私の居住地・東京都清瀬市から車で5分もかからず行ける埼玉県で、耳を疑う、信じられないことが起こりました。埼玉県議会が、原発再稼働求める意見書を可決したのです。昨年の暮れ、どさくさに紛れてのまことに恥ずかしい出来事でした。
ことの経過を河北新報が次のように伝えています。
■埼玉県議会、原発再稼働求める意見書可決 「福島を軽視」抗議拡大
(河北新報)2018年1月18日(木)
東日本大震災に伴う東京電力福島第1原発事故の避難者を受け入れてきた埼玉県で、昨年12月に可決された県議会(小林哲也議長)の意見書が物議を醸している。原子力規制委員会の基準に適合した原発の再稼働を求める内容に「事故の教訓を十分に議論したのか」と県民が反発。議決直後に始まった抗議行動は、全国的な広がりを見せている。
意見書は、衆参議長、首相、経済産業相、原子力防災担当相宛。12月定例会最終日の12月22日に提案され即日、可決された。都道府県議会による原発再稼働を求める意見書提出は埼玉が初とみられる。
意見書は、エネルギーの安定供給や経済効率の向上には「原発の稼働が欠かせない」とし「世界で最も厳しい水準の規制基準に適合すると認められた原発の再稼働」を要望した。
併せて(1)高レベル放射性廃棄物の最終処分に向けた取り組み強化(2)避難のための交通インフラ整備や避難計画策定への継続支援(3)産業や雇用の創出を含む原発立地自治体への支援-を求めた。
提案議員は自民党系会派と無所属系会派の11人。採決の結果、賛成60、反対25だった。議員の一人は「突然提案された意見書で、十分に議論されたとは言い難い」と打ち明ける。
議決を知った県民の一部が採決後、県庁前に詰め掛け「恥を知れ」などと書かれたプラカードを掲げて抗議。反発は年が明けても収まらず、今月10日には県民ら約140人が議会棟周辺をデモ行進し、小林議長宛の抗議文を提出した。
抗議文は「福島第1原発の事故原因が明らかにされていない上に収束が全く見通せない中での意見書は被災地を無視し、あまりにも無責任」と主張。インターネットを通じて募った抗議文への賛同は首都圏、福島県などから141団体3130人に上る。
デモ行進に参加した埼玉県三芳町の翻訳業白田真希さん(50)は「原発が立地していない埼玉県で、なぜこのような意見書が議決されたのかが分からない。福島の現状を熟慮したのかどうか、納得できる説明を求めたい」と語った。
<慎重な議論必要/地方議会に詳しい山梨学院大の江藤俊昭教授(政治学)の話>
関係行政庁への意見書提出は、これまでもしばしば地方議会のパフォーマンスに利用されてきた。内容的に「地方公共団体の公益」を逸脱している意見書も散見される。一度提出した意見書は撤回できないのだから、世論を二分するテーマでの議会の議論は本来慎重であるべきだ。
[地方議会の意見書]地方自治法99条に基づき、地方公共団体の公益に関する事項について議会の機関意思をまとめ、関係行政庁や衆参両院に提出する文書。法的拘束力はない。提案権は議員にあるが、提出の際は議長名となる。
河北新報でもその概略は報じられていますが、そもそも埼玉県議会の「原発再稼働を求める意見書」とはどんなものかを、信頼置ける「レイバーネット」が以下のように伝えています。いち早く抗議行動に立ち上がった市民の動きについても丁寧に書かれています。
それにしても、福島原発の炉心融解の事後処理も果たせぬまま、そこから大して遠くない埼玉の県議会が、他人事のような無責任きわまりない意見書を採択するとは開いた口がふさがりません。
とりあえず清瀬でも反対署名に参加することなどから運動を強めていきたいと考えています。
■あ~りえない、ありえないと県内外から非難ごうごう?埼玉県議会が「原発再稼働を求める意見書」を採択(レイバーネット)
2017年12月22日、埼玉県議会で「世界で最も厳しい水準の規制基準に適合すると認められた原子力発電所の再稼働を求める意見書」が採択された。報じたのは、翌23日東京新聞の埼玉版。これを知った県民や原発立地の人たちから、非難と抗議の声があがっている。
