これは、2008年の記事に、2014年頃、加筆したものに今回、加筆したものになります。
ですから、以前いただいたコメントはそのまま残っています。
今から25年以上前のことです。
ある患者さんは放射線治療のため、都内の大学病院に入院されていました。
緩和ケアの立場で治療中から私はサポートに入っていました。
(今でこそ、早期からの緩和ケアと社会の中でも言われるようになりましたが、その当時から、私は、その大学病院の中に仕組みを作り、がん治療中から緩和ケア支援を行っていました。)
ご本人はこの入院当初から、治療の見通しがついたら、緩和ケア病棟で過ごされることを考えていらっしゃいました。
と、いいつつも、色々な葛藤を感じていることを時に、お話しくださっていました。
そして・・・
ストレッチャーで 緩和ケア病棟にお移りになられ、しばらくして、お亡くなりになったと連絡がありました。
その後、当時勤務していた病院の緩和ケアの勉強会に、娘さんをお招きし、ご家族の立場で、患者さんの様子と娘さんとして感じられたことをお話し頂きました。
質問タイムに私から、
「お母様を看取られるまでの間で、医療者からの一番嬉しかった言葉について教えて頂けますか?」
という質問をさせていただきました。
答えは・・・
緩和ケア病棟へ転院のため車に乗り込もうとしたとき、受け持ちだった看護師が、出口の直前で娘さんにかけた言葉が、本当に嬉しかったと。
「がんばってね」って、
言ってくれたのだそうです。
私たちは、驚きました。
当時、医療者の中では、一杯がんばっている方に、がんばってというのは避けるべき言葉と言われてきました。
今も、積極的な推奨はされていません。
娘さんは、その時の心境について、こんな風に説明してくださいました。
「その言葉を聞いたとき、ああ・・私たちは、まだ頑張れる力があると言ってもらえたんだ。まだ、頑張れると期待してもらえているんだって感じたんです。」
かつて、日本に医療用麻薬使用方法について、WHO方式を持ち込んでくださった武田文和先生が教えてくださった言葉。
「hopeとはachieving goalがzeroではないと期待すること」
希望とは、行きつく先がゼロではないと期待すること(できること)
まさに、その看護師の「がんばって」という言葉には、
このメッセージが込められていたのだと、この記憶が蘇りました。
まだゼロではないのよ。
まだ、実現できることもあるのよ。
大丈夫だよ・・
私にとっての教師は患者さん・ご家族でした。
沢山のことを教わってきたなあ・・と 今、改めて思い起こしています。
SimoneVomFeldによるPixabayからの画像
年をとるごとに患者さんに使うのに慎重になってきた言葉のひとつです。
先生がおっしゃるような意味で。
でも、はあーそうか・・・って思いました。がんばれることがあると実感できること・・・これも大事かも・・・ですねえ?もう、がんばれないと思っていた患者・家族にとっては、一筋の光だったのではないでしょうか?看護師は何気なく言った言葉だったのかもしれませんが・・・
最近自宅でインターネット出来なくなってしまい
仕事も忙しくなってなかなか思うように掲示板
めぐりが出来ないこの頃です。
先生も日々お忙しいと思いますが、お体には
気をつけて下さい。
頑張れ、という言葉は受け手の気持ちや誰に言われたか
によって意味が変わってくるのだと思います。
「もっと、しっかりしろ」「更に努力しろ」という
意味であれば、精一杯頑張っている人には慰め
どころか苦しめている事にしかなりません。
しかし、言葉は状況によって色々な意味を含みます。
私は「頑張れ」という言葉には
「私は何も出来ないけれど応援しているよ」
「私はここにいるよ」
「祈っているよ」
そういう意味が込められている事が多いのではないかと
思っています。
言葉そのものではなく、その向こうにある相手の気持ちに
触れた時に、ヒトは元気になるのではないかと思います。
はっとすることが日々あるものです。私も、目からウロコ状態でした。同じですね。年もきっとそんなに違わないですよ~
こたろう先生
こんにちは。こたろう先生を必要としている方々が沢山いらっしゃるのでしょう。お忙しいですね。
本当に言葉は不思議なものです。抑揚や感情の込め方で随分と意味が違ってきます。言葉は心の鏡だと意識して大切に伝えなければいけないなあと先生のコメントを読みながら感じました。
言葉って奥が深い。
同感です。色々考えすぎるより、心を込めて伝えることが大切なんだなあと、あらためて、ここでコメントのやり取りをしながら気がつきました。
「私は頑張っているあなたを応援したい、支えるよ。その意味を込めてあえて、がんばってと伝えます」と。意味が伝わるように言葉を使うのは難しいけれど伝わった時は何十倍もの力になると思いました。
ありがとうございました。
心をこめて声をかければいいんだって気づかせていただきました💛
私もよく頑張ってを口にしてしまうのですが、お病気の方にはどうすればと、よく考えてしまいます。私自身、それが仕事でも勉強でも親の看病でも、頑張ってと言われる事は最大のエールと考えていたので嬉しく思いました。
良いお話を本当に有り難うございました。
色々考えさせられました。
本当にそうですね。
どれだけ眼の前の人の心に向き合うか、どれだけ心をこめるかですね。
コメント、ありがとうございました!
aruga