後期ゴシック彫刻・市民運動・演劇教育

小学校大学教師体験から演劇教育の実践と理論、憲法九条を活かす市民運動の現在、後期ゴシック彫刻の魅力について語る。

〔8〕久我良三さんの「独楽と人形劇…」のワークショップ風景です。

2015年01月15日 | 講座・ワークショップ
 日本全国に優れた演劇教育の仲間がいますが、千葉の久我良三さんもその一人です。かつて彼に、日本演劇教育連盟が主催する全国演劇教育研究集会でワークショップを開いてもらったことがあります。岩国でのことでした。その様子を少しのぞいてみましょう。


  □全国演劇教育研究集会の記録□

 講座M 楽しい教室をつくろうー独楽と人形劇とピタゴラスイッチ

講師 久我良三(独楽と人形劇のクマゴロウ)
世話人 村中昌恵(山口・岩国市立平田小学校)
福田三津夫(東京・日本演劇教育連盟)
参加者 大人15人 子ども7人

 午後1時30分から4時30分までの半日講座。
 午前中、講師の久我さんが講座に必要な独楽や人形劇の仕掛けなどをワゴン車に積んで到着。3階の会場までエレベーターで荷物を何度も運び、すべてをセッティングするのに1時間半ほどかかる。小学校の教室ほどのスペースはまるでおもちゃ箱をひっくり返したよう。ほぼ準備完了した頃、開け放ったドアから何事があったのかと、中を覗き込む人が引きも切らない。
「見るだけじゃおもしろくないからやってみてください。」大道芸人に衣装変えした久我さんが誘い水を掛ける。興味津々の見学者たちが増え、まるで祭りの様相。子ども親も教師たちも独楽回しに興じている。ほとんど独楽回し大会のようだ。

 一応、私の方から簡単な講師紹介をして、時間どおりに講座はスタートする。あとは講師ににすべてお任せだ。

●まずは、挨拶がわりに
 久我さんは自己紹介もそこそこに、いきなり独楽の実演から始める。勢いよく回した独楽を糸にからげて独楽が四角い小さな手作り神輿まで到達すると、パンと破裂して、犬の人形が現れて、あらあら不思議、犬が何回もでんぐり返るという仕掛け。まずは参加者の度肝をぬく演出からスタートだ。みんな大喜び。
 次は先端がしなる棒の上に回した独楽をのっけて、隣の人に次々と渡していく。独楽が止まっていつ落ちてしまうか、はらはらどきどき。子どもも大人も神経がとぎすまされて心地よい時間と空間が過ぎる。
釣り糸に独楽を絡め、独楽が4,5メートルの空中を渡っていく。これぞまさしく空中独楽だ。いつも上手くいくとは限らない真剣勝負がいい。

●今回の目玉は、ピタゴラスイッチ
 床1面に準備された仕掛けは、ピタゴラスイッチ、つまりドミノ倒しのことだ。20の仕掛けを親子やグループで作り上げることから始める。仕掛けはすべて久我さんの手作りである。途方もない時間をかけて、おもしろがって作り出す久我さんの姿が垣間見えるようだ。作り方を説明して回る久我さん。試してみての成功、不成功にいちいち歓声が沸く。
 なにやらヘソを曲げすねている小さな男の子のお母さん、手を焼いて困ったふう。すかさず久我さん、
「君、10,9,8,7…って言えるかな。…では全部つなげて1回やってみましょう。」 何とか男の子にカウントダウンさせて、講座に参加させる。さらに元気な2人の男の子には、弓を持った人形を持たせてリンゴを射る役を与える。さすがの名演出家。
みんなが注目するなか、ドミノがスタート。何度も途切れながらも最後のくす玉割りまで届く。みんな大喝采。
「今度はもっと上手くいくようにやってみようか。」
流れがわかった参加者、再度挑戦だ。やる気十分だが、またもやパーフェクトにはいかない。でも満足感が漂うから不思議だ。

●人形劇の実演
 いよいよ自作自演の人形劇の始まりだ。ことの起こりは、小学校の担任をしているときに、子どもの誕生日ごと、全員に異なる人形劇をしてあげたことだという。レパートリーがどんどん広がっていったのだ。「必要は発明の母」か。

