スタンフォード大学の
ローラ・カーステンセンは、
18歳から94歳までの研究協力者に
一週間の内の一日の中で、
ランダムに鳴るように設定された
ポケベルを渡し、
その時の感情を感情リストから選択する
といった研究を長期間継続しました。
Sofia IivarinenによるPixabayからの画像
死すべき定めの「援助」の章から
この中で、ガワンデは
上記のカーステンセンを引用しながら
以下のように記述しています。
ちなみに、
冒頭で出てくるマズローは
看護学領域でよく引用される研究者ですが、
対極にあることがわかります。
もし、マズローの五段階説が正しいならば、生活の幅が狭まることは人が満足感を得るためにもっとも必要なことから遠ざかることになり、そして、加齢についてより不幸鬼なっていくはずである。しかし、カーステンセンの研究はまったく反対の結果になった。結果は明白である。加齢につれてより不幸になってしまうどころか、よりポジティブな感情を参加者は報告したのである。不安やうつ、怒りを感じにくくなっていった。(略) たとえ加齢が生活の幅を狭くしたとしても、全体からみれば時が経つにつれて人は生きることに対して感情的に満足し、落ち着いた経験をするようになるのである。
アトゥール・ガワンデ(原井宏明訳);死すべき定め.みすず書房,P.87, 2016年.
TEDで
高齢者は若者より
幸福感が高いことについて、
ポケベルの研究も含め、
説明しています。
年をとるほど幸せになる
(TED 英・日本語字幕あり)
そして、ガワンデは
自説とカーステンセンの仮説を
紹介します。
生きることもスキルのひとつだ。高齢者の落ち着きと知恵は年の功である。
現世における持ち時間には限りがあるという個人的な知覚ーによる影響だけを受けていると考えたら?
と。
カーステンセンは、
上のTEDの中で、
高齢者の幸福度が上昇するのは、
人生には限りがあることを
実感し始めた後であることに言及しています。
そして、限界があるからこそ、
今の幸せを拾い集めることが
できるようになることも考察しています。
その力は、単純ではなく、
例えば、
短い時間に複数の人の顔写真を見せられると、
幸せそうな顔を
優先的に認識するようになっている可能性を示唆しています。
もはや記憶力にも限界があり、
記憶する量も限定的であることが、
ネガティブなものよりポジティブなものを
より記憶する傾向にあるということなのだろうと。
(続きます)
ご紹介されている「死すべき定め」が図書館にありましたので借りました。
活字が小さく、高齢の身には難解かもしれませんが、興味を持って読み解いていければと思っています。ありがとうございました。
今日もお訪ね下さり、ありがとうございます!!
なんと、図書館で借りてくださったのですか!
確かに字が小さいっ
いつか感想お伺い出来ると嬉しいです!
aruga
もちろんです!
喜んで!
aruga