緩和ケア医の日々所感

日常の中でがんや疾病を生きることを考えていきたいなあと思っています

別れの準備(1)

2008年02月25日 | 医療

月曜回診。
患者さんのところに出向く前にカルテを見、看護師さんに声をかけます。
先週、病状説明をご家族と聞かれた方。
看護師さんがちょっと困った顔で説明してくれました。

「気持ちからなのか病状が進んだからなのかわからないのですが
 病状説明を聞かれてから、お元気がないのです・・」

ベットサイドに行き、同じように患者さんご自身もおっしゃいました。
加えて、こんな風におっしゃいました。

さあ、リハビリって気持ちが湧き上がらないのです。
・・・・気がついたことがありました。
診断されたころ、子供達は中学生でした。
今、子供達はもう独立しましたから
心配しなくても大丈夫だと思っていました。
一方で、子供達と別れると思ったとき
私の中でとても辛い、悲しい気持ちが湧き出てきました。
子供って、こんな存在だったんだと改めて感じました。

自分の死を自ら感じ取られ
この世と別れることを心の襞でたどったとき
改めて感じた子供達との絆でした。
(つづく)

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