緩和ケア医の日々所感

日常の中でがんや疾病を生きることを考えていきたいなあと思っています

在宅移行が進んで、救急搬送が増加したって本当なのでしょうか。

2008年10月23日 | 医療
最近、地域医療連携から少し離れていました。

なぜ在宅での看取りが増えないのか・・
阻害因子は何なのか・・・

再度、この臨床疑問が投げかけられてきました。




そんな折・・ 在宅移行が増えて
救急搬送数が増えてきたという声が聞こえてきました。

退院したはよいけれど、
何かあったら救急車で近くの病院に行ってください
という在宅医が増えているのでしょうか。

在宅療養支援診療所が整備されたので
在宅医がクッションになって
救急は減少方向なのではないかと
思い込んでしまっていました。

実際のところ、どうなのでしょう・・・

ご意見頂けますと幸いです。
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15 コメント

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大変ですね (fumi)
2008-10-24 00:40:37
 在宅患者の救急搬送が多いたとは医療側の説明不足、患者側の理解不足によるのではないでしょうか。
 患者さんと家族は、主治医から予め説明されていることが起こったときには落ち着いて対処できるが、予め説明されていないことが起こると不安に陥ってしまうと言われていますよね。そんな不安が起こらないように、よくありうる急変とそのとき家族ができる対処法を予め説明しておくべきと専門書にも書いてあります。日本語の本でも英語の本でも読みましたし、国内の在宅医療に経験の長い医師の多くがそう受け止めているようですね。在宅医療を担当するなら、このくらいのことは是非とも学んでおいて欲しいものですね。
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仁義無き世界 (オミリン)
2008-10-24 15:49:57
そうなんです!!!
在宅医は,何かあったら,救急病院に救急車で行くように家族に指導?しているらしいです.
また,休日前日午後に入院依頼が多いです.
私は救急病院の勤務医ですが,週二回訪問診療もしています.
周辺に在宅支援診療所は何箇所かありますが,看取りまでしていただけるところは少なく,結局自宅退院後私が往診することになったケースが多いです.
強く希望されて在宅療養になられても,長くなってご家族が疲れてしまわれたり,死前喘鳴のことなど,事前によくご説明しても,いざとなるとパニックになられたり,いろいろです.それで,病院へ入院のパターンです.
在宅診療を始めて3年になりますが,自宅で家族に見守られながら,静かに息をひきとられた方はまだ,お一人だけです.
地元のがんセンターの緩和ケア研修会などには,積極的に参加しているつもりですが,学びの場などアドバイスいただければ幸いです.
それと,在宅から救急搬送は緩和ケア(癌)より,高齢者のほうが圧倒的に多いと思いますが・・・
自宅から介護施設から救急の現場は,本来は大往生のはずの高齢者が殺到して大変な状況です.




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説明と同意 (miki)
2008-10-24 20:45:25
『患者側の理解不足』このことの原因のほとんどは医師側にあるように思えます。
ICはプレゼンテーション能力が関わってきます。良いプレゼンテーションとは『相手に余計な努力をさせずに理解させることができる』ということです。それが出来なければ、相手に不安や疑念を抱かせることとなります。
患者や御家族は医療の専門家ではありません。いかにして患者や御家族に不安や疑念を抱かせずにICを行なう事が出来るか、を真剣に考えていかなければならないのだろうと思います。
もしかすると、これが実現できれば救急搬送も減るのかもしれませんね。

あるDrからお話を伺いました。今現在行なわれているICは『説明と同意』ではなく『説得と脅迫』だとか・・・。
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開業医は在宅医ではない (近森正昭)
2008-10-25 11:58:29
在宅医療の専門家もいますし、開業医で急性期病院を退院した医療依存度の高い患者を診療している開業医もいます。
開業医はビル診が増え、夜間対応出来ないために急変時救急病院へ搬送される患者が出てしまいます。
救急搬送数の増加は高齢者の搬送が増加したためです。
動脈硬化性疾患で搬送され、脳血管疾患では介護、心筋梗塞では医療依存度が高く、退院後も再発や感染症を繰り返します。
終末期でない限り急変時に急性期医療の適応がありますから、救急搬送されます。
動脈硬化性疾患の罹患率が高く、少子高齢化で老老介護や独居が増え、急変として救急を呼び、搬送を増やしているのであって、在宅医療は結果です。
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Unknown (missy)
2008-10-25 14:12:21
ふみ先生に同感です。医療者側が十分な説明をし患者側が理解しなければなりません。