・ 発明博士…水をコップに注ぐと、あらあら不思議、ジュース(色水)に変身してしまう。そのジュースをクルクルストローで飲む人形。
・次は、世界で初めての独楽を回す人形だという。しかし今回は不調でうまくいかない。講師の名誉のためにつけ加えるが、筆者は何度も<成功>を目撃している。
・「ヘビのからだはなぜ長い」…講師の十八番の1つ。なぜヘビはからだが長くなったかという話。絶妙の独演会。
・ 一番うける出し物は「ミミズクの散歩」。ミミズクの親子の登場。バージョンアップして、海篇と山篇が加わる。常におもしろいことを見つけようとしている講師の存在がすごい。
・「酒飲みおじさん」…なぜか酒(液体)が消えてしまうのだ。まさに手品師。
・「わたしはだあれ?」…手袋人形の登場だ。しっとりと参加者を引きつける。こちらは子どもにも大受けだ。

●最後は独楽に戻って…
 人形劇を楽しんだあと、講師の卓越した独楽回し演技に酔いしれた。手のっけなんてお茶の子さいさい、「かまいたち」「おろち」「水の中で回る独楽」「空中に浮く独楽」と続く。それぞれの技はことばでの説明はかなり難しい。その実際を見てみたい方は、是非この講座を受講されることを勧めたい。
 そして、独楽回しをやりたそうな子どもやお母さんの雰囲気をいち早く察知した講師、講座の最後の30分は独楽回し練習に戻る。最初と最後は独楽回しだった。 独楽回しの魅力にとりつかれた親子と教師たち、時間いっぱいまで独楽回しに興じていた。
 会場の復元と道具の運び出しは参加者が積極的に担ってくれた。彼らの満足度を示しているようだった。
                                       (報告:福田三津夫)

  *『日本の演劇教育2012』(日本演劇教育連盟編集)より

〔7〕最後は、妻の著書です。(著書紹介③)

2015年01月15日 | 図書案内

『子どもっておもしろい』
 (福田 緑著、晩成書房、2005年11月、200ペ-ジ、表紙はかとうゆみこさん)
  
  同時に退職した妻も本を書いた。
  小学校「ことばの教室」でのこどもたちとのさまざまな出会いをあたたかい視線で描く第一部。著者の教師としての足取りをたどり、子どもとの関わりを記す第二部。子どもとの出会いの魅力にあふれた記録。
 平易な文章で、教師を目指す大学生にも人気がある本だ。
  これは一人の教師の実践の記録と言うよりは、一人の「人」が人間となってゆく覚醒と努力の道程の記録である。
                    (竹内敏晴/本書まえがき より)
 

『子どもっておもしろい』 目次
前書き;竹内 敏晴 

第Ⅰ部 子どもっておもしろい
 1.木曜日でよかった      
 2.ウンコ・タイム   
 3.おばけに燃える男
 4.ヘビとヒキガエル
 5.先生、ヒゲが生えてる   
 6.ダンゴ虫のお城      
 7.さあお食べ、さあお飲め   
 8.福田先生、三十点~!   
 9.インクよ、出て来い
10.やさしい時ってどんな時?
11.真夜中のホットコーヒー  
12.1年中クリスマス
13.野球盤少年
14.オーストラリア旅行にご招待!  
15.ちびっ子剣士、参上           
16.不安定な起き上がりこぼしたち  
17.孝ちゃんのおにぎり
18.ぼく、生まれなおしたいんだ
19.あたしのお部屋  
20.先生はお昼寝してなさい
21.話のわかるおばさん
22.和紙で作った日本地図
23.洗濯ネットの虫かご
24.十日で回せるようになりますから
25.将棋は苦手なんだけどなぁ
26.もも筋トレーニング 

第Ⅱ部 子どもたちが私の先生
1 いいお母ちゃんがいてよかったね
2 本当は闘いたくなんかない!
3 心を「抱っこ」する
4 心の許容量
5 子どもが変わってきている

後書き;福田 緑

     ☆定価2000円+税、送料込みで2000円。  



 

『祈りの彫刻リーメンシュナイダーを歩く』
(福田緑著、丸善プラネット、2008年12月、216ページ)

リ-メンシュナイダーと聞いてすぐにドイツ中世の彫刻家と分かる日本人は少ない。それもそのはずで、彼についての著作は2冊のみ。そこで本邦初めての写真集が刊行された意義は小さくない。地元のドイツ人カメラマンによるカラー写真と、著者の娘の福田奈々子が撮った白黒写真のバランスが心地よい。まさに「祈りの彫刻」である。
 「リーメンシュナイダーの追いかけ人」となった<素人>の著者の執念はさらに続く。巻尾には作品一覧、アクセス情報(こちらもおそらく本邦初)も盛り込んで、贅沢な一冊になっている。
 図書館・美術館だけでなく、病院やサロンなどのくつろぎの場にそっと置いてほしい本だ。
             *2009年日本自費出版文化大賞入選。

    ☆定価4600円+税、送料込みで5000円。


 

