エピローグ

終楽日に向かう日々を、新鮮な感動と限りない憧憬をもって綴る
四季それぞれの徒然の記。

那須高原の史跡・・・殺生石

2011年06月05日 | ドライブ
那須の湯元、温泉神社の横に殺生石という史跡がある。
伝説と民話に今もなお語り継がれている場所である。



一歩足を踏み入れると、硫黄の強い臭いが鼻孔を撃つ。
臭気に敏感な人は、殆ど耐えられないかもしれない。

もっとも、この程度ではそれほどでもない。
かつてはもっと凄かったものだ。

付近一帯には硫化水素、亜硫酸ガスなどの有毒ガスがたえず噴出しており、「鳥獣がこれに近づけばその命を奪う、殺生の石」として古くから知られているのである。

この場所は、パワー・スポットであり、霊場であると言っても良い。



これは盲蛇石(メクラヘビイシ)といって、この場所で湯の花を取る方法を蛇が教えた故事に基づく石である。



湯の花採取場である。
人と動物の心の交流が結ばれるのは、民話の基本である。

更には、九尾の狐の説話も語られ続けている。
土産物に、九尾の狐を名前に冠した大根の漬け物が売られてもいる。



ここはまた、賽の河原でもある。
分かりやすく言えば「三途の渡し」の河原である。

ここを訪れた訪れた観光客たちは、石を積む衝動にかられるのである。



三途の川(さんずのかわ)の手前にある賽の河原で、親より先に亡くなった子どもたちが、石を積み重ねて仏塔をつくり、生前にできなかった功徳をしようとするのだが、できあがるころになると鬼が来て壊してしまう。

悲しい物語である。



同時に、この場所は心霊写真も撮れるのだと言う。
こんな気持ちで、子どもたちは石を積むのである。

  これはこの世のことならず
  死出(しで)の山路の裾野(すその)なる
  賽の河原の物語

  聞くにつけても哀れなり
  二つや三つや四つ五つ
  十にも足(た)らぬみどりごが
  賽の河原に集まりて
  父上(ちちうえ)恋し 母恋し
  恋し恋しと泣く声は
  この世の声とは事(こと)変わり
  悲しさ骨身(ほねみ)を通すなり

  かのみどりごの所作(しょさ)として
  河原の石をとり集め
  これにて回向(えこう)の塔を積む

  一重(いちじゅう)積んでは父のため
  二重(にじゅう)積んでは母のため
  三重(さんじゅう)積んではふるさとの
  兄弟我身(きょうだいわがみ)と回向(えこう)して

と続くのである。



最後には、そんな子どもたちを地蔵菩薩が、ほとけ様のところへつれていってくれるという。



千人地蔵の中心には地蔵菩薩が鎮座しているのである。
親を残して黄泉の国に行く不幸を「戒めて」いるのである。

この場所は、殺生石といいこの賽の河原の地蔵といい、おどろおどろしている。
この場所に噴出する異臭で、ぼくは頭がクラクラしてしまった。



なんだか入りたくない公衆トイレである。




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 荒野人


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