね。。。
そうだよ。。。 囲碁に特化したAIは将棋のやり方をプログラムされてないのだから、そもそも将棋というゲームがわからない。。。
。。。ということは第三次ブームのAGI(汎用人工知能)は、どうなりますか?
たぶん、ある仕事や分野、ゲームに特化したAIは実現できるけれど、何でもやりこなす汎用AIはまずできないと思うよ。。。
なぜですか?
なぜなら、汎用AIとは、何でもやりこなす人間と同じような知能を持ったAIのことだよ。。。 ということは、人間のように意識を持たなければならない。。。 ところが、「意識」というのは、数学のように明確な定義がない!
意識
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意識(Consciousness)は、一般に、「起きている状態にあること(覚醒)」または「自分の今ある状態や、周囲の状況などを認識できている状態のこと」を指す。
ただし、歴史的、文化的に、この言葉は様々な形で用いられており、その意味は多様である。
哲学、心理学、生物学、医学、宗教、日常会話などの中で、様々な意味で用いられる。
日本語では、「ある物事について要求される注意を払っている」とか「考え方や取り組み方について努力が行われている」といったことを表す場合に、意識が高い(または低い)といった言い方が許される。
たとえば公害や廃棄物などの問題についてよく勉強し、改善のために様々な行動や対策を行っている個人や集団を、環境問題についての意識が高い、などと表現する。
このような用法は遵法意識、コスト意識、プロ意識、意識調査、意識改革、など様々な表現に見られる。
学術的には、文脈に応じて意識という語は様々な意味で使用される。
認知科学・人工知能における意識
認知科学、人工知能の分野では、人間が人工知能に質問などをして、その人工知能があたかも人のように反応し、人から見て人と何ら区別がつかなければ、それをもってしてその存在は知能あるいは意識を持っていると見なしていいのではないか、とアラン・チューリングが提案した(チューリング・テスト)。
心理学
19世紀中葉のヨーロッパでは、哲学から心理学が分科した。
ヴィルヘルム・ヴントは意識という概念を中心に心理学を組み立てようとした。
意識は自分の感ずる「感覚」「感情」「観念」に分けられる。
この三つの意識を自分自身が感じたままに観ることを内観法(ないかんほう)という。
行動主義心理学では、意識という概念を用いずに、刺激と反応という図式で人間の行動を理解しようとする。
精神分析学
精神分析学では人間の心を、意識・前意識・無意識の三つに分ける。
自分で現在認識している内容を意識という。つまり、我々が直接的に心の現象として経験していること、これは私の経験だと感じることのできることを総体的に意識という。
意識は短期記憶・作動記憶と関係がある[要出典]、ともされる。
自分で現在認識していないが、努力すれば思い出すことができる内容を前意識という。
自分で現在認識しておらず、努力しても思い出せない内容を無意識という。
精神分析学では通常の方法では思い出せない無意識下にあるものを、自由連想法などを用いて意識に持ってゆくことで無意識を理解しようとした。
出典: 「意識」
フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
つまり、数学のように「意識」が明確に定義されていないということは、AIに「意識」を埋め込むことができないということになりますねぇ~。。。
そういうことだよ。。。 要するに、現在では、汎用AIも「意識」を持つことができない。。。 だから、「意識」を数式化してAIにプログラムとして教え込むことができるまでは、人間と同じような知能を持ったAIは出現しないということだよ。。。
要するに、「意識」を記述する方法を考え出せばいいのですねぇ~!
そういうことだよ。。。
分かりました。。。 じゃあ、「意識」を記述する方法を考え出してオイラがノーベル賞をゲットします。。。
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