しかし、そうであっても家族はその場になるとうろたえるものです。医療者になって初めてのコードブルーで震えるのと同じようなものだと私は思っています。だから、家族にとってバックアップは必要です。

カナダでは医師不足なので、看護師が重要な役割を行っています。BC州ではナースラインという政府が行っている24時間の電話コンサルトがあって、終末期や緩和ケアについても精通しています。まだ24時間完全在宅看護はできていないので、ホスピスパリアティブプログラム(これも政府によるもの)に入っていて在宅をしている人は、もしもの時はオンコールのCNSに相談することができます。そこから必要があればオンコールのHospice,Palliative Care医師につながるようになっています。こういうネットワーク体制が整わない限り救急搬送は続くのではないでしょうか?

とこのように体制が整っていても、例外はあるもの、、、。それについて書いたブログをトラックバックしてみました。
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皆様、貴重なご意見、本当にありがとうございます。 (aruga)
2008-10-25 23:32:40
在宅移行が進む≠在宅医の介入が増える
これは、調査をするとき、十分気をつけなければならないですね。近森さん(ここでは、すべてのさんで呼ばせて頂いているので、何卒ご容赦を!)のご意見、はっとさせられました。厚労省の言う在宅死亡率の問題は、そもそも厳しい状況の方を在宅医に連携していなければ、始まらないように思いますので、実際に、どのくらいの方が訪問診療を行っている医師につながったのかも見る必要もありそうです。
fumiさんの「医療側の説明不足、患者側の理解不足」、大きな原因の一つだと思います。ただ、臨床現場にいると、かなり複雑な因子が絡み合っているように思います。説明と理解だけではなく、死生観の問題、家族間の意識ギャップ、症状緩和スキル、夜間在宅スタッフに患者から連絡がとれなかったといったシステムの問題などなど・・また、説明も在宅医の問題だけではなく、退院支援する病院側の問題でもあり、先に書いた説明責任を超えた問題の方が大きいのではないかと思うのです。また、mikiさんは医師の問題として、書いてくださっています。これも、大きな問題です。しかし、療養の場の移行支援は、医師だけの問題ではなく、全医療スタッフで関わることであり、互いに補完する関係こそ重要であろうと思います。そういう意味も含めて、missyさんが紹介してくださったカナダのナースラインはとても、興味があります。これは、BC特有のシステムですか?BC全体を一人の看護師さんがカバーしているのでしょうか。それによって、どの位在宅でなくなる方が増えたのでしょうか・・沢山質問をしたいのですが、この紙面だけでは難しいですね・・
また、オミリンさんの現場の生の声に、説得力を感じました。在宅診療所といっても、安易に何かあれば救急車という場合、落ち着いた週末を過ごしたいと思う在宅医もいらっしゃるでしょうし、一人で24時間体制を組めるわけではないですし・・介護施設からの救急搬送の増加、これも、救急側から情報をもらったことがあります。年齢、がん、非がん、患者背景、重要だということを改めて、感じました。

皆様、貴重なご意見、本当にありがとうございました。引き続き、お感じになられることがありましたら、ご意見を頂戴できますと幸いです。
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家族、、、怖いです。。。。 (ぴょん)
2008-10-27 09:27:09
主人が、外泊した時や一時退院していた間。。。。


恐怖心いっぱい。。。

癌以外で死なせてはいけない恐怖。

お医者様には、当然のこととして起こりうることでも私には、全部が想定外。
これは、先生に相談することなのか????些細な変化でも非常に恐怖を覚えておりました。

説明されていても、何とかしなければいけないんじゃないか?と、必死でした。。。

素人は、すべてが未知です。
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BC Nurseline (missy)
2008-10-27 09:40:28
BCNurselineはERの混雑を減少するために発足されました。効果は絶大でERでの待ち時間が著しく減少しました(数字は忘れてしまったけれど)。それだけ不必要な人たちがERを訪れて医療を遅らせていた、、。他の発足の理由は、カナダの人口分布です。国土が大きく、80%もの人口が都市に集中し、医療も都市集中型です。残りの20%の人は大きな国土に分布していて医療へのアクセスのチャンスも少ない状況です。こういう人たちに適切なアドバイスをすることができるシステムとしても成功しています。

