最近、緩和ケアチームの質に関することをよく耳にするようになりました。
4月から診療報酬体系が変わったからかもしれません。
今までは、病院機能評価を受けたとだけ緩和ケアチーム加算が算定できていましたが、
4月からはがん診療連携拠点病院では、評価を受けていなくとも算定が可能になりました。
依頼が増えない・・という悩みを聞くことがあります。
一般診療科からは、
結局、医療用麻薬の増量と鎮痛補助薬の1剤何か加えることくらいのコメントしかない、
それなら、自分達でもできる。チームへ依頼するメリットはない・・・
などという意見もあります。
こうしたことを考える時、
基本的緩和医療と専門的緩和医療という概念による整理がまだ不明瞭なことを気付きます。
基本的緩和医療とは、だれでも、どこでも、がん診療に携わる医師が知ってい置くべき緩和医療
専門的緩和医療とは、自科以外からの相談に対応できる専門性をもった緩和医療
つまり、緩和ケアチームが、基本的緩和医療の域を越えられない内容であれば、
一般診療科の医師が行っていることと同じでレベルですから
依頼のメリットはないと感じられても、致し方ありません。
緩和ケアチームの医師が、
例えば、(あくまでも一例) 消化器系が元々専門で、緩和ケアチームをリードする立場になった時、
消化器以外の症状にも対応でき、せん妄や呼吸器系の相談にも応じられることが求められます。
今まで疼痛緩和もやっていたという自負があっても、
一般診療医が緩和できない症状を緩和できるスキルを持っていなければ、
依頼はないでしょう。
一般診療科で難渋している症例に
ある程度解決の糸口を見つけることができたり
解決が難しいことであっても、依頼して主治医がよかったと感じられることの積み上げがなければ
依頼は増えません。
そのために、何が必要か・・
病態評価がどれだけ適切にできるかというトレーニングです。
難渋している症例には、対処が必要なことが見落とされていることがすくなくありません。
例えば、医療用麻薬の嘔気がとれないと依頼を受けた症例に対し、
高Ca血症がその原因と考えられておらず、
採血を促した結果、それが明らかとなり、対処したことで、症状改善となったなど。
もちろん、除痛できていない痛みへのオピオイドローテーションの適応など
痛みの病態評価も重要です。
ちなみに、学会の緩和医療専門医は、この専門的緩和医療のレベルの認定です。
ただ、緩和ケアチームは、専門的緩和医療の力がなければ務まらないかというと
そこをチーム力で補完することはできます。
認定・専門看護師さんのケアの力、薬剤師さんの専門性、ソーシャルワーカーさんの社会資源活用力
これらを集結させると、一般診療医の医師の症状緩和を越えたケアが形成されます。
緩和ケアチームの依頼数を増やすには・・・
依頼してよかったと思ってもらえた症例を丁寧に積み上げていくこと
です・・
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痛みも和らぎ、仕事に、フォーラムへの参加に、ウェートトレーニングに武道、それに、犬の散歩にビリヤード、羨ましかぎりです。
病気を忘れる時間があり、普通の生活が送れることが何よりも素敵なことだと思います。
よい夏の日を!
