緩和ケア医の日々所感

日常の中でがんや疾病を生きることを考えていきたいなあと思っています

化学療法の爪囲炎のケア

2024年04月07日 | 医療
今週、ドセタキセル投与されている患者さんが色々副作用のことで外来にいらっしゃいました。

爪が一部暗赤色になり、手足の爪に痛みを伴っていました。
これを爪囲炎(そういえん)といいます。

原因薬剤:分子標的薬やタキサン系抗がん剤など
いつ頃~:治療開始後1~2か月位経過してから
症状  :指先の痛み、爪の変色やもろくなる、爪の周囲に少量の出血や肉芽(普通はない盛り上がり)、ボタンがかけられない、携帯などのキーが押せない

ケア方法:
1.乾燥対策
ハンドクリームや尿素クリーム、ワセリンなど

2.爪の保護
絆創膏を使うと剝がす時、割れてしまったりするため、液体のものをお勧めすることがあります。
普通のマニキュアだと、リムーバーで剥がすため、爪に刺激を与えてしまいます。水性マニュキュアは、消毒に使うアルコールで落とせます。
市中のネイルサロンに行くことは注意が必要なので、あまりお勧めできません。
爪の表面を削るなどするものは爪をさらに弱くしてしまうので。
マニキュアに似ていますが、これはリムーバーが必要なので、要注意です。
粘着性伸縮包帯
粘着剤は使っていないで凸凹を利用してくっつくようにできている包帯です。爪に糊が付かないので、安全に剥がして交換することができます。
運動選手が良く使っているものです。素材がシリコンや化学系素材など色々あり、素材かぶれなどに注意が必要です。

爪の炎症が強かったり、その周囲や皮膚にも炎症や乾皮症があるなどするときは、まずは、綿の手袋からお勧めすることもあります。

予防:
タキサン系で爪の変化が大きい時など、化学療法中(点滴をしているとき)に手足に冷却するための手袋・ソックスをつけることをお勧めすることもあります。
化学療法室で準備されていて、症状が出ると勧められると思います。
症状がでる前から予防的につける場合は、ご自身で持ち込みができるところもあるようです。まずは、化学療法室の方に相談してみてください。


写真は医療機関で使用されているものの一例です。
これは海外からの輸入ものですが、国内で類似品が市販されているようです。

ただ、類似品は指のおさまりが悪かったり、保冷剤が均一に効果が届かないなどあるようです。また、神経障害があって感覚が鈍いと、知らない内に凍傷になるリスクもありますので、必ず、化学療法室のスタッフに相談した上で購入や使用をしてください。インナーを入れて予防するなどしているところもあるようです。
一例です。
以下は楽天市場ですが、アマゾンでも販売されているようです。
フローズングローブ

注意:
ここでリンクを貼って紹介したものを推奨しているわけではありません。一例として紹介しました。類似したものが多数ありますので、よく調べてご自身にあったものを医療スタッフにも相談した上で、ご検討ください。

冒頭の写真は、PexelsによるPixabayからの画像です。

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