州の中一箇所で行われていて、トレーニングされたRNが24時間電話で応対しています。私も妊娠中に何回か利用しましたが、コンピューターのスクリーンに質問の回答や訴えををタイプしていくと答えが出てくるようになっているようです。だから、誰が答えても同じレベルや方針で答えが返ってくるようになっています。トールフリー番号で誰もがアクセスすることができます。130もの違う言語への通訳のサービスや聴覚障害の人たちへのサービスもあります。

他の州で実地されているかどうかは知りません。5周年の挨拶の言葉のページを貼っておきます。

http://www.gov.bc.ca/health/down/bc_nurseline.pdf

直接、在宅死にどういう影響を与えたかの数字は分かりませんが、在宅の人には必ず説明される体制のひとつです。もちろん日中は訪問看護の人がいるのでそこへ一番に連絡するようになっています。時間外はナースラインへとなっています。こちらが一般向けのページです

http://www.bchealthguide.org/nurseline.stm

あと、医療体制が違うので参考にならないかもしれませんが、夜間や週末のHPC医師のオンコールは病院の枠を超えて、訪問、病院、ホスピスが一人のCNSと医師を利用しています(3-4都市と地区がひとつのブロックになって)。そうでもしないと誰も休暇が取ることができませんからね。オンコールといってもよっぽどのことがない限り、電話コンサルトだけ。それだけ現場にいる看護師がトレーニングされていることも成功の秘密だと思います。

それから救急搬送やERで死を迎えることは最悪なことでそれを避けるために普段から計画を立てることが徹底されています(先に根回しをしている)。こういうことから在宅もしくはホスピスでの死が穏やかに行えるようになっています。

参考になったでしょうか?医療者全体の教育、地域全体の体制作りが成功の鍵だと思います。一日も早くそういう日が来ることを願っています。

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コメントありがとうございます。 (aruga)
2008-10-27 22:17:47
ぴょんさん
ご家族の立場でお書きくださり、本当にありがとうございます。
全部が想定外・・その通りだなあと思います。
ぴょんさんにとって、どんな支援があれば、少しでも安心してご自宅に居られたと感じられますでしょうか。次のmissyさんがカナダのナースラインという、24時間で電話相談に乗ってくれるサポートの話を書いてくださっています。ぴょんさんにとって、こうしたサービスがあると、もう少しご自宅に居られたと感じますでしょうか。

missyさん
このナースラインは、救急から緩和ケアまで網羅的なものなのですね。対応看護師は、全医療に対する知識を必要としているのでしょうか。PC画面で入力していくことで、ある程度フローチャート化されているということですね。
missyさんが成功と評価されているシステムが、カナダ全国に明らかに整備されていると感じられる制度になっていっていないのは何故なのでしょうか。素晴らしいシステムとは思いますが、問題点としてはどのようなことがあるのでしょうか。
(日本にも20年くらい前に、中毒情報センターの前身の24時間電話相談が開始し、大変有益ではありました。私がいた大学の麻酔科の教授が熱い思いを抱えて開始されましたが、背後では、24時間体制の疲弊化、経済的な大変さなどを耳にしたことがありました。現在は財団法人化されています。)
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Unknown (missy)
2008-10-28 14:57:16
さすが!厳しいご指摘ありがとうございます。

ある程度フローチャート化されています(BCの看護雑誌で何年か前に読んだけれど、今手元にないので、、、)。採用要項に高いコンピュタースキルとタイピングのスピードが書かれていましたね~ケアナンバーを入力するので過去のコールの歴史も出てくるようです(妊娠中不安になって何回か利用したので、、、)

他の州ではどうして??

カナダは州によってヘルスケアのシステムが少しずつ違います。それに州の特徴も(人口密度や分布、医療者の比率など)あるので、それが関係しているかも、、すみません全くの推測です。だれか詳しそうな人に出会えたら詳しいことを聞いてみます。
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