私って割とユーモアがある方なのです。
でも、この日課は事実です、こんなことができるのも緩和ケアのおかげだと思っています。
初診後、思うところがあり毎日十キロ以上歩きウエイトトレーニングをし、武道の稽古に行ったり食事に気をつけたりしているうちに痛みがなくなったからです。
結局、ロキソプロフェン錠60mgを半分にして朝晩2回の服用をしているうちにその薬もほとんど呑まなくなりました。
オピドイド系はまだ一度も使わずです。
ただ、痛みがはげしくなれば、それを少しづつ
使ってくれるというので安心して社会生活をお送れました。
私は、緩和ケアチームから安心感をいただき、今の楽しく面白い充実した生活が出来ている訳です。これは、ひとつの大きな成果だと思います。
そろそろ二度目の受診に行き経過を報告する時期かな、近々予約を取ろうと思っていますが、受診が楽しみです。
主治医と患者さんとの関係性は、二人三脚で歩んだ長さがあります。
それをも越えて、なるほど・・と思ってもらうには、主治医に「ああ・・そういうことなのか・・」と思わせられる病態評価力が求められます。
頂いたコメントの範囲なので、的外れの可能性の方が高いと思いますが・・
コミュニケーション力、というより、包括的病態評価・・・せん妄の評価に留まらず、痛みや薬剤全体も含め、患者さんが抱える問題を、包括的に(全体でみて)病態を評価されることが必要だった様な印象をもちます。
(NSAIDs、鎮痛補助薬の必要な疼痛だったということはないでしょうか。これらを併用して、オピオイドを減量し、せん妄の改善を図る必要性などはなかったでしょうか。H2ブロッカーなどのせん妄を奮起し易いものの併用もなかったでしょうか。)
ちょっとした評価者ではなく、主治医の重荷を一緒に背負い続けるようなチームであってくださると尚よいのではないかしら・・と思いました。
緩和チームメンバーではないですが、緩和チームに首をつっこんでいる薬剤師です。
当院の緩和チーム構成は、消化器医師、精神科医師、がん専門NS、薬剤師、MSWです。
自分は、ときどき担当薬剤師がいない時に参加させてもらっています。
当院でも依頼は増えずですね。
そんな中こんな症例がありました。
大腸がんで、痛みのコントロールがうまくいかない患者さんのいる病棟NSから依頼(主治医にも依頼をしたことは報告済み)があり、チームで回診。
(デュロ16.8×5でもいたみ取れず)
あきらかに不穏により、痛みの評価がうまくできていない患者さんでしたので、不穏の対処を具体的にお知らせしたのですが、、、
主治医は、「痛みがあるため、不穏になっている」と主張。
「デュロが効いていないかもしれない」と、モヒ注を併用。
NSのデュロ貼りかえ忘れもあり、モヒ注へ統一。
モヒ注がどんどん増え、患者さんの意識はドロドロに、、、
主治医もそれでいいんだの一点張り。
チームの意見は、「1回回診しただけなのに何がわかるんだ」と突っぱねられてしまいました。病棟スタッフも同じ思いだったようで、その後、チームは信用されていないと病棟スタッフより聞いています。
ですので、その病棟からは以来、依頼はありません。
伝え方が悪かったのか、コミュニケーション不足なのか、なかなか難しいです。
緩和チームを最大限利用していただけるよう、チームの力量アップに少しでも尽力できればと日々精進です。
ご自分の出来ることを探索されている様子に、心の奥にあった記憶が呼び戻されました。
「私のために、悩んでくれてありがとう・・」何もできなくて、無力だった私に、声をかけてくださった患者さんの言葉です。
悩みながら、そこにいることの意味を教えられました。
お気持ちが形となっていきますように。
少なからず私の周りにもそういった境遇、医師や看護師、患者であり私の大切な上司がおりまして、拝見するたび自分は何が出来るのかと考えさせられます。
現在は医療事務員として勤めておりますが、ゆくゆくはある程度の医療知識を思って傾聴から緩和ケアの世界に貢献して行きたいと考えております。
しかしながら具体的にどこから始めるか、、。
壁?にぶつかっている状態です。
今日のブログ内容に対するコメントでは在りませんが、日々前に進まんとする話を読んでつい綴ってしまいました。
先生の活躍をこれからも楽しみにしています。
ありがとうございました。
率直な、感想に心が熱くなります。
色々な場面に関わるようになって、謙虚な、誠実さをもった医療スタッフの貴重さを感じることがよくあります。気がつけること、認められることが、すべてのスタートなんだなあと自省することも多いです。
若紫さんのこのコメントを胸に皆でエンカレッジしていきたいなあと思います。
「基本的緩和医療」の域を越えられていないということなのですよね。
まだまだ私が勉強不足なのがいけないのですが、それでも当院では私が頑張るしかありません。
これから少しずつでも「依頼してよかったと思ってもらえた症例を丁寧に積み上げて」いきたいです。
今後も先生のブログで刺激を受けたり励ましをいただきながら、勉強していこうと思います。
よろしくお願いします。