ある診療科から、80代の方の
下肢リンパ浮腫を見てほしいと
依頼がありました。
事前に診療記録を見ると、
左心系に軽度の異常があり、
僧房弁と大動脈弁の逆流を認め、
EF(左心室のポンプ機能)は50%台でした。
末梢からの浮腫で、
左右共にあり、
腹部や鼠径部の
手術歴はありませんでした。
リンパ浮腫ではなく、
静脈性浮腫でした。
主治医がすでに対処していることで
問題はありませんでした。
そこまではよかったのですが・・・
触診すると、左脛骨前に圧痛があります。
左足の末梢に真菌症がありました。
皮膚色も暗赤色です。
あら~っと思い、
看護師さんに
グループの医師を
呼んでもらいました。
がんの患者さんではなかったので、
初回診断を行い、
治療方針を提案したら、
その後は、主治医で
ケア・対処を行ってもらう必要があります。
浮腫を悪化させている原因として
感染が疑われましたので、
主治医にそこの痛み方を記憶しておいてもらい、
治療の効果を継時的に
キチンと診断してもらうことが目的でした。
担当医は、学生時代から
知っている研修医でした。
圧痛があるから、
痛みの部位と程度を確認して・・
と言ったか言わなかったかの内に。。
足首を掴もうとしました。
あっ、と 思いました。
痛みがある患者さんに診察には
ルールがあります。
疼痛部位を診察するときは、
事前に痛むところを触ることについて
声をかけ、準備状態を作ってもらいます。
そして、表情を見ながら、触診し。
診察による疼痛の誘発や
悪化を観察しながら、
圧迫する強さを加減します。
ところが・・・
声もかけず、
表情もみないで、
痛いところを、
がっ と、
つかもうとしたので、
とっさに、
パンって、その手を払いました。
なんてこった・・
患者さんに謝り、
研修医君には、
もう一度、気をつけることを
確認しましたが・・・
学生時代のOSCEは実技試験であって、
実臨床に活かせなければ意味がありません。
はあ・・・
力が抜けてしまいました・・
幸いにも・・患者さんは、
”ふふっ”と笑っていらっしゃいました。
そして、研修医君に対して、
”やっと怒ってくれる人が現れたわね・・”
と囁いていらっしゃいました。
私は、必ず声をかけていただいてから、お腹の触診をされていました。
大腸イレウス。。。
アキレス腱が痛く整形外科に行ったときも。。。
皮膚病で、(かゆみがあって)診察を受けたときも。。。
ちょっと触らせてね。
でした。
考えてみれば当たり前のことですが。。
冬の寒いときの診察では、「僕(←先生)の手、冷たいけど、ごめんね。」って言いながら、触診しますし。。
そうか、当たり前だけど、当たり前じゃないのね。
当たり前のことが、いつも当たり前のようにできるようになるよう教えていくのも役割なんです。
ぴょんさんのご経験、お書き下さりありがとうございました!
私の記事で不安になった方も、ほっとなさったと思います!!