何年も前、今の職場ではない時、
膵臓がんの患者さんを地域の先生から紹介頂き、
症状緩和を行いつつ、
がん治療を消化器内科の先生にお願いしたことがありました。
いつも、にこにこと微笑まれ、
痛みのことを聞いても、
大丈夫です。
薬はちょうどいい感じです・・
と、言われていました。
知り合いの医師がその患者さんの遠縁にあたり、
実は・・とメールを頂くことがありました。
自宅では、とても辛そうで、
痛みがとてもひどいのではないかと思うのですと。
次の外来のとき、それを踏まえて・・
色々な角度から質問をしてみました。
痛みはいかかですか?
大丈夫です。
夜は寝られていますか?
よく。
お一人の時はどのように過ごされますか?
本を読んでいます。
痛み止め、少し調整した方がよいという感じはありませんか?
今のままがよいです。
どのような聞き方をしても、
その辛さは聴き出せず、
薬剤調整も、ご本人がこのままでと言われると、
それ以上のことはできません。
ご家族の方が少し心配なさっているようですが・・と伺っても、
大丈夫です・・と返ってきます。
こうした時、ご家族が一緒にいらっしゃって、
ご本人が大丈夫とおっしゃっても、
後ろから、そんなことないでしょ、辛そうじゃない?
って援護され、いや~そうなんです。。実は。。
って言われることも少なくありません。
ただ、この膵がんの患者さんは、
奥様を亡くされ、
甥御さんを可愛がっていらっしゃいましたが、
受験生でいらっしゃいました。
知り合いの医師は遠い親戚ということで
遠慮されていました。
それでも、一度、ご一緒にいらっしゃって、
辛そうですよと言葉を添えられましたが、
ご本人が微笑みながら、
そうかなあと言われ、
皆、それ以上、何も言えなくなってしまいました。
そうしていたある時、
近隣の病院から電話を頂きました。
その患者さん
心筋梗塞で救急搬送され、
残念ながら蘇生は叶わなかったと。
そして、すぐに遠縁にあたる医師からも電話がありました。
甥御さんと一緒に階段を下りているときに、
苦しそうにされ、腕の中に崩れ落ち、
すぐに搬送されたけれど間に合わなかったと。
足から力が抜けそうになったことを今も思い出します。
医療用麻薬をがんの痛みに投与していましたから、
心筋梗塞の痛みも抑え込んでおり、
前駆症状がないまま、
心停止に近い状態で搬送されたものと思われました。
これは、もう、10年位前の話しです。
昨日、大学で緩和ケア研修会を開催し
痛みの講義を担当していました。
痛みの種類の話に及んだ時、
がん以外の痛みの場合もあるという項目の解説をしながら、
この話しを思い起こしていました。
私にとっての警鐘ですといいつつ、
少しだけ触れました。
ご本人がお亡くなりになった後、
ご本人がお書きになられたものを
家人の方に見せていただいていました。
夜中に目覚めた時、
いつ解放されるかわからないような辛さを
書きとどめられたものだったように記憶しています。
なぜ、痛みは大丈夫ですと言い続けられたのだろう。。
その当時から、ずっと、答えがないままでした。
痛みとは、違う苦痛感だったのだろうか・・
でも、家人には、それは痛みを見えていたのだろうか・・
それが、心筋梗塞となにかつながっていたのだろうか・・
沢山の疑問がわいていましたが、
鎮痛薬で解決できる苦痛ではないと
ご本人はわかっていたから
大丈夫とおっしゃったのではなかったのだろうか・・
昨日・・
ここにふとたどり着いたような感覚になりました。
大学の文学の教授でいらっしゃいました。
葬儀には、本当に沢山の教え子さん達が
いらっしゃったと聞きました。
暖かな卒業生に宛てた言葉が残っていたそうです。
どんなに多くの学生さんが励まされ、
成長していかれたことか・・
私にも、10年近く臨床疑問を与えてくださり、
ずっと遠くからエールを送り続けてくださっていたことに
気づくことができました。
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返信を書いていて、当たり前なのにあまり意識できていなかった、とても、大切なことに気づかされました。
書かれていることは、まさに、私たちが日々取り組み、悩んでいることと同じです。
今日の記事にその返信を改めて書かせて頂きました。
重ね重ね感謝です。
とても考えさせられる内容が書かれており、患者体験者として、患者サロンを運営している立場として、
有り難さを感じました。
とても聡明な男性の患者さんの言葉です。
「いろいろな問題(下血・肺炎・帯状疱疹・放射線後の首と肩の痛み・呼吸困難など)が次々起きてくる。
食べることもできず身体は弱ってきた。こんなに辛いことが続くので早く死んでしまいたい」
何もできない私です。