もし・・・
新型コロナに感染して、
パキロビッドパックを
投与しましょうと言われたら、
内服している薬がある方は、
新型コロナに感染して、
パキロビッドパックを
投与しましょうと言われたら、
内服している薬がある方は、
必ず、お薬手帳を医師に
見せてください!!
見せてください!!
とても、重要なことです。
Steve BuissinneによるPixabayからの画像
(写真は、本記事の薬剤とは関係はありません)
以下は、医療者向けです。
新型コロナ治療薬
新型コロナ治療薬
(PMDAサイトにリンク)
本薬剤は、
1)新型コロナウイルスの増殖を阻害する3CLプロテアーゼ阻害剤
「ニルマトレルビル」(150㎎/錠)
と
2)同剤の血中濃度を維持するための抗ウイルス剤
「リトナビル」(100㎎/錠)
の2種類の薬剤からなるものです。
投与対象は、
12歳以上、体重40キログラム以上
重症化リスクがある軽症~中等症Ⅰの患者
原則として発症から5日以内に治療開始し、1日2回、5日間投与
通常量(eGFR 60mL/min以上)
ニルマトレルビル 300㎎
リトナビル 100㎎
腎機能障害がある時
eGFR 30mL/min~60mL/min未満
ニルマトレルビル 150㎎
リトナビル 100㎎
eGFR 30mL/min未満
投与推奨無し
問題は、このリトナビルです。
肝代謝 CYP3Aの阻害作用があり、
多くの薬剤の相互作用が分かっています。
私は10年以上前のことになりますが、前任地の国立国際医療研究センターで緩和医療を担当していました。当時、HIV患者さんでがんを合併した方の症状緩和のコンサルトを受けることも少なくなく、リトナビルを服用されていた方も含まれていました。
リトナビルのCYP3A阻害作用は大変強い印象を持ちます。
医療用麻薬の主な代謝は以下です。
フェンタニル CYP3A4
オキシコドン CYP3A4および2D6
トラマドール CYP3A4および2D6
ブプレノルフィン CYP3A4
モルヒネ グルクロン酸抱合
ヒドロモルフォン グルクロン酸抱合
ファイザーが作成しているチェックシートです。
https://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/493468.pdf
https://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/493468.pdf
ここにはオキシコドン、トラマドール、ブルレノルフィンが含まれていません。
オキシコドンやトラマドールは3A以外にも2Dの代謝経路もあるので、そう強く阻害されないのではないかと思われるかもしれません。
私の処方で、3Aと2Dの両方の代謝を受けるオピオイドを、代謝が遷延することを想定し速放剤最少1回量の半量を徐放剤のように12時間程度時間を開けて設定したことがありました。それでも、2~3日目に眠気が急激に強くなり中止した経験があります。
パキロビッドパック投与下の医療用麻薬の選択は、
・通常量(ニルマトレルビル300㎎)
モルヒネ
ヒドロモルフォン
・ニルマトレルビル150㎎減量患者の場合
ヒドロモルフォン
(モルヒネは腎機能障害下では中間代謝産物がたまり、眠気等を生じるため、eGFR60以下の腎機能である150㎎の場合は、避けた方がより安全な投与ができます)
すでにCYP系オピオイドを投与している場合は、これらにスイッチすること
が重要です。
痛風治療薬、血圧降下剤、高脂血症用剤、抗凝固薬、抗不安薬、眠剤、片頭痛薬、鎮咳剤、去痰薬、前立腺肥大排尿障害改善薬など本当に沢山の薬剤に相互作用があります。
国立国際医療研究センターの資料です。
(ここにもブルレノルフィンは含まれていません。)
2月14日から処方が可能ですが、
~2月27日までは新型コロナ患者受け入れ医療機関の院内処方
それ以降で、それらの医療機関と連携している医療機関を中心として院外薬局でも処方が可能になるようです。
治療を受ける方におかれましては、必ずお薬手帳を医療機関に持参してください。
なお、同じ新型コロナ軽症から中等症への経口内服薬ですでに承認されているモルヌピラビル(ラゲブリオ)はこのような相互作用はなく、腎代謝ではないことから腎機能障害での用量調整は行いません。
なお、同じ新型コロナ軽症から中等症への経口内服薬ですでに承認されているモルヌピラビル(ラゲブリオ)はこのような相互作用はなく、腎代謝ではないことから腎機能障害での用量調整は行いません。
参考までに、PMDAのサイトより(上記薬剤名のリンク先)
代謝:
モルヌピラビルはNHCのプロドラッグであり、全身循環へ到達する前に主要代謝物であるNHCへ加水分解される。NHCは内因性ピリミジンの代謝と同じ経路でウリジン及びシチジンへ代謝され、消失する。
代謝:
モルヌピラビルはNHCのプロドラッグであり、全身循環へ到達する前に主要代謝物であるNHCへ加水分解される。NHCは内因性ピリミジンの代謝と同じ経路でウリジン及びシチジンへ代謝され、消失する。
コロナ感染者が脅威の数で、持病を持っている者には
更に恐ろしいと思うこの頃です。
私は軽い方だと思いますが、関節リウマチの治療で
リウマトレックス(メトレート)とアザルフィジンを
ずっと服用しています。お薬手帳は常時持ち歩いています。
これまで、これらのお薬との飲み合わせのことで
不都合なことはなかったですが、コロナ感染者になった場合
持病がある高齢者は、本当に治療や投薬でも厄介ですね。
ありがとうございました。
内服を続けられていて、いつもお薬手帳をお持ちになっていらっしゃるご様子、健康管理をしっかりとなさっていらっしゃるのですね!!
さすがだなあと思います。
少なくない薬を服用されていても、薬の名前もご存じなく、お薬手帳もお持ちではない方が結構いらっしゃり、現場ではとても困ってしまうことがあります。
どうぞ、お体お大切になさってくださいね。一緒にこの難局を乗り切っていきましょう!
aruga
コメント残して下さり、本当にありがとうございます。
励みになります!!
aruga
長年降圧剤と抗血栓薬を処方されている私としてはとても参考になりました。自分では理解できない薬品名も出てきましたので、かかりつけ医にも相談をしたいと思います。
詳細は解らずとも、知っているだけでも大いに参考になります。
ありがとうございました。
いつもお訪ねくださり、コメントありがとうございます!
Fsさんのセルフ管理の意識の高さにはいつも感服しています!!
aruga
素人には難しい内容でしたが、こちらを拝見すれば良いと言う安心感が非常にありがたいと思いましたので、初めてコメントさせて頂きました。
今後ともよろしくお願い致します‼️
温かなコメント、本当にありがとうございます!
こちらこそ、どうぞ、よろしくお願いいたします!!
aruga
いつも為になる最新の情報、とても助けられてます。
早速明日スタッフに情報共有します!
コメント、ありがとうございます!
役立てていただけで、本当に励みになります!!
aruga