緩和ケア医の日々所感

日常の中でがんや疾病を生きることを考えていきたいなあと思っています

週末の仕事

2013年02月03日 | 医療

今日の会場のコロッセ福島の12階からは
雪の安達太良山を
とても綺麗に全景をみることができました。
光っている阿武隈川も。
(写真は、今日のものではありません・・
あしからず・・)




高村光太郎の智恵子抄を思い出します。




樹下の二人

あれが阿多多羅山(あたたらやま)
あの光るのが阿武隈川(あぶくまがわ)
  ・
  ・





あどけない話

智恵子は東京に空がないと言ふ、
ほんとの空が見たいと言ふ。

智恵子は遠くを見ながら言ふ。
阿多多羅山の上に
毎日出てゐる青い空が
智恵子のほんとの空だといふ。
あどけない空の話である。





安達太良山ではなく
阿多多羅山なのですね。




今日の研修会で、ご一緒させて頂いた
調剤薬局に勤務されている薬剤師さんが
講演の中で、
「患者さんの顔を見て、説明しましょう」と
強調されていました。

本当に、大切なことです。

いつの間にか、
私たちが伝えたいことを
一生懸命伝えようとしてしまい
患者さんがどんな表情で、
どんな気持ちで聞いているか、
傍らに置いてしまうことがあります。

臨床を大切になさっている方だなあと思いました。




話は変わりますが・・

今週末、
3月末に松山で開かれる在宅医学会の
シンポジウムの抄録を書いていました。

無意識に、強い語句になっている箇所があり、
書いてから、ハッと気が付いた自分がいました。

日本老年医学会が昨年6月に
胃瘻などの人工的水分・栄養補給の在り方
特に、認知症などがある高齢者において
中止・撤退を含むガイドラインを公表しました。

これを在宅医療にどう適応させるかというテーマで
私は緩和医療の立場から参加します。

シンポジウムの依頼文章に、
「治療の中止や撤退は、緩和医療との両輪であるべき」
と書かれていることを受け、
そこに返信するような気持ちで
思わず、語気を荒げた箇所・・

治療の中止(撤退・差し控え)が選択されたとしても、緩和ケアの提供が保証されることは重要である。しかし、あたかも、治療の中止こそが緩和ケア、中止と同時に開始されるケアと捉えられたりすることがある。中止時に緩和ケアが強調されるのではなく、治療の有無に関わらず、どのような状況であっても、常に緩和ケアは提供されており、中止となってもそれを止めることはしないという立場にたつ。


胃瘻がはいっていても、いなくても
どのような治療を行っていようが、いまいが
苦しまない最期を保証することに力を尽くすのが
医療者の役割であると強く思うのです・・


コメント (6)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ランディ パウシュ教授の最... | トップ | 学術大会の宿題 »
最新の画像もっと見る

6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
いつも楽しみに拝見しております♪ (美陽帆)
2013-02-04 22:37:40
こんばんは。(^^)

「苦しまない最期を保証することに力を尽くすのが
医療者の役割であると強く思うのです」

心にズシンときました。その通りだと思います。

私は7年間、長期療養型病棟で働いていました。家族と医師との話し合いが行われ、次から次へと胃瘻になっていく患者さんを数えきれない程みてきました。 100歳を過ぎて認知症で寝たきりの状態でも胃瘻造設は行われています。この患者さんの思いはどこにあるのか…。命を永らえるだけが全てではないはずです。

そして、ターミナル期に入ると延命について家族に決定してもらう。痛みや苦しみに対してのケアは一切行われません。ただただ、意識が薄れるて行くのを待つしかありませんでした。NO CPR =「何もしない」ではないと思うのです。

どの医療現場でも緩和ケアが導入され、穏やかな死を迎えることができるようにと願うばかりです。





返信する
実家も、調剤薬局です。 (ぴょん)
2013-02-05 18:59:35
私の実家は、実は、調剤薬局です。
祖父も、両親も兄夫婦も、、薬剤師。。

私だけが、、、違う道に行きました。

兄は、私の話はともかくとして(笑)、、、

お客様には、懇切丁寧に、時には、お客様の待っているいすまで、行き、隣に寄り添って話をしていて、あぁ、こんな面もあるんだ、、兄にも。。と、兄の評価を異常に低くしている妹は、思っている次第。。

お客様に伝わると良いのだけれど。。。
返信する
なにかと引き換えじゃないのに (ねこ姫)
2013-02-11 03:59:23
ご無沙汰しています。

今回のエントリーを強く強く頷きながら読みました。

患者さんがセカンドオピニオンを希望されて他院受診、すると「治療は難しいと思われます。緩和ケアをお勧めしました」と返事がくるのです。
カンファレンスで「化学療法の継続は困難と判断し緩和ケアへ方針を転換します」というプレゼンを聞くのです。

もちろん、がん患者に限ったことではなく、苦痛があればいつだろうと化学療法をしていようとしていまいと緩和ケアは提供されているはず、何かとバーターで提供される治療ではないのに。

最近そんな風に思うことが続いていました。

先生が私のモヤモヤを明文化、言語化してくださっていてとても嬉しく思いました。
返信する
美陽帆さん (aruga)
2013-02-11 23:32:07
コメントありがとうございます。

胃瘻と療養の場は密接な関係があって、介護施設等で胃瘻がなければ入所できないといったところもあると聞いています。その結果、入所のための胃瘻増設が行われているとも聞きます。

美陽帆さんの現場を知っていらっしゃる暖かな言葉が響きます。
返信する
ぴょんさん (aruga)
2013-02-11 23:35:14
うわ~、ぴょんさんだ!って嬉しくなりました。
お訪ねくださって本当にありがとうございます。

お兄様、薬剤師さんとしてプロの一面を持っていらっしゃること、素敵ですね。
返信する
ねこ姫さん (aruga)
2013-02-11 23:41:12
今も、お訪ねくださっているなんて、ありがとうございます!
化学療法を終了するとき、しっかりと継続が難しいことに焦点を絞って話して頂きたいと私も思います。

以前、患者さんに聞かれたことがありました。抗がん剤を投与している時だって、緩和ケアを一緒にやってくれていると思ったのに、抗がん剤の代わりに緩和ケアって、今までのことはなんだったのでしょう・・と。

同じ方向を向いていてくださることに、元気がでました!
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

医療」カテゴリの最新記事