御所駅の観光案内所から再びバス停に戻り、
少し待っていると、
時間より少しだけ遅れてバスがやってきました。
おお~全く普通の路線バスです。
前の扉が開いて乗り込むと・・・
ガラガラだろうと思っていた予想を大きく裏切り、
ほぼ満員状態でした。
二人掛けシートのほとんどに、
年配の男女が座っているではないですか。
しかも、皆さん大きな荷物の
旅支度をされている人がほとんどです。
このバスに乗るための旅行という感じでしたね。
運よく一列だけ空いていた席に
腰かけることができました。
バスはなかなかいい雰囲気で、
右に山頂周辺に少し雪を被った
金剛葛城の山々を見ながら進んでいきます。
このあと歩く道はその山麓の
高台を通っているはずです。
このまま十津川とかの山の中を通って
新宮まで行くのも楽しいでしょうねえ。
いつか必ず、このバスで旅行してやると思いました。
途中バスはいくつか停留所を通過するのですが、
一人の乗降もありません。
すべての停留所をスルーしていきます。
そして目的の「風の森」の一つ手前の
「かもきみの湯」という温泉施設の停留所でも
誰も降りず、少し時間調整しただけで出発しました。
結局「風の森」停留所で降りたのも
doironだけでした。
ナビをセットして、さあ歩きはじめましょう。
道の入り口のところにはこんな看板がありました。
よ、読めません。
でもこれを目印に、のどかな道に入っていきましょう。
あ、こんな石の道標もありました。
「至風ノ森」と刻まれています。
この「風の森」なんですが、
なかなかいい名前ですよねえ。
ジブリの映画に出てきそうです。
どんなところでしょう。
道は小さなため池や田んぼを見ながら
どんどん登って行きます。
近くの金剛葛城山系の山の見渡せる
とても気持ちのいい道です。
やがて風の森に到着したようです。
でも、あれ?森がないぞ。
石標のまわりは全て田んぼです。
遠くにちょっと木の生えた場所が見えていますが、
その森を指しているわけではなく
石標はこのあたり一帯を指し示しているような置かれ方です。
調べてみますと、
現在の住居表示では
「風の森」という表記をする地番はありません。
わずかに「風の森神社」や
「風の森峠」といった名前で残っているだけです。
この日は穏やかな気候でしたが、
普段このあたりに吹く金剛葛城山系からの風が
とてもきついそうです。
なのでその風から守ってもらうために、
風の神様である
志那都比古神を祭神とする
「風の森神社」が祀られています。
ではその神社の森が「風の森」なんでしょうか。
どうもそうでもないようです。
さらに調べてみますと実は
ここが「風の森」という名前の森です
という森があるわけではないようです。
石標の置かれ方から感じた印象は
間違いではなかったんですね。
ではなぜ「風の森」なんでしょうか。
風が強くて森が点在していたから?
そうかもしれませんが、
もう少し考えてみました。
桜井の大神神社が背後の三輪山を
御神体とするように、
神社と山や森は信仰上深いつながりがありました。
かつて神は山であり森であったようです。
万葉集でも「神社」と書いて
「もり」と読む歌もあります。
と考えると、
「風の神社」を「かぜのもり」と言い、
「風の森」と表記するようになったのではないか
と思うのです。
風が強く、風をつかさどる神様がおられた場所・・・
それが「風の森」なんです、きっと。
道の正面には、
稜線辺りが白くなった金剛山が見え、
遠くには奈良の山々も見渡せる
気持ちのいい道が続きます。
分岐点にはこんな道標が立っています。
その道しるべでは「葛城の道」となっていますが、
このブログでは「葛城古道」と書くことにして、
さらに続きます。