前回、鳩が卵を捨てていなくなった話を書いたが、その後、卵をそのままにしていたら、いつの間にか卵の一個が見えなくなっていることに気付いた。夜、タバコを吸いにベランダに出てみると、綿毛のようなものを加えた鳩(雄鳩)がベランダにいるのを目撃、「えっ! 親場とはまだ見捨てたわけじゃないんだ!ほう、歓心!歓心!」とほっとした。でも、「鳥って夜飛べるのか?鳥目じゃなかったのか?まあ、ここは街中だから、真っ暗というわけじゃない。鳥でも見えるのかも知れない。」と、馬鹿な疑問を抱きながら、部屋の中に戻った。部屋に戻って、全仏オープンの錦織圭の試合を見ながら、しかし、「ちょっと待てよ。卵は1個見えている。残り1個はどこにあるんだ?」と不安になった。その後、喫煙タイムにベランダに出てみると、一羽の鳩が飛び立ったと思ったら、もう一羽慌ててエアコンの下から出てきて、しばらくこちらの様子を窺うようにベランダを歩き回った後、エアコン室外機の下にもぐり込んで行った。「やっぱり、卵を暖めているのか?」と思いながら、寝ることにして、そのまま放置した。
朝、明るくなってエアコン室外機の下を覗くが、暗くてよく見えない。巣らしきものは見当たらないのに、どうしたことか?懐中電灯で奥を照らしながら、確認してみると、鳩がじっと動かずにいる。やっぱりなぁ、あんな端にいたんだ。見えなかったのも無理はないと思った。
個人的には鳩が来ても、それ程気にならないのだが、卵が孵って、巣立っていくまでには相当の日数が必要だ。その間、二羽の鳩が出入りしていたのでは、鳩の声がうるさくてたまらない。また、ベランダも鳩の糞まみれになってしまう。他の人の洗濯物などに糞をしたら迷惑この上もない。下を通行する人に糞を落としたら、苦情が殺到するだろう。困ること必定だ。迷いに迷った末に、鳩に出て行ってもらうことにした。一度、親鳥を追い払って、卵を処分した。(私の心は痛んだ、本当にショックだ。)
それでも、しばらくすると、また、親鳥が来て、卵のあった場所にじっとしている。(私の心は、痛んでいる。本当、今夜、夢でうなされることになるかも知れない。