那須の湯元、温泉神社の横に殺生石という史跡がある。
伝説と民話に今もなお語り継がれている場所である。

一歩足を踏み入れると、硫黄の強い臭いが鼻孔を撃つ。
臭気に敏感な人は、殆ど耐えられないかもしれない。
もっとも、この程度ではそれほどでもない。
かつてはもっと凄かったものだ。
付近一帯には硫化水素、亜硫酸ガスなどの有毒ガスがたえず噴出しており、「鳥獣がこれに近づけばその命を奪う、殺生の石」として古くから知られているのである。
この場所は、パワー・スポットであり、霊場であると言っても良い。

これは盲蛇石(メクラヘビイシ)といって、この場所で湯の花を取る方法を蛇が教えた故事に基づく石である。

湯の花採取場である。
人と動物の心の交流が結ばれるのは、民話の基本である。
更には、九尾の狐の説話も語られ続けている。
土産物に、九尾の狐を名前に冠した大根の漬け物が売られてもいる。

ここはまた、賽の河原でもある。
分かりやすく言えば「三途の渡し」の河原である。
ここを訪れた訪れた観光客たちは、石を積む衝動にかられるのである。

三途の川(さんずのかわ)の手前にある賽の河原で、親より先に亡くなった子どもたちが、石を積み重ねて仏塔をつくり、生前にできなかった功徳をしようとするのだが、できあがるころになると鬼が来て壊してしまう。
悲しい物語である。

同時に、この場所は心霊写真も撮れるのだと言う。
こんな気持ちで、子どもたちは石を積むのである。
これはこの世のことならず
死出(しで)の山路の裾野(すその)なる
賽の河原の物語
聞くにつけても哀れなり
二つや三つや四つ五つ
十にも足(た)らぬみどりごが
賽の河原に集まりて
父上(ちちうえ)恋し 母恋し
恋し恋しと泣く声は
この世の声とは事(こと)変わり
悲しさ骨身(ほねみ)を通すなり
かのみどりごの所作(しょさ)として
河原の石をとり集め
これにて回向(えこう)の塔を積む
一重(いちじゅう)積んでは父のため
二重(にじゅう)積んでは母のため
三重(さんじゅう)積んではふるさとの
兄弟我身(きょうだいわがみ)と回向(えこう)して
と続くのである。

最後には、そんな子どもたちを地蔵菩薩が、ほとけ様のところへつれていってくれるという。

千人地蔵の中心には地蔵菩薩が鎮座しているのである。
親を残して黄泉の国に行く不幸を「戒めて」いるのである。
この場所は、殺生石といいこの賽の河原の地蔵といい、おどろおどろしている。
この場所に噴出する異臭で、ぼくは頭がクラクラしてしまった。

なんだか入りたくない公衆トイレである。
にほんブログ村
荒野人
伝説と民話に今もなお語り継がれている場所である。

一歩足を踏み入れると、硫黄の強い臭いが鼻孔を撃つ。
臭気に敏感な人は、殆ど耐えられないかもしれない。
もっとも、この程度ではそれほどでもない。
かつてはもっと凄かったものだ。
付近一帯には硫化水素、亜硫酸ガスなどの有毒ガスがたえず噴出しており、「鳥獣がこれに近づけばその命を奪う、殺生の石」として古くから知られているのである。
この場所は、パワー・スポットであり、霊場であると言っても良い。

これは盲蛇石(メクラヘビイシ)といって、この場所で湯の花を取る方法を蛇が教えた故事に基づく石である。

湯の花採取場である。
人と動物の心の交流が結ばれるのは、民話の基本である。
更には、九尾の狐の説話も語られ続けている。
土産物に、九尾の狐を名前に冠した大根の漬け物が売られてもいる。

ここはまた、賽の河原でもある。
分かりやすく言えば「三途の渡し」の河原である。
ここを訪れた訪れた観光客たちは、石を積む衝動にかられるのである。

三途の川(さんずのかわ)の手前にある賽の河原で、親より先に亡くなった子どもたちが、石を積み重ねて仏塔をつくり、生前にできなかった功徳をしようとするのだが、できあがるころになると鬼が来て壊してしまう。
悲しい物語である。

同時に、この場所は心霊写真も撮れるのだと言う。
こんな気持ちで、子どもたちは石を積むのである。
これはこの世のことならず
死出(しで)の山路の裾野(すその)なる
賽の河原の物語
聞くにつけても哀れなり
二つや三つや四つ五つ
十にも足(た)らぬみどりごが
賽の河原に集まりて
父上(ちちうえ)恋し 母恋し
恋し恋しと泣く声は
この世の声とは事(こと)変わり
悲しさ骨身(ほねみ)を通すなり
かのみどりごの所作(しょさ)として
河原の石をとり集め
これにて回向(えこう)の塔を積む
一重(いちじゅう)積んでは父のため
二重(にじゅう)積んでは母のため
三重(さんじゅう)積んではふるさとの
兄弟我身(きょうだいわがみ)と回向(えこう)して
と続くのである。

最後には、そんな子どもたちを地蔵菩薩が、ほとけ様のところへつれていってくれるという。

千人地蔵の中心には地蔵菩薩が鎮座しているのである。
親を残して黄泉の国に行く不幸を「戒めて」いるのである。
この場所は、殺生石といいこの賽の河原の地蔵といい、おどろおどろしている。
この場所に噴出する異臭で、ぼくは頭がクラクラしてしまった。

なんだか入りたくない公衆トイレである。

荒野人