埼玉県議会の12月定例会では議会最終日22日に8件の意見書が提出され、3件の決議がなされた。そのうちの1件が問題の原発再稼働を求める以下の意見書である。
●世界で最も厳しい水準の規制基準に適合すると認められた原子力発電所の再稼働を求める意見書
エネルギー政策の基本は、安全性を前提とした上で、安定供給を第一とし、次いで経済効率性の向上と環境への適合である。
そのためには、優れた安定供給性と効率性を有し、運転時に温室効果ガスの排出を伴わない原子力発電所の稼働が欠かせない。
よって、国においては、立地自治体等関係者はもとより国民の理解と協力を得られるよう前面に立ち、下記の措置を講じつつ、原子力規制委員会により世界で最も厳しい水準の規制基準に適合すると認められた原子力発電所の再稼働を進めるよう強く要望する。
記
1 将来の世代に負担を先送りしないよう高レベル放射性廃棄物の最終処分に向けた取組を強化すること。
2 立地自治体、防災関係機関等との連携を強化し、避難のための道路、港湾等のインフラの整備や避難行動要支援者等に十分配慮した避難計画の策定などを継続的に支援すること。
3 電源立地地域対策の趣旨に基づき、新たな産業・雇用創出を含む立地自治体の実態に即した地域支援を進めること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成29年12月22日
埼玉県議会議長 小林哲也
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣 様
経済産業大臣
原子力防災担当大臣
地元埼玉では12月26日、27日と連続で県庁前スタンディングとビラ配りが有志により行われ、年明け1月4日も仕事始め県庁に出勤する職員や通行人へのビラ配りと、駅前での抗議アピールがあった。呼応して、県庁所在地であるさいたま市以外でもそれぞれの地元駅前でのスタンディングなど、個人やグループによる抗議活動が拡がっている。
また、いち早く12月28日に福島県の「虹とみどりの会」(蛇石郁子 郡山市議)は埼玉県議会議長に宛てて59団体209名の賛同署名を添えた要請書を提出した。
ネット上には「埼玉が原発を誘致しろ」「核のゴミを全部引き受けろ」と、埼玉県への厳しい声があふれている。原発を持たない埼玉県が、再稼働を他県に求め犠牲と負担と危険をおしつけるような採択をしたことを知って驚き、「恥ずかしい」「情けない」「申し訳ない」と、身の縮む思いを語る市民にたくさん出会った。
福島の原発事故以降、埼玉でも脱原発に取り組む多くのグループ個人がそれぞれに熱心な活動を続けている。にもかかわらず、今回の県議会の動きに気づかず未然に止められなかったことを「事前にわかっていたら」と、悔やむ声も聞かれた。
国内外のさまざまな問題が山積する今、市民活動に携わる人たちは多くの問題に関わり、あちらこちらで声を上げ動いている。生活や仕事をしながらの活動に疲労の色が濃いのは、正直否めない。
今回の埼玉県議会の意見書採択で、世界の流れとは逆に、日本政府はもとより地方議会まで、政治家の中では原発推進の勢力がまだまだ大きいことが浮き彫りになった。原発の廃絶を願う多くの市民にとって、議会チェックや議員への働きかけは、大きな課題だ。
原発再稼働を推進する動きが全国に広がることを危ぶみ、緊急行動として、埼玉県議会の「原発再稼働を求める意見書」の採択に抗議する市民の会では、1月10日(水)13時~県議会に賛同表明した個人や団体の名簿を付けた抗議書を提出する。
これに先立ち12時JR浦和駅西口に集合し、県庁までデモを行う。14時からは県政記者クラブで記者会見を行い、会場では抗議文読み上げるほか郡山市の蛇石郁子市議、大熊町の木幡ますみ町議はじめ福島、柏崎、東海など原発立地から駆け付けた方々の発言も予定している。
いま、採択に抗議する市民の会には県内はもとより福島県など県外からも自民党議員を含む賛同表明が続々と寄せられている。