『続・祈りの彫刻 リーメンシュナイダーを歩く』
(福田緑著、丸善プラネット、2013年1月、230ページ)

 福田緑は、リーメンシュナイダーの作品を訪ねてドイツ国内だけでなく、ヨーロッパ各地や北米を重たいカメラと三脚を持ちながら周遊し、膨大な作品をカメラに収めた。そして、ついに第2写真集が完成した。この2冊の写真集はドイツの人々の手助けなくしては日の目を見なかったであろう。そういった意味では日独交流の賜物であると言える。
*朝日新聞の書評で紹介される。

    ☆定価5000円+税。













〔6〕次は、妻との共著です。(著書紹介②)

2015年01月15日 | 図書案内


『男の家庭科先生』
(福田三津夫・緑著、冬樹社、1989年 211ページ 表紙、イラストは娘の福田奈々子)

 三津夫は、小学校の担任を数年経験してから家庭科専科に自ら希望してなった。
 1979年当時、全国的にみても男の家庭科専科は非常に珍しい存在であった。時を同じくして、藤沢のあの著名な名取弘文さんも家庭科専科に転身する。
 この本は家庭科の実践記録ではない。むしろ家庭科専科を希望することとなった背景を自身の家族環境から描いたものである。夫の三津夫より妻の緑の方が、執筆の分担がやや多いのはそのことと無関係ではない。
 なぜ日本の家庭は女性に家事育児分担が偏るのか。「男も女も家事も育児も」と主張するのがこの本であり、その<実践記録>である。
 あとがきの半田たつ子さんの「新たな共同作品を祝って」が秀逸。
●絶版、手元に残部なし。



 『ヨーロッパ2人旅、22日間』
 (福田三津夫・緑著、私家版、2000年、168ページ、 表紙は福田奈々子)

 久しぶりに夫婦で出掛けたヨーロッパ(ドイツ、オランダ、ベルギー、フランス)の自前の旅。それぞれが好き勝手に綴った旅行の記録である。晩成書房社長の水野久さんの協力でできあがる。夫婦共同ミニコミ誌「啓」の拡大版。2008年12月に出版された『祈りの彫刻 リーメンシュナイダーを歩く』(福田緑、丸善プラネット)はこの旅が契機となっている。
 執筆分担は以下の通り。

    「世界遺産と美術館を巡る旅」 三津夫
    「リーメンシュナイダーの作品を訪ねて」 緑
 
  ☆残部わずか。送料込みで1000円。

〔5〕今、一番読んでほしい演劇教育関係の著書です。(著書紹介①)

2015年01月15日 | 図書案内


『実践的演劇教育論』-ことばと心の受け渡し

(福田三津夫著、晩成書房、216頁、2013年2月)
 『いちねんせい-ドラマの教室』『ぎゃんぐえいじ-ドラマの教室』に続く、演劇教育3部作完結編。私自身の小学校33年、大学7年の演劇教育実践の根幹をなすものは何かを考えてみた。それは<遊ぶ>感性を磨くこと、<ことばと心の受け渡し>を教育全般に行き渡らせることである。その理論的背景と主に大学や地域(ラボ教育センター)での具体的実践を書いてみた。

第1章 演劇教育の理論-原点を探る
 □演劇教育の原点
   Ⅰ 冨田博之の演劇教育論
   Ⅱ 劇あそび研究-小池タミ子の劇あそび論を中心に
Ⅲ 竹内敏晴から学んだこと-語るということ
Ⅳ 考える現場人、村田栄一 
 □鼎談「ドラマのある授業」渡辺貴裕・佐々木博・福田          
□特別活動と演劇教育

第2章 演劇教育の実践-学校・地域で
 □詩を遊ぶ・物語を遊ぶ
   Ⅰ 谷川俊太郎を遊ぶ
   Ⅱ まど・みちおを遊ぶ
   Ⅲ 阪田寛夫を遊ぶ
   Ⅳ 佐野洋子を遊ぶ

 □大学の授業と演劇教育
   Ⅰ 応答のある大学の授業
   Ⅱ 生活科でできること
  Ⅲ ことば遊びから始まる教員免許更新講座
  Ⅳ 教師であること-教師をめざす貴方へ贈る10の言葉

 □演劇教育の広がり
   Ⅰ 限界芸術としてのテーマ活動
   Ⅱ フレネ教育と演劇教育

<資料>
 □『演劇教育実践シリーズ』を巡っての共同研究
□ 「トトロ」学年の卒業式台本(1991年度)東久留米市立滝山小学校  
 □ 私の演劇教育実践史年表

      ☆定価2000円+税、送料込みで2000円。



『ぎゃんぐえいじードラマの教室』                   
(福田三津夫著、晩成書房、2009年8月、254ページ、表紙は、かとうゆみこさん)    

