金曜日は千葉の先に
土曜日は三重に、伺わせて頂きました。
講演をさせて頂くと、フロアの方の表情や反応、最後の質問などから
大体のその地域の特性がつかめるようになってきました。
三重は、ある一本の電話から予想はしていたのですが
やはり、他の地域とは違っているなあ・・と感じた次第です・・・・・
楽しい時間をありがとうございました。
で、朝5時半に起きて、帰ってきて、
雑用に追われて、やっと夜PCの前に座ることができました。
何気に開いた3年ほど前の日記・・・
心が絞られる様な出来事を思い出しました。
患者さんを看取った後、
ご挨拶にいらっしゃってくださったご主人は
臨床からはやや離れた医師でもありました。
「予想していた通りの進み方でした。
その中で、おかげで辛さもなく逝くことができました」
「亡くなった日の朝、酸素マスクを外して欲しいと言ったのです。
そんなことをしては苦しくなると言いましたら、
妻は、 “笑いたいの” と、言ったんです」
最期、呼吸困難が強く、
少量のモルヒネで意識が落ちることも無く、コントロールをしていました。
ただ、会話をすると息も絶え絶えになってしまうため、
ご主人に伝えたいことを十分伝えられたのだろうかと案じていました。
笑いたい、
微笑みを貴方に送りたい・・
だから、少しの間マスクを外して頂戴・・
きっと、ご主人に、楽しかったありがとうの気持ちを
最期の微笑みにいっぱい込められたのでしょう。
この言葉を聞き、これこそすべてだ・・
全てを伝えられて逝かれたのだと感じることができました。
ミュージカル・コーラスラインで、
怪我で踊れなくなったらあなたはどうするかと尋ねられ、
歌う歌詞の中に、
「精一杯生きてきたから、人生悔いはない、
微笑みながらさようならのキスをしたい」
そんなフレーズがあります。
他院から転院なさってきたとき、
治療を担当する主科の医師に、同時に緩和ケアにかかりたい、
そのために移ってきたとお話されていました。
そして、化学療法開始から関わらせて頂いていました。
亡くなる前日、私の手をとって、
「先生にお目にかかれてよかった」と、言ってくださったこと、
そして、最期の言葉・・・・
こうして、かつての日記を読み、
その時のことを思い起こすと
無意識になじんでいたことが
具体的なリアルなこととして、意識の上にまた顔をだしてきます。
数えきれない患者さんからの贈り物に
今なお支えられ、突き動かされている自分に気が付きます。
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遺族外来をするにはどんな力をつけておかないといけないか教えてください。
私も笑ってありがとうといいたいなあ。
疲れて仕事を辞めたくなったり自分の存在価値がわからなくなってしまった時に、患者さんやご家族からいただいた手紙をかき集めてなんとか立ち直った記憶があります(^^;;患者さんに生かされているんだなあと思いました。
とてもステキなお話ですね。
多忙な日々を送っている中で、このようなお話は、また明日からのパワーの源になりますね。
緩和医療に携える私たちには、こうした患者さんの一言で、緩んで和やかな気持ちにしていただけるのですね。
こんにちは!
遺族外来ですか・・・亡くされた方の最期を知っていて関わることができるのが、一部の場合、ご遺族の方の抱える問題点を明確にするのにコミュニケーションの力や思いをどこまで馳せることができるかなどの難しさがありますよね。一方、一緒に関わらせて頂いた方の死別後の支援の場合、自分自身も看取った者の一人ですから、心の揺さぶられ方が二人称的な振幅になるかもしれません。子供たちや配偶者、両親それぞれの立場のグリーフは異なりますから、力量を求められますね・・
junさん
三重に千葉・・まさしく今回の訪問先がjunさんの軌跡に一致していたのですね。
本当に、素敵な最期でしょう。
一方で、気づかされました。
酸素マスクの匂いが嫌という方は、何人もお目にかかりましたが、マスクが頬の表情筋を抑えてしまい、表情を無くしてしまうことを。
それを残念に思われた方がいらっしゃった・・今まで、幾人の方の想いを素通りしてしまったことだろうか・・と。
人との繋がりは、本当に心を太くしてくれますね・・
gachyonさん
ありがとうございます。いらっしゃってくださっていたのですね。
コメントをこうして頂いて、あの時のあの言葉がgachyonさんに届いていたことがわかると、本当に嬉しくなります。
疾患、疾病だけを追いかけていては、人は必ず不健康に陥ちいってしまいますが、どんな疾患であっても、人は健康でいられることの追求こそが、私達の仕事だと思うわけです。
よい言葉でしょう。
三重・・感覚的なものなのですが・・
楽しみと言っていただけて、とても幸せな気持ちです。
患者さん・ご家族の言葉は、どこか託されているような感覚があります。
一生懸命生き抜いている方々に、さらに私達は支えられ、また、明日の医療現場に出て行くというお互いの関係性に成り立っているのでしょうね。
改めて、頂いた言葉からも、そういう思いを強くしました。
頑張りますo(^-^)o
ところで、呼吸苦に関して、低酸素血症を伴わない呼吸苦に関しての理解は日本でどれぐらいのものでしょうか?悪性疾患や難治性の疾患の終末期は低酸素血症を伴わないケースが多いと思っているのですが、、、。その場合酸素投与は効果的でなく、特に口の周りにあるセンサーをマスクによって邪魔されて余計息苦しくなると、感じる患者がほとんどす。そういう理由で経鼻カニューラでさえもつけない場合もあります。窓を開けたり、扇風機を回して空気の流れを感じてもらった方が酸素投与より効果的であることは文献の中でも、自分の経験を通しても確信しています。もちろん酸素をつけてもらったと言う精神的な安定感から、効果が出る時もありますが。
呼吸苦に関して原稿を書きました。12月に日本で行うセミナーの案内から、アクセスできます。良かったら読んでみてください。(指導講師の説明の中で過去の原稿が読めるようになっています。)
http://www.nissoken.com/s/11882/index.html