後期ゴシック彫刻・市民運動・演劇教育

小学校大学教師体験から演劇教育の実践と理論、憲法九条を活かす市民運動の現在、後期ゴシック彫刻の魅力について語る。

〔165〕今年こそ、憲法を日々の暮らしの隅々に生かす「憲法元年」にしたいものです。

2018年01月10日 | 市民運動
  今年の元日の東京新聞1面に「改憲 今年中の発議めざす」「自民方針 2019年」「自民方針 2019年春までの国民投票想定」という文字が躍りました。いよいよ来たな、でもなんで憲法を変える必要があるの、というのが多くの国民の実感ではないでしょうか。
 そもそもの言い出しっぺは憲法遵守義務(憲法99条)のある安倍首相でした。あろうことか、昨年の憲法記念日に、日本会議系の集会(1100人参加)のビデオメッセージで改憲を訴えたのです。この日有明の公園には55000人の憲法を護れという人々が右翼の口汚い妨害スピーカーにひるむことなく参集していました。残念ながらマスコミが多く取り上げたのは前者の方でした。
 しばらくして、自民党は(1)9条に自衛隊の根拠規定を追加(2)大規模災害時に国会議員の任期を延長する緊急事態条項の創設(3)幼児教育から高等教育までの無償化(4)参院選挙区の「合区」解消の4項目について改憲案をまとめました。
 緊急事態条項の創設については、人権を大幅に制限するということでナチスドイツを想起する国民が多く評判は良くありません。教育の無償化は憲法を変えなくても実行できることは民主党政権が実証しています。1票の格差是正を目差した参院選挙区の「合区」を党利党略のために元に戻そうとする魂胆は見透かされています。
 そう考えると、自民党が一番変えたい本丸はノーベル賞候補にもなっている憲法9条のようです。1項で戦争放棄、2項で戦力不保持を謳っていますが、3項に自衛隊を明記するというのです。法は後に制定されたものが優先します。多くの憲法学者が指摘しているのは、1,2項の空文化・死文化という事実です。「改正」のあとに待っているのは、集団的自衛権の全面行使、自衛のための武器の保持の正当化、軍拡化、自衛力増強のための大学兵器開発などといった問題が一気に吹き出てきます。というよりそれを狙っての「加憲」に間違いありません。
 私たち市民は、憲法改悪を阻止するだけにとどまらず、憲法を日々の暮らしの隅々に生かす立憲主義を旗印に野党と共闘し、今年こそ憲法元年にしたいと思うのです。

 今年こそ憲法元年にしたいという想いを共有する冊子に出合いました。以前にもこのブログで紹介したこともある生活クラブ生協の「生活と自治」です。
 新年号の特集はずばり、「新年に考える-日本国憲法と私たちの暮らし」です。まずは読みどころ満載の目次を紹介しておきましょう。

■生活と自治 2018年1月号
2 連載 エダモンとティータイム 朝日は来るよ、2018
3 目次
4 Myオピニオン 梅﨑和子さん
6 新潮流 にんげん模様 社会こ出ていく若者たちのために
10 連載 そこが知りたい、暮らしとエネルギー
11 連載 にびいろの景「ニュータウン」住み続けられるのか
12 連載 どう思う? どうしてる?「憲法」
13 連載 学校てんやわんや 岡崎勝
14 連載 生活クラブの挑戦 一手づくりの「地域福祉」を目指して
16 連載 アズマカナコの子育てエコライフ
17 連載 新・反時代のパンセ 不服従の理由 辺見庸
18 特集 新年に考える一日本国憲法と私たちの暮らし
   監視社会の恐怖と「共謀罪」/「誰もがかけがえのない存在」とうたう日本国憲法
   聞いてみました! 三浦まりさん(上智大学法学部教授)
24 連載 三重の深山より 秋山豊寛
25 投稿欄
26 新連載 生活と自治・全国キャラバン「まちと暮らしカフェ」
   超高齢社会の中で迎える「最期」を考える 福富みずはさんを囲んで
28 連載 数字を読む
29 連載 暮らしの味わい 田ロランディ
30 生活クラブ 夢の素描 生活クラブ千葉「憲法カフェ」
32 連載 おいしく、楽しく、食養生
33 連載 琉球の人々 伝統の「アンガマ面」を彫る 田場由盛さん
34 時のかたち 沖縄と日本国憲法
   寄稿 「琉球新報」政治部 島洋子さん
38 調べてみました! 生活Q&A
40 連載 オートメ依存症脱出宣言 魚柄仁之助
41 これに賭ける!
46 連載 停止しない思考 森達也
47 クイズで遊ぼう! 図書カード2000円分が40人に!
48 連載 藤原新也 日々の一滴

「通販生活」2018春号が送られてきました。「生活と自治」と並んでこのブログでも度々取り上げてきました。「読み物ページ」で注目したい記事を紹介しましょう。

●落合恵子の深呼吸対談 ゲスト・丹羽宇一郎(元中国大使)
「戦争をなくすためには、まず戦争を知ることが必要です」
●読者の戦争体験「戦争を知らない世代への伝言」
●国民投票が近づいてきた 第4弾
「これからの時代の『自衛隊の役割』を考える」柳澤協二、伊勢﨑賢治、加藤朗

最後の「国民投票が近づいてきた 第4弾」に登場する3人は「自衛隊を活かす:21世紀の憲法と防衛を考える会」のメンバーです。伊勢﨑氏は九条を1項はそのまま、2項を「日本の領海、領空、領土内に限定した迎撃力を保持する。その行使は国際人道法に則った特別法で厳格に統制される。」と提案しています。検討する価値はあるのでしょうが、自民党は3項加憲を出してくるでしょう。そうなれば市民と野党は共闘して反対運動を展開するしかないでしょう。