緩和ケア医の日々所感

日常の中でがんや疾病を生きることを考えていきたいなあと思っています

赤ちゃんポストに思う(2)

2007年06月19日 | 社会時事

(昨日に続きます)
 報告によると、相談してきた熊本県外のある女性には離婚歴があり、3人の子どもがいた。結婚予定の男性と同居、妊娠していたが、男性は妊娠39週になって急に行方をくらましたという。

 「育てられない。どうしよう」。ある日の夕方、病院の相談電話に女性の追い詰められた声。「すぐにおいでください」と、職員に促された女性は5時間後に病院へ駆け込み、その1時間後に出産した。

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未成年での妊娠、経済的困窮、男性の不在...。運用開始から7日までに慈恵病院にあった相談は91件。講演の依頼も多い。「学生が研究テーマにしたい、と訪ねてくる。社会が命について考えるのに一石を投じた」と田尻由貴子(たじり・ゆきこ)看護部長は喜ぶ。

 この1カ月間にも、全国では子どもへの虐待や遺棄事件が相次ぎ発覚。大阪府では1歳男児をバイクのヘルメットの収納スペースに入れて死なせたとして母親らが逮捕され、東京都内のごみ捨て場には生後間もない女の子が放置された。

 厚生労働省は全国の自治体に相談窓口の周知を呼び掛けているが、取り組みはまちまち。都の担当者は「相談する力もない孤独な母親に、どう情報を届ければいいのか」と悩む。

 ポストの運用を機に、熊本市は妊娠に関する悩み相談の態勢を拡充し、24時間の電話相談を開始。相談を呼び掛けるポスターやカードで周知を図った。約1カ月で昨年度1年分に相当する100件を超える相談が寄せられた。幸山政史(こうやま・せいし)市長は「問題の根深さを物語っている。こうした取り組みを熊本だけでなく全国にも広げてほしい」と訴えている。

このポストを置くと
育児放棄を助長するという
言葉がありました。

でも、ソーシャルセーフティネットは
億単位の社会にあって、もっと根底の
たった一人、たった数人かもしれない
そんな方のためのものが大切な気がします。

1匹の迷える子羊・・
という有名な聖書の言葉がありますが
それを思い出すのです。

でも、予想した以上に
辛さを抱えたお母さん
お父さんがいるようです。

そのことを私達が(政府も)気づくことが
できたことに、ポストの大きな意味を感じました。

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3 コメント

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あるお母さんの悩み (ぴょん)
2007-06-20 07:15:12
あるお母さん。
とても教養があり、常識もあり、賢い女性であります。
結婚生活も幸せ。
ある日、赤ちゃんを授かりました。
妊娠中から、羊水検査等、ありとあらゆる検査をし、少しでも標準値と違う値が出ると、生まれてくる赤ちゃんの障害を心配しました。
「もし障害があったら、こういう事に注意して、いじめにあったら、こういう風に裁判に訴える。」とお勉強しまくりました。
健康な赤ちゃんが生まれてからも、お乳を標準値で飲まない。泣きやまない・・・。等々、悩みに悩みました。
そして、赤ちゃんの定期検診の日。
保健婦さんに「私、赤ちゃんを殺してしまうかもしれません。」と訴えました。
言える人は、力になってくれる人が出てきますが・・・。
バイクのヘルメット入れに子供を入れて、死なせてしまったお母さん有り。
極端な方、多し。
返信する
命の尊さを (ポニー)
2007-06-20 09:20:03
現在私は在宅患者さん宅へほぼ毎日服薬指導とお薬配達のために伺っております。
在宅医療を選択される方はやはりどうしても死期が近づいている方が多く、本当に命の尊さを考えさせられる毎日です。
たとえどんな立場の人であろうと1人に1つしかない命。生れてくる子供は自分で自分の命を守ることはできません。育児放棄だ、生み棄てだと勝手なことを言う方がいますが、実際に自分でやってみて!!といいたくなります。介護だって同じです。本当にひとりの人間の世話をすることがどれだけ大変か。1日だけならまだしも毎日となると…
日本人のやさしさや助け合いの精神はどこへ消えてしまったのでしょうか?
欧米化ばかりがすばらしいことではないと思います。

まずは自分から人の心をわかってあげられる人でいたいと思います。
返信する
コメントありがとうございました (aruga)
2007-06-20 16:17:49
ぴょんさん
完璧は、心の柔軟さを失わせてしまいますね。手を抜くこと(抜けること)は大切ですね。

ポニーさん
まず、自分ができることはなんだろうかって思えることが大切なのですね。
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