なお、賛同者、賛同団体は・お名前・お住まいの自治体名・公表の可否を、sirotama@kbf.biglobe.ne.jpまで。提出日前日の1月9日24時まで受け付けている。〔知多 歩〕
ことの経過を河北新報が次のように伝えています。
■埼玉県議会、原発再稼働求める意見書可決 「福島を軽視」抗議拡大
(河北新報)2018年1月18日(木)
東日本大震災に伴う東京電力福島第1原発事故の避難者を受け入れてきた埼玉県で、昨年12月に可決された県議会(小林哲也議長)の意見書が物議を醸している。原子力規制委員会の基準に適合した原発の再稼働を求める内容に「事故の教訓を十分に議論したのか」と県民が反発。議決直後に始まった抗議行動は、全国的な広がりを見せている。
意見書は、衆参議長、首相、経済産業相、原子力防災担当相宛。12月定例会最終日の12月22日に提案され即日、可決された。都道府県議会による原発再稼働を求める意見書提出は埼玉が初とみられる。
意見書は、エネルギーの安定供給や経済効率の向上には「原発の稼働が欠かせない」とし「世界で最も厳しい水準の規制基準に適合すると認められた原発の再稼働」を要望した。
併せて(1)高レベル放射性廃棄物の最終処分に向けた取り組み強化(2)避難のための交通インフラ整備や避難計画策定への継続支援(3)産業や雇用の創出を含む原発立地自治体への支援-を求めた。
提案議員は自民党系会派と無所属系会派の11人。採決の結果、賛成60、反対25だった。議員の一人は「突然提案された意見書で、十分に議論されたとは言い難い」と打ち明ける。
議決を知った県民の一部が採決後、県庁前に詰め掛け「恥を知れ」などと書かれたプラカードを掲げて抗議。反発は年が明けても収まらず、今月10日には県民ら約140人が議会棟周辺をデモ行進し、小林議長宛の抗議文を提出した。
抗議文は「福島第1原発の事故原因が明らかにされていない上に収束が全く見通せない中での意見書は被災地を無視し、あまりにも無責任」と主張。インターネットを通じて募った抗議文への賛同は首都圏、福島県などから141団体3130人に上る。
デモ行進に参加した埼玉県三芳町の翻訳業白田真希さん(50)は「原発が立地していない埼玉県で、なぜこのような意見書が議決されたのかが分からない。福島の現状を熟慮したのかどうか、納得できる説明を求めたい」と語った。
<慎重な議論必要/地方議会に詳しい山梨学院大の江藤俊昭教授(政治学)の話>
関係行政庁への意見書提出は、これまでもしばしば地方議会のパフォーマンスに利用されてきた。内容的に「地方公共団体の公益」を逸脱している意見書も散見される。一度提出した意見書は撤回できないのだから、世論を二分するテーマでの議会の議論は本来慎重であるべきだ。
[地方議会の意見書]地方自治法99条に基づき、地方公共団体の公益に関する事項について議会の機関意思をまとめ、関係行政庁や衆参両院に提出する文書。法的拘束力はない。提案権は議員にあるが、提出の際は議長名となる。
河北新報でもその概略は報じられていますが、そもそも埼玉県議会の「原発再稼働を求める意見書」とはどんなものかを、信頼置ける「レイバーネット」が以下のように伝えています。いち早く抗議行動に立ち上がった市民の動きについても丁寧に書かれています。
それにしても、福島原発の炉心融解の事後処理も果たせぬまま、そこから大して遠くない埼玉の県議会が、他人事のような無責任きわまりない意見書を採択するとは開いた口がふさがりません。
とりあえず清瀬でも反対署名に参加することなどから運動を強めていきたいと考えています。
■あ~りえない、ありえないと県内外から非難ごうごう?埼玉県議会が「原発再稼働を求める意見書」を採択(レイバーネット)
2017年12月22日、埼玉県議会で「世界で最も厳しい水準の規制基準に適合すると認められた原子力発電所の再稼働を求める意見書」が採択された。報じたのは、翌23日東京新聞の埼玉版。これを知った県民や原発立地の人たちから、非難と抗議の声があがっている。
埼玉県議会の12月定例会では議会最終日22日に8件の意見書が提出され、3件の決議がなされた。そのうちの1件が問題の原発再稼働を求める以下の意見書である。