 『いちねんせいードラマの教室』に続いて2冊目の演劇教育実践記録。前書は小学校低学年版、本書は中高学年版。学級づくりと授業づくりの観点から今回も書き綴っているが、とりわけ学級づくりの原体験を丁寧に報告した。「学級崩壊」から学んだ教育の原点「私の学級づくり・授業づくり10か条」は特に読んで欲しい文章である。
 「学級崩壊」のクラス、その体験から学んび演劇教育の出発となったクラス、教師生活最後の困難なクラスなどが登場する「学級物語」が第1章。朗読劇・群読・劇・学習発表会・演劇教室…などの演劇的表現活動が描写されるのは第2章の「授業物語」。
 これから教師を目指す人、教職に行き詰まっている人に読んでもらいたい本だ。

               目次
    まえがき
http://www.bansei.co.jp/index/mokuroku/m01/PDF/%82%AC%82%E1%82%F1%82%AE.pdf 
    プロローグ<ことばと心の受け渡し>とは
    
第1章  学級物語-からだと心をひらく
  ・学級づくりの原体験・銀杏組ストーリー (「トトロ」学級の巻)
  ・教師開眼 (「宅急便」学級の巻)
  ・いじめ・不登校と子どもたち (「みんないい」学級の巻)
       「教室はまちがうところだ」群読台本
  ・共同研究<聴く>ということ 
       (岩川直樹・泉山友子・中村明弘・福田)
  ・私の学級づくり・授業づくり十か条

第2章  授業物語-ことばと心を届ける
  ・<おもしろい授業>を考える
  ・「フレデリック」を遊ぶ(朗読劇)
  ・イランカラプテ・アイヌ民族
  ・「夕鶴」を群読する
     -葛岡雄治さんとのコラボレーション
  ・劇を遊ぶ
  ・学習発表会を遊ぶ
  ・演劇鑑賞教室を遊ぶ
  ・座談会「小さな世界」を広げる記録(田辺敬子・高山図南雄・副島功・福田)
 
  あとがき         
  初出一覧
        ☆定価2000円+税、送料込みで2000円。



(福田三津夫著、晩成書房、2005年8月、215ペ-ジ、表紙は、かとうゆみこさん)
 
 2005年3月、 33年間の東京都での小学校教師生活にピリオドを打って、<演劇教育>の実践を綴る。日本の教育に決定的に欠けているのがコミュニケーションと表現の教育ーそれはまさにドラマの教育でもある。演劇教育の視点で学級づくりや授業づくりを眺めてみるとどう見えるのか。日本ではまれな演劇教育実践記録である。
  低学年のクラスを具体的に報告してみたが、その基本的な考え方は教育全般に通じることだと思っている。
    *2010年日本自費出版文化大賞入選。 
    *1章の「ことばと心の受け渡し」は演劇教育賞受賞文章。

   『いちねんせいードラマの教室』
     目 次

まえがき
 応答責任を軸にした教育実践(岩川直樹)

1 学級づくりーこころとからだをひらく
  ことばと心の受け渡し
  聴くこと 語ること
  笑いがうまれる教室
  子どもたちのからだの向う方向を
             かえるということ (増田美奈)
  座談会・子どもの演技をめぐって
  (平井まどか、佐々木博、正嘉昭、橋本和哉、福田)
  私の劇づくり十か条

2 授業のドラマ
  ひらがなを遊ぶ
  漢字を遊ぶ
  詩を遊ぶ     ・「かたつむり」の授業
            ・「たんぽぽ」の授業
  朗読劇     ・劇あそびを遊ぶ
            ・「おおきなかぶ」の授業
            ・「ぼくのだ!わたしのよ!」の授業
  劇を遊ぶ
  学習発表会を遊ぶ
  研究会・文字ーいのちある小宇宙で子どもと遊ぶ
  (伊東信夫、神尾タマ子、伊藤行雄、佐々木博、福田)

  子どもの生の発見と演劇(栗原浪絵)

あとがき

     ☆残部あり、定価1800円+税、送料込みで2000円。

『劇あそび・学級に活かす表現活動』
                (日本演劇教育連盟発行、演劇教育ブックレット4、2009年12月、54ページ)
  *執筆『劇あそび』平井まどか、『学級に活かす表現活動』福田三津夫
  *連続講座「演劇教育はじめの一歩」(2007年11月17日)の記録。

        ☆定価800円、送料込みで1000円。