後期ゴシック彫刻・市民運動・演劇教育

小学校大学教師体験から演劇教育の実践と理論、憲法九条を活かす市民運動の現在、後期ゴシック彫刻の魅力について語る。

〔12〕雑誌『教育』特集「子どものからだを育む文化を」(2015年2月号)を紹介します。

2015年01月27日 | 図書案内
 教育科学研究会が編集している雑誌『教育』に注目したい特集があったので紹介しましょう。「子どものからだを育む文化を」という特集をしています。
 「からだ」に着目した特集というのは、体育教育や養護教諭向け雑誌では頻繁に見られることですが、『教育』では珍しいことではないでしょうか。しかし、私が32年も編集に関わってきた『演劇と教育』(日本演劇教育連盟編集)では時々特集に組まれてきました。日本演劇教育連盟の顧問だった竹内敏晴さんは「からだ」という視点から教師や子ども(人間)の存在を考えようと試みていました。彼はことば・声・心・身体を丸ごとからだと捉えていたと思うのです。教育を考えるときに一番問題にしなければならないのはからだ=人間の全存在であるということでした。なぜか教育界ではことばや心は重視される傾向にあるのですが、声や身体は比較的着目されないことが多いとは言えないでしょうか。そんなことを考えていたときに、『教育』の本特集を見つけて嬉しくなりました。
 特集は7つの論考や実践で構成されています。

 「動き、感じ、つくりだす媒体としてのからだ」渡辺貴裕(東京学芸大学)
 「いま、子どもの『からだ』はどうなっているか」野井真吾(日本体育大学)
 「人間のすべての基本としてのからだ」サライ美奈(くるみの木教育研究所)
 「ぶつかりあう、ふれあうおもしろさを1年生に」大江未知(小学校)
 「からだへのアプローチ-学校でできること」照屋洋(中学校)
 「こころとからだを拓森林活動」宮川雅道(高校)
 「性的なからだとの出会い」金子由美子(養護教諭)

 様々な立場の人が様々な視点から「からだ」に迫っているのがおもしろいのですが、とりわけ渡辺貴裕さんと照屋洋さんは演劇教育の仲間ですから、おもしろく読ませてもらいました。編集後記によると、この特集の担当は片岡洋子さんと山﨑隆夫さんということです。山﨑くんは大学時代からの友人で、執筆者の推薦を依頼されたのです。実践者ということで照屋さんを紹介したのですが、渡辺さんも執筆されているとは知らなかったです。彼には『演劇と教育』で拙著の書評や連載をしてもらいました。
 『教育』といえば、やはり『演劇と教育』に原稿を書いていただいた霜村三二さんが頻繁に登場されます。若いときに東京の北区で教師をしていたときに出会った佐藤博さんの「映画評」などもおもしろく読ませてもらっています。

▼特集2は「教育の民主主義を求めて」。連載の「映画評」「子どもと本」など毎号充実しています。(A5判128ページ、667円+税、かもがわ出版)

〔11〕本年度の白梅学園大学での教育実習指導終了しました。

2015年01月27日 | 講師実績
 昨日、3年目の白梅学園大学での教育実習指導が終了しました。教員志望の3年生が対象で、来年度の教育実習に備えての授業ということになります。学生たちはとても好意的で熱心なので、指導のし甲斐があるというものです。来年度もやらせていただけるということで今から楽しみです。4年生になった彼らはどんな顔で子どもたちの前に立つのでしょうか。
 白梅学園大学での教育実習指導はとても丁寧なものです。3年次には、「教育実習の意義及び内容」から始まって、「教育機関としての学校」「児童生活実態とその指導」など、数時間の授業が組まれます。最後には授業の略案を作り、それを検討するところまでやるのです。授業は専任・非常勤数人でグループワークを基本にしていて贅沢なものです。
 4年次には様々な学習のあとに模擬授業を経て、いよいよ教育実習です。教師はだいたい5人の学生を担当することになります。実習校に事前に学生と訪問、期間中に授業参観と指導、最後は研究授業参観です。3回の学校訪問を繰り返します。そして、素晴らしいのは、教育実習の経験をグループで、3年生を聞き手に迎えて発表するということです。3年生は実質この時に教育実習が始まっていると言っていいでしょう。
 私が学生たちに話す内容は当然授業のことが中心です。この骨子が下掲の【授業の視点】です。
 4月からの授業参観が楽しみです。学生の奮闘と、久しぶりの小学生に会えるからです。
*授業については拙著『実践的演劇教育論』の鼎談「ドラマのある授業を考える」(渡辺貴裕さん、佐々木博さんと私)を参考にしてください。

【授業の視点】
Ⅰ、教育方法
〔A〕教師のからだ(ことば・声・心・身体)-子どもと交流できるからだ
*<ことばと心の受け渡し>が成立しているか?
・語る(話す)ということ
・聴く(受ける)ということ
・居心地の良いクラス

〔B〕子どものからだ
・聴くからだ-日本の子どもが苦手なところ
・伝えるからだ
・授業への参加(意欲)

Ⅱ、教育内容
〔C〕ドラマとしての授業-教師の教えから子どもの学びへ
*導入・展開・終末(序破急・起承転結…)
*導入(子どもの興味・関心を大切に、子どもの学習意欲を引きだす)
・実践例「ふしぎなたね」(和田仁)
・福田実践への助言「屋上の凧」(鈴木孝雄)
*展開(学習課題の系統性・連続性・継続性)
・ハプニング歓迎
*課題提示・発問・板書・評価
*終末・発展(展示・掲示・発表)
*発表(プレゼン)

Ⅲ、参考
*問題解決学習(考える授業になっているか)
*仮説実験授業(問題-予想-討論-解決)の方法

*「学びの地平を拓く」(フレネ教育者国際会議、リーデフ98、於・自由の森学園)
*授業参観での立ち位置…例えば、7(子ども):3(教師)の構え
*教科の論理と子どもの生理(リズム)の関連性