●世界で最も厳しい水準の規制基準に適合すると認められた原子力発電所の再稼働を求める意見書
エネルギー政策の基本は、安全性を前提とした上で、安定供給を第一とし、次いで経済効率性の向上と環境への適合である。
そのためには、優れた安定供給性と効率性を有し、運転時に温室効果ガスの排出を伴わない原子力発電所の稼働が欠かせない。
よって、国においては、立地自治体等関係者はもとより国民の理解と協力を得られるよう前面に立ち、下記の措置を講じつつ、原子力規制委員会により世界で最も厳しい水準の規制基準に適合すると認められた原子力発電所の再稼働を進めるよう強く要望する。
記
1 将来の世代に負担を先送りしないよう高レベル放射性廃棄物の最終処分に向けた取組を強化すること。
2 立地自治体、防災関係機関等との連携を強化し、避難のための道路、港湾等のインフラの整備や避難行動要支援者等に十分配慮した避難計画の策定などを継続的に支援すること。
3 電源立地地域対策の趣旨に基づき、新たな産業・雇用創出を含む立地自治体の実態に即した地域支援を進めること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成29年12月22日
埼玉県議会議長 小林哲也
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣 様
経済産業大臣
原子力防災担当大臣
地元埼玉では12月26日、27日と連続で県庁前スタンディングとビラ配りが有志により行われ、年明け1月4日も仕事始め県庁に出勤する職員や通行人へのビラ配りと、駅前での抗議アピールがあった。呼応して、県庁所在地であるさいたま市以外でもそれぞれの地元駅前でのスタンディングなど、個人やグループによる抗議活動が拡がっている。
また、いち早く12月28日に福島県の「虹とみどりの会」(蛇石郁子 郡山市議)は埼玉県議会議長に宛てて59団体209名の賛同署名を添えた要請書を提出した。
ネット上には「埼玉が原発を誘致しろ」「核のゴミを全部引き受けろ」と、埼玉県への厳しい声があふれている。原発を持たない埼玉県が、再稼働を他県に求め犠牲と負担と危険をおしつけるような採択をしたことを知って驚き、「恥ずかしい」「情けない」「申し訳ない」と、身の縮む思いを語る市民にたくさん出会った。
福島の原発事故以降、埼玉でも脱原発に取り組む多くのグループ個人がそれぞれに熱心な活動を続けている。にもかかわらず、今回の県議会の動きに気づかず未然に止められなかったことを「事前にわかっていたら」と、悔やむ声も聞かれた。
国内外のさまざまな問題が山積する今、市民活動に携わる人たちは多くの問題に関わり、あちらこちらで声を上げ動いている。生活や仕事をしながらの活動に疲労の色が濃いのは、正直否めない。
今回の埼玉県議会の意見書採択で、世界の流れとは逆に、日本政府はもとより地方議会まで、政治家の中では原発推進の勢力がまだまだ大きいことが浮き彫りになった。原発の廃絶を願う多くの市民にとって、議会チェックや議員への働きかけは、大きな課題だ。
原発再稼働を推進する動きが全国に広がることを危ぶみ、緊急行動として、埼玉県議会の「原発再稼働を求める意見書」の採択に抗議する市民の会では、1月10日(水)13時~県議会に賛同表明した個人や団体の名簿を付けた抗議書を提出する。
これに先立ち12時JR浦和駅西口に集合し、県庁までデモを行う。14時からは県政記者クラブで記者会見を行い、会場では抗議文読み上げるほか郡山市の蛇石郁子市議、大熊町の木幡ますみ町議はじめ福島、柏崎、東海など原発立地から駆け付けた方々の発言も予定している。
いま、採択に抗議する市民の会には県内はもとより福島県など県外からも自民党議員を含む賛同表明が続々と寄せられている。
なお、賛同者、賛同団体は・お名前・お住まいの自治体名・公表の可否を、sirotama@kbf.biglobe.ne.jpまで。提出日前日の1月9日24時まで受け付けている。〔知多 歩〕